一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062173988

感想・レビュー・書評

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  • 期待値が100点だとすると読後の印象は40点。著者の提案は面白い。ルソーの枠組みを使って新しい政治の形を提示している。言葉の解釈や引用など丁寧にされているし誠実に書かれているのはよくわかる。が、終盤、まとめがはじまるとがっくり来る。言っていることはわかるのだけれどただし、とか、前提が多い。夢を語ると言っているので仕方がないのだけれど世の中の流れからいえばここに書いてあることはある程度的を得ているのかもしれないが直観的には限界を感じるし、その可能性を不相応に大きく飛躍させているので読み終わると少し肩すかしな気分に。ルソーの枠組みを使っているがルソーを読んだ時のような共感がなかったのが印象的かもしれない。

  • 選挙は、国政について自らの意志を示す唯一の機会だ。
    ずっと思っていたけど、

    今は、ツイッターやSNSによって、意志が様々な形で公開されているじゃないか。
    その意志を生かさないで、国のことをいつまで議員だけで話し合ってるの?という主張に、目から鱗が落ちた。

    政治は国民の為のもの。
    社会は社会の構成員の意志の集合。

    しかし、政治家への陳情には利害が絡み、必ずしも無意識の一般意志とは合致しない。
    政治家がすべきことは、一般意志を集め、その中から無意識の一般意志を見極め、それを元に政策を立案すること。

    そういう動きをする議員は、世の中にどれだけいるのだろう。

    一般意志2.0の考え方は、政治に限らない。
    一般意志を集めることを恐れず、本物を見極め、それを正しく理解し実行すること。
    社会の役に立つ仕事をする為の重要な考え方を学んだ。

  • 以前はグーグル化する世界も怖いと思ったが、こういう考え方もあるのだと興味深く読めた。
    「ハシズム」も別に怖いことではなく(氏は「自分がなるほど」と思う意見ならなんでも取り入れると聴いたし)、それも時代の流れなのかもしれない。

    それよりも寧ろ…

    そんな時代の流れを全然汲みもせず「党離脱」云々で喧々囂々しているオジサン達が滑稽に見えてならない。

  • ルソーが提唱した一般意志、すなわち人民の総意の可視化がSNSの発達によって可能になるはずである。SNSから抽出される個人の欲望の総体を一般意志2.0と定義している。
    端的に言ってしまえばビッグデータ解析を政策決定の参考にする、という話である。

    細かいところはまだ理解しきれていないので、これから何回か読み返したい。

  • 一般意志は人間みんなの意思というわけではない。それは「全体意思」
    一般意志は人々が意見を表明する必要はなく、ただ集まれば「そこにある」。自然発生的。

    一般意志とはデータベースではないか。(今風にいうとビッグデータか。)

  • 読みやすくそこそこ面白く趣旨も論旨も明確でお得感ある一冊

    まぁ、それほど劇的、感動的、創造性に飛んだ一冊でもないけど。
    うん、私もなんとなくそういう空気感じてた、言語化してくれてありがとね、って感じ

  • シンプルに、出来るだけ労力をかけずにビッグデータにからルソーの言う「一般意思」を導くことができたのならば、確かにそれはひとつの夢だ。

    ただ、判断するために様々な切り口が存在し、実質的な状況の判断しづらいために、立法側/メディアの情報提示によって大衆の潜在意識の引っ張られやすい問題(たとえば、2015年の時事的に言えば安保法制など……)に関して、仕組み自体がクリアに解決してくれるわけではない。

    そういう意味で、専門家による「熟議」とそれを噛み砕く翻訳者の存在は相変わらず必要である、と読んだ。

  • こちらの知識の無さが、実感させられましたが、なるべく易しく読めるように書かれています。
    古典をどのように使って現代を読みとくのか、その方法というか、やり方を教わったように感じました。
    読書会や、テキストを読みとく講座があれば、参加したいところです。
    きちんとルソーを勉強してみたくなりました。

  • 非常に難しくて読み終わった後もわかったのかわからないのか曖昧なまま本を閉じた

  • 政治にニコ生的手法を導入するというのは面白い手法だけども、ニコ生のコメント欄を意識したポピュリズムということもありうるのではないだろうか。ニコ生コメントにあらがう熟議というものがどこまで政治に可能なのか。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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