からくさ図書館来客簿 ~冥官・小野篁と優しい道なしたち~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048917049

感想・レビュー・書評

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  • 最近、図書館とか古書店とか文化系うんちくノベルもしくはコミックが多いので、もう食傷気味なんだけど。

    ネットカフェのような私立図書館を運営する青年と、助手の美少女。実は彼らはこの世に彷徨う「道なし」たちを成仏させるための冥界からの使者で…という筋書き。

    お話が面白くなるのは、第三話ぐらいからだろうか。
    四話めの住職の息子だが建築家になりたい学生の話が印象に残った。

    個人的に惜しいのは、表紙の少女の髪の色。栗色のはずなのだが、あきらかに黒髪に見えるし、そもそも彼女が主人公に見えてしまう。
    人物造形が、いかにも漫画ライトノベルで育った女子ならではの設定で、人格があっさりしすぎて、イマイチ魅力的には思えない。

    図書館の蔵書の設定じたいは興味深いが、あまりそれが活かされていないように感じる。別に図書館という設定でなくて、この二人がどこでも行くという動きがあったほうが良かったように感じる。
    『ビブリア古書堂』と同じ出版社なので、よけいに比較してしまう。

  • 偽書を作るから図書館なのかな?設定面白い。

  • 冥府の官吏である小野篁が現代で「道なし」に道を示すお話。縄張りが図書館というのも素敵だ。出てくる人たちが、皆一生懸命で優しい。

  • 京都にある「からくさ図書館」は青年館長と少女が切り盛りする私立図書館。アットホームな図書館には奇妙な悩みを抱えるお客が・・・
    設定が面白かった!それぞれの悩みに対し、その人のからつくられた書物を差し出す館長・小野篁。篁は冥官として平安時代から働いていて、成仏できていない道なしを補足するという・・・冥官見習いの時子もこれからどう成長していくのか、そして篁との関係もどうなるのか気になります(^^♪

  • こんな図書館あったら行きたいです。
    篁と時子のキャラもいいので歴史が気になり京都に行きたくなります。

  • 京都にある私立図書館「からくさ図書館」を訪れる様々な悩みを抱えた来館者と「道なし」を図書館館長の小野篁と時子様が解決へ導く。
    歴史上の実在の人物を現代に甦らせたファンタジー小説。京都という舞台をうまくいかしてる。悪くは無いけど特別良くも感じない。機会があれば続きを読もうかな、とは思うけどどうしても、というほどでも無い。

  • ★★★★☆
    小野篁が不思議な図書館の館長さんとなり、この世の不思議とこんがらがった事象をほどいていきます。
    ある程度年齢がいくと手を出しにくい表紙ですので、スッキリとしたデザインの文庫になったらまた読者層が広がりそう。
    (まっきー)

  • だいぶ前から、「ブックマーク」読者の方におすすめだと伺っていたものの、最初に聞いた頃には図書館に見当たらず、しばらくして探してみたら、こんどは予約待ちがたくさんついていて、気長に待っていた。

    届いた本をみると、自分では手に取らない感じのカバー装画で、扉も同じ風情のイラストだった。といっても、持ち歩きにカバーをかけたので、絵はほとんど見ずに、字を読む。読み終わってカバーをはずしてみると、このカバーや扉に描かれた姿が主人公の小野篁と時子様のひとつの「イメージ」なのだろうが、私が文章からイメージしたのとはちょっと違っていた。

    京都にある私立の「からくさ図書館」で、館長の姿をした冥官(1200年にわたりあの世とこの世を行き来して業務にあたっている役人)の小野篁と、1200年前には臣下と姫君という間柄であった時子様(いまは冥官の見習いとして篁についている)とが、この図書館にやってくるお客の悩みに対応する。

    お客の悩みは、「道なし」と呼ばれる、本来ならば天道にあがれるものの現世に未練を残してさまよえる者たちに起因していて… という、分類するならファンタジーものの話。

    小野篁は、平安時代の初期に、朝廷に仕える役人でありつつ、夜は六道珍皇寺の井戸を通り道にして冥界と行き来し閻魔大王に仕えていた、という伝承があるそうだ。

    そして冥官の見習いというかたちでいまは篁の相棒をつとめる時子様は、かつて幼い身で2年の間、第二代の賀茂の斎院をつとめ、4歳でその任を解かれた後は元斎院として、何の役を与えられることもなく、嫁ぐことも許されず、ひっそりと暮らして、18歳で病死したという人。

    この娘のために、時子の父は、「あの子に教えてやってほしい。野狂と呼ばれるあなたが、これまでに見てきたものを。斎院の任を解かれたあの子には、今後いかなる道も用意されておらんのです。ならばせめて、好きなことを学ばせてやりたい」(p.238)と、配流された隠岐でその自然の様子を『隠岐自然抄』に綴った篁を頼んだのである。

    その時子の髪は周りと違って赤かったと、作者は設定している。その栗色の髪を恥じていたかつての幼き時子様に、篁は「恥じ入ることはありません」(p.240)と呼びかける。

    ▼「父に連れられて赴いた陸奥にも、このたび配流された隠岐にも、髪の色が赤みを帯びている男女はおりました。善行を積んでいようが、顔が美しかろうが、まったく関係なく、ある程度の数は生まれてくるのです。周りに似たような者がいないからといって、気に病んではなりません」(p.240)

    その篁の話を聞いた時子は、「わたしで、良かった」(p.241)とつぶやく。「百人に一人か、千人に一人か分からないけれど、どうしたって髪の赤い者は生まれてしまうのでしょう? それなら、決して嫁ぐことのないわたしがこういう髪に生まれたのは、ちょうど良いと思う。篁が気に病むなと言ってくれたけれど、普通はやはり黒髪のほうが暮らしやすいもの」(p.241)と。

    「道なし」に関わることになってしまった来館者たちの悩みにこたえるやりとりから、そういう篁や時子様の"人となり"が見えてきて、キャラクターを造形していくというのはおもしろいもんやなーと思った。「あとがき」で作者は、「一生懸命生きている現代人と、一生懸命生きていた昔の人が出会ったら、どんな会話になるのだろう、と想像を巡らせながら書いた物語です」(p.346)と記している。

    このあと第二集、第三集と話は続くようなので、そちらもまたそのうちに読んでみるつもり。

    (2/15了)

  • 本好きは、昔の文学は読まなきゃ駄目よね。
    古今集・新古今和歌集読もう。
    石川啄木が染み入る歳になった自分に気付かされました。

  • 【古都・京都に佇む小さな私立図書館。そこには、不思議な力を秘めた館長さんがいた――。】
     京都の一角にある「からくさ図書館」は、優しげな館長さんと可憐な少女が二人きりで切り盛りする、できたばかりの小さな私立図書館。
     紅茶か珈琲を味わいながら読書を楽しめるアットホームな佇まいのこの図書館には、その雰囲気に惹かれて、奇妙な悩みと出会ったお客様が訪れる……。それぞれに悩みを抱えたお客様に図書館長・小野篁が取り出すのは、解決法が書かれた不思議な書物。そう、彼こそは現世で道に迷った"道なし"たちを救う"冥官"だった――。
     悠久の古都で綴られる、ときにほろ苦く、けれど温かなライブラリ・ファンタジー。

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著者プロフィール

第17回電撃小説大2010年に『典医の女房』で、短編ながら第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞。受賞作を大幅加筆した『霧こそ闇の』でデビュー。既刊は『からくさ図書館来客簿』シリーズ他。

「2022年 『あなたと式神、お育てします。第二集 ~京都西陣かんざし六花~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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