- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061497016
作品紹介・あらすじ
外国語を知りたい、日本語を深めたい-ことばに興味のあるすべての人に贈る、「にぎやかな言語学」への招待。
感想・レビュー・書評
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言語学は何を学ぶ学問かと言うのがざっくりと書かれていて、読みやすかった。
特に音韻については参考になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「はじめての言語学」とあるように、初心者よりももっと前、「言語学ってなんだろう」という疑問を持った人におすすめの本です。言語学を少し学んでみて、よく分からなくなった人が言語学というものを振り返るためにもちょうどよい本かもしれません。
言語学といったら「ソシュールという人が有名らしい、彼の本を読んでみよう」や「サピアウォーフの仮説に興味があるから言語学を知りたい」と思うかもしれません。私がそうでした。
しかし、ソシュールやサピアウォーフ仮説は言語学の一面でしかありません。言語学という学問を理解するには細かすぎますし、難しすぎます。
「はじめての言語学」は言語学をざっくりと、偏見なく見つめることができる一冊です。言語に対して、優劣がないということ、悪い言語も良い言語もないということ、乱れた言葉もないということ、そういったことも改めて知ることができる本でもあります。
著者の黒田龍之介さんの本をいくつか読みましたが、どの本も夜眠る前にでも読める程気軽な内容です。堅苦しさがないため、ユーモアたっぷりの講義を見つめている気持ちになれます。
そういった点も含め、言語学をはじめて学ぶ人にもってこいな本でしょう。 -
タイトルの通り、言語学にはじめて触れる人向けにわかりやすく書かれている本でした。
わかりやすさを強調するあまり、不要な例えや言い回しが多いのが気になりますが。
1番印象的だったのは、言語学の立場や考え方についての説明です。
・そもそも、「ことばの乱れ」という発想が言語学にはない。
・言語に名称を与えるのは政治と歴史であり、言語学では判断できない。
・言語学では、《美しい言語》も《汚い言語》もない。
こういった説明は〇〇学といったイメージからくる堅苦しさをほぐしているようでとても良かったです。
言語学は字面通りのいわゆる言語に対する学びだけでなく、言語を通して、その言語を話す人たちの思想や生活の特徴を知ることができる点が非常に興味深いです。
これからは気が向いた時に少しずつ、言語学関連の本も読んでいこうかなと思います。
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自分が苦労せずに手に入れたもの、たとえば性別、人種、出身地、家柄、それに母語といったもので威張るのは卑怯である。その反対に、努力して身につけたもの、たとえば学歴、職業などと並んで外国語を自慢するのは嫌味である。
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あなたは「言語学」に何を期待しますか? 語源「正しい日本語」、マルチリンガル、哲学・思想……ありがちな思い込みをただし、外国語学習者はもちろん「ことば」に興味ある全ての人に贈る「入門の入門」。(講談社現代新書)
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40026590 -
言語学に興味を持てるかどうか!を判断しようと選んだ本
楽しく読めてしまう -
言語学とは何か?
難しそうというか、想像つかないテーマを易しい語り口で(皮肉交じりに)伝えてくれます。
なので、専門的な説明を求める人にはつまらないかも。
専門用語を知って分かった気になりたいのならこの本は必要なく、興味を持って始めるという入り口を見つけられる人向けだと思います。
なんか面白そう、それを見つけるのもいいと思います。 -
世界中の人が同じ言語を話せば便利なんだろうけれど、そうではない世界の方になったことを楽しめたら。
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言葉や言語に興味はあったものの、膨大な書物のなかから自分に合った入門書が分からず迷っていました。
『はじめての言語学』は文字通り、初心者にぴったりの一冊です。
自分の言語への理解度の浅さや無意識の偏見を気づかせてくれて、だけどお説教くさくはなく、全体的に軽快な読み心地です。難しい専門用語、個人的にとても苦手な図や表もなく、たのしく読めました。
著者の黒田さんの言語への姿勢や好奇心、行動力などは、母語を含む多言語を学習している身として、参考にしたいです。 -
黒田さんは、私にとってはNHKのロシア語講座の先生。
その黒田先生の、大学1年向けの言語学概論といったら、きっとこんな感じなのかなあ、と思いながら読む。
前期分の授業という感じかしらね。
だって、こんな風なんだから。
第一章。
一般人の「言語学」に対する思い込みに反論する。
第二章。
言語とは何か。
第三章。
音声学。
第四章。
文法論と意味論。
第五章。
言語のバラエティ。比較言語学、方言。
語り口は平易。
比較言語学と対照言語学の違いなんて、一言である。
おお、初めて知った!と思ったら、よく考えたら、私も大学生の頃、日本語教育の検定をとったときに、たしかやったな、と後になって思い出した。
いや、そんな自分のぐだぐだっぷりはよいとして、本当に分かりやすい。
名講義と言っていい。
それから、本書の魅力は、やはりいろいろな言語の事例が出てくることだろうか。
「言葉好き」の黒田先生の面目躍如たるところ。
もっとも、この先生、試験は厳しいのかもしれないな。
この本を読んでいるだけなら、安全だけどね。