喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
4.26
  • (353)
  • (269)
  • (121)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 2123
感想 : 330
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062166362

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんだか読んだことがあるとおもったら、喜嶋先生の静かな生活という短編小説を長編化したものだった。
    学ぶことに対するまっすぐさが眩しい。橋場君ほど純粋ではないけど、知らないことを一つ一つ知っていくことの楽しさや閃いたときの快感を思い出すと、またなにか学んでみたいなぁという気持ちになる。学生の頃は勉強が義務に感じられて苦痛な部分もあったけど、この本を読むと大学時代無駄にした感すごくてやり直したくなる。

  • すごく好きだなあ、と同時に、多分二度と読まないだろうなあと思った。

    主人公の立場は絶妙だと思う。「先生」との距離感において。スピカをはじめとした、他人との関わりにおいて。

    「先生」は、主人公以外の立場からは半分も魅力を感じとれないし、広い意味の幸福を与えることも受け取ることも出来ないのだと思う。

  • 昔途中まで読んでいて、読めなかった本。
    図書館でしゃがんだ際に見つけた、あっこの本、と思った。
    読んでいる最中に内容を思い出し、この先はこうだと、読んでいた個所はななめ読みをした。
    今回は最後まで読めた。
    研究に遠ざかったせいか、それとも客観的に昔を見れるせいか。
    懐かしい、そしてうらやましいと思う本だった。

  • どきどきする。
    遠いけど、この道の先に灯りがあることが実感できたら、きっと歩ける。

    読み終わりたくない。
    いつまでも、この世界にとどまっていたい。
    でも、物語の世界はある日唐突に終わりを迎えるのだ。

  • 研究者の内なる研究の喜びがヒシヒシと伝わる筆致。
    素晴らしい。
    深く思考することに漂い、道なき道を漕ぎ進んでいく不安さえも実は幸せだった、という真実を伝えている。

  • 森博嗣のエッセイは持っている、小説を読むのは初めてだがとても面白かった。

    これは森博嗣の自伝的小説でもある。

    大学や大学院の内部のことを全然知らないのでとても色々なことを知ることができた。
    喜嶋先生がとても愛らしく研究者って感じの人で素敵だなぁと思った。

    主人公の先輩の中村さんも優しい人物でかっこいいと思った。

    それにしても私はいつも小説にでてくる、女性が好きになれない。
    主人公にすっごい遠回しに泣きながら告白する、後の妻、スピカにもイライラしてしまった。
    「ずっとずっと私は見ていたのに、あなたは振り向いてくれない…」とかスピカは言う。

    女たるもの男にほおけてどうする!!と、強い女性像が好きな私はそう思ってしまった。
    もっと他にすることあるだろ!

    私は少し歪んでいるのかもしれない。

    否、かつては私もそういう女性だったが、そういう人って魅力的か?と疑問を持ち、もっと外に目を向けようと思った経緯がある。

    他の女性はとても強く、真っ直ぐでカラっとしてて好印象だった。

    とにかく、喜嶋先生と主人公の仲が深まっていくところがとても微笑ましく、素敵な小説でした。

  • 「頭を働かせている人、考えることが仕事の人は、一般にとても大人しく生きている。(中略)探せば沢山いるはずだけれど、きっと、透明で無音ゆえに、見つからないのだろう。」それはつまり喜嶋先生のことだ。先生と主人公が数式を描いたり実験をしたりする姿は、想像するだに美しい。二人の研究に対する姿勢から、学問とは本来こうであるべきなのだと気付かされた。物語の終わり方が静かだった。

  • 研究という世界について綴られた、
    とても素敵な本。
    森博嗣さんのS&Mシリーズを読んで、
    作中に語られる研究生活に憧れを抱き、
    自分もこの世界に触れてみたい、と思い、
    実際に理系人間として
    研究室生活を体験しただけに、
    なおさら感慨深いものがある。
    学問の世界に生きること、
    その美しさや素晴らしさを
    とても素敵な物語で綴ってある。
    エンタテイメントとしても楽しめるように、
    きちんと読者を掴むエッセンスも
    ちりばめられている。
    研究という世界の深遠さに触れつつも、
    作中の登場人物の動きにも魅了される、
    小説として完成された素敵な本だと思う。

  • 文系の自分からすると、全く知らない世界が知れたようでよかった。
    エッセイのよう。

  • 最後の数ページがすっきりしなかったですが、在学中に読みたかったなぁ。
    大学の研究室にいるときは深く考えてなかったり、知らなかった世界を今更知ることができた。
    読了感が微妙だったので★★★。

全330件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森博嗣の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×