- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061591271
作品紹介・あらすじ
前五八年以降、数年にわたりカエサル率いるローマ軍が、ガリアからブリタニアにいたる広範な地域をローマの勢力下におこうとして遠征を試みた貴重な記録である。当時のガリアやゲルマニアの情勢を知る上で必読の書として知られ、また、カエサル自身の手になるラテン語で書かれた簡潔にして流暢な文体は、文学的にも高い評価を受けている。タキトゥスの『ゲルマニア』とならぶ古代研究の最重要史料。
感想・レビュー・書評
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ガリア戦記
著:カエサル,G.J.
訳:國原 吉之助
講談社学術文庫 1127
難読書、地名、人名ともなじみがないので、カエサルが率いている軍団がどのように動いているのか、イメージがしにくい。本書後ろに座標が入った地図と、その後ろに地名辞典とその座標が載っているのでそれを頼りにするしかない。ガリア(=フランス)領内をローマの大軍がくるくると回っているのである
ガリア=ほぼフランス(+ベルギ全土、+オランダ一部、+スイス一部、+ドイツ一部、+イタリア一部)、つまり、ガリア戦記とは、ローマ人カエサルから見た、フランス討伐記なのである
ゲルマニア=ドイツ、ブリタンニア=ブリタニア=UK、
ローマ帝国から見ると、ゲルマニア人の来襲にて、その通り道となる、ガリアと、イタリアのすぐ南にそびえるアルプスの向うに広がるガリアの地は、軍事上の緩衝地帯、非武装中立地帯として安全保障上の重要地域なのである。カエサルでなくとも、ローマの属州として、ローマの僚友として取り込んでおきたくなるだろう。
そして、カエサルは、その部族間の要請にしたがって出兵したり、レヌス川(=ライン川)と対峙しているゲルマニア人と戦闘する
いずれにせよ、この時代は、アルプスの街道が整備され、大兵団が何度も、行き来している。
スキピオと、ハンニバルのように、アルプスを越えた部隊に強襲されることはなくなっていたのである
<難解な地名と、部族名(抄)>
ガリア
ベルガエ人 (アクィタニ人とは、ガルンナ川)
(ケルタエ人とは、マトロナ川)
(ゲルマニア人とはレヌス川
アクィタニ人 (ベルガエ人とは、ガルンナ川)
ガルンナ川に始まり、ピュレネー山脈に及び、ヒスパニアの大西洋岸に達する
ケルタエ人(ベルガエ人とは、マトロナ川)
ロダヌス川、ガルンナ川と大西洋とベルガエ人の領土
ゲルマニア人 (レヌス川の北岸にすんでいる民族)=ドイツ人
当時、ガリア人(=フランス国家)という概念はなく、部族が合同と、離散を繰り返していた
ヘルウェティイ族 47 7E(ケルタエ人の部族、勇猛)
★オルゲトリクス
セクアニ族 47 5E レヌス川下流、ケルタエ人の北東(元老院よりローマ国民の友)
★カタマンタロエディスの息子、カスティクス
ハエドゥイ族 47 4E
★ドゥムノリクス ディウィキアクスの弟」
ラウラキ族 48 7E
トゥリンギ族 48 8E
ラトビキ族 48 7E
ポポイ族 47 2E
アッロプロゲス族 45 5E
都市:ゲナウァ
サントニ族 46 2W
トロサテス族 44 1E
アルプスの部族
ケウトロネス族 46 6E
グライヨケリ族 45 6E
カトゥリゲス族 45 6E などなど、たくさんあって、しかも狭い地域に集中している場合もあり
目次
第1巻 1年目の戦争(BC58)
第2巻 2年目の戦争(BC57)
第3巻 3年目の戦争(BC56)
第4巻 4年目の戦争(BC55)
第5巻 5年目の戦争(BC54)
第6巻 6年目の戦争(BC53)
第7巻 7年目の戦争(BC52)
第8巻 8年目と9年目の戦争(BC51,BC50)
解説
専門語略解
地図
部族名・地名索引
人名索引
ISBN:9784061591271
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:442ページ
定価:1300円(本体)
1994年05月10日第1刷
2012年10月30日第38刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
忍耐力がなければ読み切れないと思っが、最後のアレシアの戦いは圧巻だった。
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カエサルの文才がよく分かる1冊
途中カエサルの死後に他者が挿入した箇所と読み比べてみると彼の文章を書く能力の高さがよく分かる -
紀元前後のヨーロッパについての貴重な記録。
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ラテン語文献の傑作らしいけどラテン語読めないので和訳版ではそこはよくわからないーーーーー前58年以降、数年にわたりカエサル率いるローマ軍が、ガリアからブリタニアにいたる広範な地域をローマの勢力下におこうとして遠征を試みた貴重な記録である。当時のガリアやゲルマニアの情勢を知る上で必読の書として知られ、また、カエサル自身の手になるラテン語で書かれた簡潔にして流暢な文体は、文学的にも高い評価を受けている。タキトゥスの『ゲルマニア』とならぶ古代研究の最重要史料。
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まずはカエサルの文才に敬服
要点だけで簡潔にまとまっているのにも関わらず、戦闘が無意識に脳内再生されるくらいわかりやすい
一方でローマ軍が他民に比べて優れていたことを残したかったのか、時折主観混じりの表現はある
一冊通して、ガリア人、ゲルマニア人と比較してローマの規律と軍事教育が徹底的に定着していることがガリア征服の主要因であるという印象。他民族で構成されているから仕方ないっちゃ仕方ない。
カエサル自身で1番印象に残ったのは、
歩兵戦の際に彼自身真っ先に馬から降りて逃げ道を抹消したところ。そりゃあついていきますわ。 -
世界史の授業でも習った、ユリウス・カエサルの『ガリア戦記』
部族名や集落名になじみがなく最初は読みにくいが、
慣れてしまえばなんということもない。
カエサルがどのようにしてガリアと向き合ったかを知れる。
贔屓目で見た分を考慮しても、一読の価値がある。 -
カエサルのガリア征服は目玉となる業績の一つで糸も容易く成し遂げたように誤解するが、さまざまな想定外や苦労を乗り越えていたことをリアルに認識できた。
文面の裏側が気になるところ。どうしてカエサルはガリア人や自分たちの動きを読み切れるようになったか。どうやって味方の士気をあげたか。普段どんな言葉を部下と交わしていたのか。具体的なやり方がとても気になった。 -
評判に違わず、おもしろかった。
部族名は覚えにくく、ある程度スルーしながら読んだ方がいいかもしれません。
ローマ軍はガリアを侵略している立場のため、侵略する側の視点で描かれているのでその部分がノイズになるかも。