- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062756273
感想・レビュー・書評
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「もう私の触れたあの人はどこにもいないのだと悟った」
簡単にまとめてしまうと喪失と再生の話なのですが、内容や展開どうこうというよりも、言葉の表現や醸し出す空気が好きです。私の語彙の少なさや表現力のなさから喉で止まる言葉をうまく紡いでくれたように感じる時があり、それを飲みこむことでまた自分の感情を理解できる気がします。
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奥のほうに抱えた強い不安が一番身近な人間の心を容赦なく揺さぶるからだ。
そばにいると苦しくてたまらないのに、
離れようとすると大事なものを置き去りにしているような気持ちになった。 -
他人に甘えきれずにもがいてるところを
漫画のようなメーンがチュルンと救ってくれる。
そして案の定女子の恋愛の傷は
少しの時間と次の男によって癒されるわけです。
こゆうときにこうしてほしかった
こう答えてほしかったみたいなものを
この男は簡単にいってのけます、まぁ、文字の男だからなのだが。 -
やっと前に進めるかなという、あの感じ。
言葉にしずらい感覚を思い出します。
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子供がいない夫婦が猫を飼うとか、
恋人のいない女の子が大きなぬいぐるみを抱いて寝るとか。
きっとあの人にとってのわたしはそんな感じで、恋と呼べるものじゃなかった。
なるほど。
冬生は完全に玉山鉄二のイメージ -
何度か読んだけれど「ナラタージュ」で惚れた
作家である。私より年下だとこの本の後ろの作
者紹介で知った…ということはまだまだ新しい
作品が生まれてくるということ。素晴らしい。
とても好きな人がいたけれど、その人の心が自
分にない、というか彼にとってそれが恋ではな
かった、と感じ、講師と生徒という関係上別れ
(肉体関係はないが)を迎えてかららやけにな
り誰とでも寝るようになり、堕胎を経験し、今
に至った傷ついた主人公が立ち直りのきっかけ
を得るまで。
(・∀・)イイ!!
友達とその家族との交流で癒されていくのがよ
い。 -
初・島本作品。
職場の主任さんが「文章がうまくて読みやすい作家」と言っていたのを思い出した。
賛否両論あるようだけど、私は好き。
切なくてあったかくて素直で、好き。
重松さんのナイフを読んだ後だったから、余計に沁みたのかも。
長雨の後の晴れの匂いのような物語。 -
200806読了! ★★★
へえ!とおもった。短いものがたり。話の中で、なにが起こるわけでもなくて、気持ちだけがうごいていく。
本人の体は、とどまったまま。
あわあわ系とはまたすこしちがう。
再生する物語ってやつなのか。嫌いではない。ただ、もうすこしってところ。世間的には、この足りなさがいいのかな? -
ナラタージュより良い。ひと夏のあっさりした話で。ただ、主人公の周りにあんな良い人が沢山現れるなんて、そうそう無い。
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ナラタージュには及ばないものの、その素地となる部分は似通ったやるせない恋愛が描かれている。
登場人物たちの心の動きが、昇華されていない分逆にわたしにはわかりやすかった。
いつもこの人の言葉は水のように、液体のようにゆっくりと胸を浸す。
「わたしはあの人に幸せになってもらいたかったんです。眠る前に新しい朝が来ることを楽しみに思うような、そんなふうになってもらいたかった。けど、わたしには無理だった」(p123)
個人的にはこの台詞のあたりのくだりが大好きです。
この人の書く恋愛小説のなかに、哀しいほどにわかりあえず共に生きていけない人々の姿をみるたび、わたしはどこか安堵してしまう。