宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577311

感想・レビュー・書評

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  • 三葛館新書 443.9||MU

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=61774

  • 2011年刊。著者は米国カリフォルニア大学バークレー校物理教室教授。最新宇宙論入門という副題が示すとおり、暗黒物質、暗黒エネルギー(全く正体不明)、宇宙の軌跡(特に終焉論)、多元宇宙論と多次元宇宙論。異次元の存在と検証方法、暗黒エネルギーと異次元、あるいは多元宇宙論との関わり、素粒子を点として生じる無限項を除去するための超弦理論など、簡明な筆致(ドップラー効果も比喩を用いて解説し、高校生でも十分読み込めるだろう)で検討。各種理論の検証方法も開陳。良書(例え話が秀逸で、大変判り易かったからだが…)。
    あとがきで、本書の目的が、宇宙論を志す学生が増えてほしい、あるいは興味・関心を持つ人が増えてほしいというところにあると述べている。その目的を十二分に達成しているのではないか。

  • 【総合点】8.0/10点
     普通に面白かった。エセ科学系の人でなくって、しっかりしている著者だからこその説得力。今の最新理論はもうSF並になってきているんだなぁと実感。人工知能とかもだし、どんどんリアルのSF化が進んでるね。

     ダークエネルギーとかダークマターの名前は知っていたけれど、それらが提唱されたのが割りと最近だというのに驚いた。そもそもダークマターって、クロノトリガーで初めて見かけた気がするんだけど、このゲームの発売って1995年だよね。FFでも宇宙系のネーミングとかネタ多いし、スクエアさんはそっちが好きな人いるんだろうなぁ。

     多元宇宙とか多次元宇宙っていうのは、概念を書かれても正直よくわからなかった。二次元と三次元、四次元まではイメージできる。でも五次元からが「???」って感じ。小さすぎて見えないのかも、というのもちょっとわからない。

     ただ宇宙の真っ暗に見える空間も、暗く見えるのは単に可視光が出ていないだけで実は光がたくさんあるっていうのもどっかで見たから、「見えるから存在する」「見えないから存在しない」というのは当選違う。そもそも、人とトンボ、あるいは蜘蛛だったら全く同じものを見ても見え方はかなり違うだろうし。人間の感覚器は案外当てにならない。

     欲を言えば、どうしたらこの先の研究につながるか?という点が示されていると嬉しかった。ほぼ観測技術が問題なのだと思うけれど、それが今の技術はどのくらいで、どうなったら異次元を見つけられるか?という予想でも良いので示して欲しかった。でも難しい問題なのかもしれない。

    【得たこと】
     宇宙は本当に謎のスケールがでかい、ということを再確認させてもらった。少なくとも、宇宙が存在する限り、人生に飽きることはなさそう。

  • トポロジーの本も、素粒子の本も、量子論の本も、再読してから、この本もまた再読します。
    1冊の本を読むにもリテラシーが必要であることを痛感しつつ、このループ延々繰り返す。

  • 正直理解しきれない部分もたくさんあるが、暗黒物質や暗黒エネルギー、多次元宇宙や多元宇宙などいろいろ勉強になった。

  • 主に暗黒物質、暗黒エネルギー、多次元宇宙、多元宇宙に関して、平易な言葉で説明。
    内容的には少し物足りないような気もするが、初めてでも読みやすい。

  • 宇宙の約96パーセントを占める暗黒物質と暗黒エネルギー。その正体を突き止めていくうちに不可思議な現象にぶち当たる。宇宙論の最前線。

  • カブリIPMU機構長の村山さんの最新宇宙論の入門書。『宇宙は何でできているのか』も新書でわかりやすかった。たくさんのブルーバックスの新書がAmazonで50%ポイント還元セールになっていた中にこの本もあったので購入。

    タイトルは『宇宙は本当にひとつなのか』なので、多元宇宙論の話なのかと思いきや、どちらかというと現状の宇宙論でも大きな謎である暗黒物質・暗黒エネルギーの話が内容的にはメイン。このタイトルがブルーバックスの読者層に対してそれほどキャッチーだとも思えないが、どうしてこのタイトルにしたのだろうか。

    内容については、暗黒物質・暗黒エネルギーの話は知らない話も多く、知識の補完には役立った。宇宙の中で物質が占める割合はたった4.4%程度で、その他は暗黒物質が約23%、暗黒エネルギーが約73%を占めるそうだ。その事実の推定は、銀河の中の星の回転を調べて、本来は外側の星が遅くならないといけないのがそうなっていないという事実からきている。暗黒物質の存在を前提としないとこの現象が説明ができないからだ。その推定が正しいとすると、暗黒物質は銀河を覆う形で球形に分布しているという。しかも銀河の中心から離れれば離れるほど増えるらしい。さらにいうときれいな球形ではなく、長軸と短軸が二対一程度に歪んだ楕円形で分布していることが多い、ということまでわかっている。何となればもともと重力の引力では円盤の形を維持するのは難しいのだという。そうだったのか。暗黒エネルギーについては、観測から明らかになった宇宙の膨張速度が加速しているという事実から推定されている。それが正しいとすると、暗黒エネルギーは宇宙が大きくなっても薄まらないという。結論として膨張している宇宙ではエネルギー保存の法則は成り立たないとまでいうのである。真空のエネルギーを持ち出しても現時点では暗黒のエネルギーはうまく説明できない。このように観測事実から、その存在が要請されるにも関わらず、この本でも書かれているとおり、暗黒物質も暗黒エネルギーも何ものなのかがわかっていない。

