- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062173988
感想・レビュー・書評
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社会学者の東浩紀がルソーの一般意志にフロイトが提唱した無意識とネットが生み出した新しい形を組み合わせ、一般意志2.0という新しい政治や社会の形を考案する。
ルソーの一般意志は議論型の民主主義とは違う、様々な意志を差異を持ったまま活かしていくものである。この本で言われているフロイトの無意識はエディプスコンプレックスのような固有の無意識のことではなく、多くの人の意志の集合体のようなものであり、どちらかといえばユングの集合的無意識の方が近いと感じた。それらがグーグルなど、現在のネットのデータベース収集システムと組合わされることで現実の社会の中に姿を表わすことができる。
それは全ての政治議論がニコニコ動画のような一般人のコメントができる場で公開される社会だと東は言う。そこだけ聞くと拍子抜けする気もするが、それに至るまでの過程があるので非常に説得力がある。
確かに多くの一般人が充分に学び議論をするような民主主義は現実的には不可能であり、動物的な感情(感覚)と人間的な議論がうまく組み合わさった形でなければ現実に民主主義は成立しないのではないかと感じた。
しかしやっぱり東浩紀は本より話している方が面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
政治を市場に還元するわけではない、ポピュリズムではないという弁明とは裏腹に、事実上既存の新自由主義を擁護する内容。驚くべきディストピア!
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ルソーの「一般意志」を現代的に読み直し、情報技術によってそれを政治に反映させようという主張。途中までは代議制民主主義を否定する論説かと思っていたが、そうではなく無意識の欲望の集合体である一般意志によって「理性による熟議」の暴走を抑制しようというモデルだった。
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本書の来るべき政治のあり方は、実のところ今のマスコミと政治家が繰り返すマッチポンプ的現状と本質的には変わりないものと考えられます。
らしい -
てきとーなことを、てきとーな人が、てきとーなときに、つぶやいていれば、
おおよそ適当な社会ができるって。
なんて住みやすい時代だ、おもしろい! -
無駄に長かった。文章を整理しなおせば半分くらいは削れるんじゃないかとも思う。論理構成も甘い部分が散見される。しかし、一般意思2.0の思想、激安の機能制限版普及型政治参加パッケージの構想は実に素晴らしい。
序盤はルソーの一般意思を情報技術のある現代版としてアップデートしていくが、一般意思と情報技術の相性の良さに驚かされる。一般意思とはネット
に蓄積されるビッグデータのことであり、このデーターベース民主主義を現代に適用可能だと主張する。ただ、データーベース民主主義は終盤で明かされるように欠陥があり、それゆえか序盤ではデーターベース民主主義の正統性をルソーの正統性に求めてしまうなど、ルソーに忠実な序盤はかなり論理性に無理のある作りにもなっている。
従来型の民主主義は熟議民主主義とも呼ばれるものであり、それとデーターベース民主主義を融合させたものこそが有るべき新しい民主主義だとされる。これは既に一部が現実にあることもあって、実に現実的で効果的な構想だというのが分かる。最終的にこれを2.0としているが、従来型の民主主義を1.0とし、データーベース民主主義を2.0とし、融合型の民主主義を3.0とでもした方がより分かりやすかった、誤解も招きにくかったのでは無いだろうかとは思う。
論理の甘さや誤解しやすい部分もあるが、それらを補って有り余る素晴らしい構想を持った書。必読。 -
もうちょい勉強してからまた読み直そう。東浩紀個人の性格はどうあれ、言ってる事は鋭い。
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ルソーの『社会契約論』で論じられた一般意志の形勢とそれによる政治のあり方を現代的に再解釈している。ルソーの社会契約をベースに東浩紀なりのトリッキーな理論を展開しているものの、議会型民主主義の行き詰まりに、ひとつの理想案を問いかけている
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