- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062125369
感想・レビュー・書評
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時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。フード付きパーカにブルージーンズという姿の彼女のもとに、ひとりの男性が近づいて声をかける。そして、同じ時刻、ある視線が、もう一人の若い女性をとらえる―。新しい小説世界に向かう、村上春樹の長編。
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2020年10月13日(火)にブックオフ京阪京橋店で購入(210円)、同日読み始め、15日に読み終える。
11日に読んだ『図書館奇譚』に続き、村上春樹は2冊目。『図書館奇譚』のレビューはこちら。https://booklog.jp/users/morimotoseiichi/archives/1/4103534303
ひとつひとつの文が短くてとても読みやすい。軽快なリズムで読み進められ、物語もテンポよく進んでいくのだが、あまり抑揚がなく単調なのは退屈でもある。
鬱陶しいぐらい細かくて具体的な情景描写は村上春樹の特徴だったと思うけど、レコードがなんだとかタバコの銘柄がなんだとか、ここに個性が出過ぎていて、好きな人はとことん好きになるけど、私のように趣味が合わない者にとっては読むのが苦痛になるのだなと実感。
独特の世界観がある種の読者を魅了するのだろうが、私にはその世界観を構成するもの、たとえば登場人物の台詞があまりに人工的で不自然に感じられ、物語の世界に入っていくことができなかった。
最初に登場する「ねえ、間違ってたらごめん。君は浅井エリの妹じゃない?」(9頁)という男の台詞から受け付けなかった。
浅井エリの部屋で「カメラは抜け目なく機械の裏側にまわり、テレビの電源プラグが抜かれていることを示す」(40頁)というていねいな設定があるけど、ほとんど家財道具が置かれていないテレビのある部屋で、しかも電源プラグが容易に抜き差しできるようなところではなくテレビの裏側にあるようなところで、電源プラグを抜いている人というのが私には想像しづらかった。
物語は幻想的で、何か明確なオチがあるわけでもなく、各登場人物について思わせぶりな背景を語らせるなどしておきながら、そのすべてにおいて中途半端なまま物語は終わる。そのこと自体がこの作品の本題と解釈することもできるのだが、個人的には好みの作風ではないなと。 -
理解不能。
1日かけて読み通した、そのくらい読み進めるのが辛い作品。
エリは、テツヤとホテルで何かあったに違いない!
ハワイに漂流した三人兄弟の神話が印象的 -
なんとも言えないお話でしたが、映画を観ているような不思議な作品でした。
それはそれで嫌いではないので、好きです。
一晩のお話にしては濃すぎる、と思いましたが、映像的です。
白川のその後が気になります…組織に押されてしまうのか。。
他の登場人物のその後も気になりますし、余韻の残る作品でした。
眠れない夜中にゆるゆる浸るのに良さそうな世界です。
そして読み始めてから気付いたのですが、多分「アンダーグラウンド」と思ってこちらを借りてきている…今度は間違えません。 -
一夜の出来事。とてつもなく切なかった。愛らしい。
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人間は、記憶を燃料にして生きていくもの
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正直、難解です。
本作は中編小説なのでボリュームはあっさりしてますが、その分あっちこっちでエピソードは納得の形では回収されません。読んでて、あの話どこいった?となってしまいます。
でもやはり一気に読み終えてしまう、ある意味魔力がある文章ですね。
深夜の23:56〜6:52までの出来事ですが、個人的にささったのは、夜明け前の早朝の情景の描かれ方です。夜の帳から輝く朝が混ざった空気の中、深夜に生きる人と朝に動き出す人が混じり合う時間帯。徹夜明けの新宿駅前を思い出します。