一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062173988

感想・レビュー・書評

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  • 最初に述べられているように非常に読みやすかった

    小難しいものだと思って手に取るのを躊躇っていたが、それほど深く考えなくても大筋を理解することが出来た

  • 2014年4月2日読了。グーグルやツイッターのサービスが一般的となった現代における、新しい政治/意思決定の考え方をルソーの思想を踏まえ「一般意志2.0」として説明する本。前書きにあるとおり、論文・学術書というよりエッセイ・軽めの読み物としてサクッと読めた。一部の選良・エリートが民衆を「代表」して「熟議」を重ねる議会制民主主義は、現代社会ですでに機能していない・という「前提」にはうなづかざるを得ない。政治をより意味のあるものにするには、社会の成員がそれぞれより政治への関心を高め、知識を身につけ積極参加することが必要、と自分も思っていたがルソーの思想では理想論含みであるにせよ、政治にはコミュニケーションすら不要で、おのずから立ち上る「一般意志」がすべてを決定するのがあるべき姿だ、そしてそれはルソーの時代には実現不可能な空想論だったが、現代社会ではそれが実現可能・ニコニコ動画での実況などの世界では一部既に実現されつつある、というのが著者の主張。現代の茶番めいた政治を代替しうるのが「ニコニコ動画」だ、とする主張には「う~~ん」と首をかしげるしかないが、社会の成員一人ひとりの意見を無視するのではなく、それに拘るでもなく「集合知」として救い上げ、政治の場にそれをフィードバックする、という仕組みは実はそれほど荒唐無稽でなく実現可能なものなのかもしれない。政治家とて、料亭大好きな頭の固いおっさんばかりではないものだろう。

  • 民主主義のあり方を再考させられる現代において一読の価値のある本であると思う。
    http://blog.livedoor.jp/pxbub/archives/2993206.html

  • 社会システムや政治に興味のある人は必読。ITがもたらす、新たな民主主義の理解につながります。
    中盤〜後半にかけての議論が面白いので、最後まで読み切ることをおすすめします。
    21世紀のバイブルです。

  • ジャン•ジャック•ルソーの考え方を起点として、現代の情報世界が実現しうる可能性を見つめ、高度な情報データが可能にする無意識の可視化に伴い、人や政治という世界が変わってくることを予測している点が興味深い。

  • おもしれー! 暴走した夢物語になりそうな内容も「人の意識と無意識」に対比して分かりやすく地に足着いた展開にしてる。実装面だけとは思えない根本的に不安定な部分もある気がするけど、だからこそ「これから」って感じがして興奮する。

    全体の印象は、相対化されてバラバラに解体された近年の大きな物語を、個々のつぶやきを情報処理する事で、再び一つに編み上げる。って言い方すれば、らしいかなー。社会学やら政治学やら全然知らんので、その感覚が新鮮で面白かった。

    天下国家レベルから情報技術まで統一的に論じていて素敵。ただ、データの集計をどの様に誰が行うのかは決定的に重要だし、集計のフィードバックがあるなら、原理的に自然状態の一般意思にはならない気もする。下手すると単なる超巨大なマスコミに仕上がっちゃうかも。

  • もう「2.0」も死語に近いですね。
    グーグルやツイッターを一般意志になぞらえる面白い試みをしています。しかし、それをプログラミングするという人間の手が加わっている限り、その人の主観が介在してしまう。
    なかなか難しいことだと思います。

  • 一般意志の形成をコミュニケーション抜きでできることが情報化社会の面白さ、可能性なのだ、というのが本書の語る未来の夢である。
    民主主義的な政策決定の場にの中に数量化・可視化されたマスの欲望を反映させる。政府は夜警国家でよく、データマイニングをベースに供給を決定できる。
    彼はその社会の善し悪しについて語っていないが、ひとつの可能性が提示されていて面白い。

    とはいえ、実際はビッグデータとその利用が一部の権力に集中し、個々人は十分に管理されて必要最低限の自由しか与えられない社会が来るだろう。情報の交通は十分に管理されるばかりでなく、AIによって日々より高度に管理するべく進化していく。どのような発信が人々に受け入れられるかを十分に把握した管理者によって、影響力のある情報発信者が仮想的に作り上げられる。民衆の意見が偶発的に交流し、人々の行動を変える……そのような機会は、まだデータマイニングが未熟な今よりもぐんと減るのではないか。

    東の論は情報化社会をめぐる政治と権力の新しい可能性を提示した。後進のわれわれは、その議論を元に、より夢に近づけるような社会的布置を考えていくことができるし、そうしなければならない。

  • ★ソーシャルメディアをマーケティングに利用しているのだから、政治に応用することもできるはず。

  • 『一般意志2.0』東浩紀著読了。久しぶりに価値観を根底から揺さぶる本に出会った。確かに熟議型民主主義は限界を超え情報技術の発展めざましい。現実を直視した新たな社会観は感動を持って受け止めた。その向こうにある新たな公と私の関係は自分の今の“枠”では処理出来ない驚き。しばし沈思黙考。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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