    現状暗黒物質を捉えることに多くの人が試みており、日本も中心になりXMASSによる実験や、宇宙全体の銀河を三次元で詳細に観測するSuMiReといったプロジェクトが進められている。暗黒物質や暗黒エネルギーも新しくその存在が認識されたものであり、この十年程度で実はこうであったというような新事実が明らかになるのではないだろうか。少なくとも現状では論理的な飛躍がありすぎていまいち信用できない。

    著者は最後に最新の超ひも理論を紹介し、理論面でも暗黒物質が異次元から来ているとすると色々と都合がよいと紹介している。三次元空間の膜が異次元の中を移動して、あるときぶつかってたがいに跳ね返り、その瞬間がビッグバンだというサイクリック宇宙論も紹介している。なかなか大胆なところまで書いている。タイトルには偽りありだが、コンパクトにまとまっている本。IMPUには頑張ってこの本で取り上げられた課題を世界に先駆けて明らかにしていってほしい。


    『宇宙は何でできているのか』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/434498188X

  • ダークマターの探し方とかたくさんの宇宙の話とか。全然分からなかったからまた読むよ!

  • 娘が課題に使ったという本がリビングに置いてあったので、出張の移動中の飛行機で読みました。私が数十年前に習った宇宙に関する知識と比較すると、現在は、観測技術が上達したこともあり、かなりのことが判明してきているようです。

    最も衝撃を受けたのは、1ページ目の「はじめに」に書かれたいたことで、宇宙全体の5%弱しか、原子で成り立っていなくて、残りは、暗黒物質(23%)と暗黒エネルギー(73%)という事実(p3)でした!

    また、四次元の世界とは、ある事柄を決める(例:誰かと会う)のに、三次元の場所データと、一次元の時間データの合計4つの数字が必要な世界であると、理解できたのが私にとっての成果でした。私の使っていない頭の領域を刺激してくれた素晴らしい本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・小惑星探知機「はやぶさ」は、推進役のイオンエンジン、姿勢制御のための化学エンジンがあったが、化学エンジンが壊れたため、イオンエンジンに使っていたキセノンガスを姿勢制御のために使って、ボロボロになりながら戻ってきた(p16)

    ・地球は秒速30キロで太陽の周りをまわっている、この地球が飛んでいかないのは、太陽が重力で引っ張ってくれているから(p17)

    ・太陽の次に近い恒星は、光速で4.2年もかかる場所にある、ケンタウルス座プロキシマ星(p19)

    ・星の成分は、星からやってくる光を分析することでわかる。(p20)

    ・ブラックホール自身は見えないが、周りの星の運動を調べると、間接的にわかる(p33)

    ・重力のもとになるものは目で見えない、それを暗黒物質と名付けている(p37)

    ・暗黒物質が異次元から来たという説は、止まっている重い素粒子は私達からは見えない次元を走っていると考える。私たちの次元では見えないが、三次元より高い次元から見ると、その素粒子は走っている(p90)

    ・2003年、ついに宇宙の年齢が、正確な膨張速度を割り出すことで判明、137億歳(p107)

    ・暗黒物質は10年以内にその正体が明らかになると期待がもてるが、73%を占める暗黒エネルギーは、まだ糸口がつかめていない(p113)

    ・暗黒物質と暗黒エネルギーに分けている理由は、宇宙が大きくなると暗黒物質は普通の物質と同じように薄まるのに対して、暗黒エネルギーは薄まらないから(p114)

    ・宇宙が大きくなるにつれて、どこからともなくエネルギーが湧いてくる、これが暗黒エネルギーである(p118)

    ・物質保存の法則は成り立っていない、例として、核反応や加速器を使った実験、またエネルギーも膨張している宇宙では成り立っていない(p127)

    ・四次元時空とは、空間を三次元、時間を一次元、私達がどこに行って何をするかを決めるときに使う(p131)

    ・次元とは、いくつ数を決めれば、場所と時間がちゃんと決まるかという、その個数。私達は、四つの次元を感じることができる(p135)

    ・超ひも理論では、宇宙は10次元だと予言されている(p138)

    ・重力は電磁気力と比べると弱い力であるが、そう感じないのは、電磁気力は互いに打ち消し合うことができるから(p145)

    ・重力は引力しかないので、集まっても打ち消し合うことがないので、集まれば集まるほど重力は強くなる。重力がおおきいというよりも、他のもっと強い力がすべて打ち消し合った結果として、重力だけを強く感じる(p146)

    ・相対性理論の登場で、ニュートン力学は相対性理論の中のある特別な状況であるという理解が進んだ(p163)

    ・量子力学の基本原理として不確定性原理があるが、これは小さな物質の場所と速さを同時に決めることができないというもの(p163)

    ・私達が光を見ることができるのは、光が眼の裏の網膜に当たった時に電子が神経細胞の中を流れるから、光そのものを見ているのではなく、光が当たって出てきた電子を見ている。つまり、光が異次元の世界で運動している場合、その姿は光では見ることができない、それは暗黒物質の候補となる(p172)

    ・私達が真空だと思っているものにはエネルギーがたくさんあるかもしれない、このエネルギーのことを真空エネルギーと呼んでいる(p182)

    ・素粒子を点として考えると、つじつまの合わないことが出てきたので、実は「ひも」だったと考える理論が「超ひも理論=振動してひろがっている、ひも」である(p184)

    2015年9月23日作成

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著者プロフィール

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)教授、カリフォルニア大学バークレー校Mac Adams冠教授。
1964年東京都生まれ。1991年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。東北大学助手などを経て、2007年から2018年10月までKavli IPMUの初代機構長を務めた。専門は素粒子論・宇宙論。『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)はじめ著作多数。メディアを通して研究成果を伝えることにも力を入れる。難解な素粒子論・宇宙論をわかりやすい言葉で語る。

「2020年 『そうたいせいりろん for babies』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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