OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734486

感想・レビュー・書評

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  • 深夜の弁当工場で働く主婦たちの犯罪小説。明快な動機はない。けれど、とても場当たり的なその犯行にも必然性を感じさせる、桐野夏生の見事な手腕を感じました。

  • 上巻も圧巻だったけど、下巻はまさに圧巻!

    最後まで読んで思ったのは、ハードボイルドだったんだなーと。
    最後の最後、新宿の地下街でのシーンなんて、あれ、こんなハードボイルド映画なかったっけ?って思ってしまったほど。
    あと、高校の頃に読んだ、西村寿行を思い出しました。
    ラストの雅子と佐竹なんて、ほとんど西村寿行の世界ですもんね(笑)
    そうそう、確か「ハードロマン」とかってジャンル名がついてたっけ。
    そういう意味じゃ、90年代という時代になって、女性が描く、女性の「ハードロマン」ってことなのかもしれませんね。

    『OUT』は文庫で上下になったらしいので、こういう言い方は変なんでしょうけど、下巻も上巻くらいのページ数が欲しかったなーと個人的には思いました。
    つまり、邦子の死体をバラす場面と佐竹が弥生をいたぶる場面、さらにヨシエの家が燃やされる場面がもうちょっと描かれていてもよかったように思うんです。
    趣味ワルっ!とか言われそうですけど、ここまで来たら…、ねぇ。
    切った邦子の首が風呂場にごろんと転がるシーンとか、それを山に捨てるシーンとか。つい想像しちゃうんだけど、でも、やっぱり読みたい!(笑)

    あと、男と女には、ちゃんと肌を合わすコミュニケーションって大事なんだなーというのは思いましたね。
    それは、スッゴク!(笑)

  • 怖すぎるが、入り込んでしまう話。

  • 2018.2.05
    下巻の中盤まではサイコー
    そこから雅子の感情も佐竹の感情もよく分からない
    そこまで暴走出来るか?
    それでもとても面白く読めたけど、普通に最後まで敵対してて欲しかった。
    芥川賞っぽい感じ。

  • それぞれに悩みと闇を抱え込んだ主婦たち。弁当工場で働く日常から出てきたくてもがいてみるけれど、お金がないことから、この世界を抜け出すことができない。仲間の一人が夫を殺したことから、仕事仲間は、お金のために死体を処理することに手を染める。 

    殺人に手を貸すという誤った行為も彼女らには金のためなら超えられる。雅子は、彼女たちを引っ張りながら、深みにはまっていく。それを追い詰めていく佐竹。快楽殺人という行為から、自分の中にある闇を閉じ込めていたが、自分の中にある何かに通じる雅子を異常なまでに追い詰めていくことで
    佐竹自身が解放されていく。そして、ラストには、雅子も、本気で自由になる人生を生きることを決意する。

    桐野さん自身が追い詰められていた時に、この小説を書き始めたということだが、暗く重い小説なのにもかかわらず、最後の解放感、は女性だからか。世界で認められたということからも、人間に共通する闇を描いたからだろうか。
    読み応えのある小説だった。

  • 最後はそうなるのね・・・。
    警察との対決を想像してた。

  • 一見すると、平和そのものなのに薄皮一枚剥いで中を覗いて見たら混沌が渦巻いている、そんな印象でした。やっぱり真のホラーとは人の心、なのかも知れません。。

  • 上下巻一気読み 院内図書館にて

    細部の描写力と作品に引き込む筆力が素晴らしい。
    当時人物に感情移入せずに俯瞰で読める。

    事件はグロテスクで性描写も生々しいけど嫌な感じはしない。

  • 最後まで何とか読み切ったが、共感できるところがないまま読み終わってしまった…、という感じ。今の厳しい生活環境から逃れるのに必要なお金を得るためだったとしてもここまでやるだろうか?
    何かが狂っている、としか言いようがない。この狂気を生み出したのは格差社会ということなのか。

  • 危うい計画で誤算でどんどん落ちていく感じがハラハラした。面白い!
    雅子かっこいい。
    星五つにしようか迷う(;´д`)

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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