アフターダーク

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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062125369

感想・レビュー・書評

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  • 【303】

  • デニーズで村上春樹の『アフターダーク』を読了した。なかなか面白い小説だった。

    この本で僕は、読んでいる僕のこの現実の文脈と、小説世界がリンクし、錯綜して「読まれる」という特異な読書体験をした。思い出される新宿の夜の街と、デニーズの店内で机の上に置かれたコーンスープ。それらが僕の記憶と小説を結び付け、そうしてはじめてこの作品は意味を帯びるかのように僕には思われた。

    新宿であの日起きたことと、幼い頃によく母親がつくってくれたコーンスープ。前者について、朝の光によって更新された言葉を用いては、僕は説明を加えることはできない。それはどちらかというと、背後に過ぎ去ってしまった、古い時間性のなかで、太古の言葉として語られるべき性質のものである。後者は幼き日の僕の安心の象徴であり、目の前に置かれたデニーズのコーンスープとは似ても似つかないものだ。そしてそれは、マリが姉のベッドの中で感じた安心と、おそらくどこかで繋がっている。

    このような個人的な体験を作品の解釈に持ち込むことは、作品の読み方として正しい方法だろうか。

    僕はこのような小説の場合、そうした読み方こそがふさわしいのだという気がしている。

    三人称的な視点から俯瞰されたその小説世界には、読み手自身の存在や経験をそこに置いて、「その世界と共に読む」という体験を可能にさせてくれるだけの余地が与えられている。

    むしろ、そのように自らの実存を投げ入れることによって、読者は自ら小説の断片を繋ぎ合わせ、それによって意味を紡ぎ出さなければならない。そうして意味の連環は、読者の存在によって閉じられる。それを読む主体の背景に広がる、テクスト外の現実と繋がることによって。

    このような小説は、確定的な意味を求めて読んではならない。おそらくは、このように曖昧で、意識化することすらできない自己の内面の真実に照らして、読まれなければならない。

  • 村上春樹節炸裂!観念的すぎてついていけなかった・・・

  • 好きじゃない

  • 心の闇と現実社会の闇、自然界の物理的暗闇。闇をどう見るか、どう見えるかは我々ひとりひとりの心の中のフィルター次第ではないか、ということを考えてみた一冊。

  • ありゃりゃ。
    以前読んだよ。でも…
    けっこう忘れてる、内容。
    こんな本だったっけ?

    こんなやさしい物語だったっけ?

    後ろから肩をたたかれたら
    どうしよっ!

  • これは村上春樹なのか。なんだか淡々とただ出来事を書いてるような。東京は一夜にしてたくさんの物語が存在する、というようなことを言いたかったのか。なんだか物足りない作品だったかな?

  • 村上春樹の本を初めて読んだ。もっと読んでいきたいな。
    主人公が同い年で中国語がしゃべれてという憧れの想いを持って読んでいた。
    p.250.251が好き。
    日本文学概論Ⅱの教材として扱うのは楽しみだな。『ゆっくり歩け、たくさん水を飲め』
    2015.9.28

  • かなり前に一度読んだことがあったのだけれど、完全に内容を忘れていた。

    ぞわっとする作品だった。
    いろんな形でリンクが張られていて、あっちもこっちも繋がっている。
    一見無関係のようで、根を辿っていくと、結局同じものにぶちあたるような。

    みんな、闇とつながっている。
    闇が、人の心の暗い部分をむきだしにするのか。
    闇は確実に存在する。
    でも、朝の光に救われて、人は生きていくのか。

    生きる苦しさの、手触りを感じたような思いがした。

  • ①/40

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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