- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062767101
感想・レビュー・書評
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うーん。
全然わからんかった…!!
世界観が独特すぎて話が頭に入ってこなかった。
狂気だったってことだけはわかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルに関しては何となく、読むことで理解できますが・・・。
主題作品を含み2作の短編。
主題作の主人公と登場人物の関係が、
読み続けるにつれてわからなくなってしまい、
妄想世界から現実に戻されるような最後の流れが、
だいぶ混乱を招いてしまいました。
一番の混乱は、関西弁?大阪弁?と句点句読点の違和感が
読みにくかったですね。 -
肥大化した女性のエゴをかなり斬新な文体と切り口で描写されるのが特徴。
人間の身体における本質を顔、手、性器などではなく、奥歯に求めるというのは確かに良い着眼点だなと思った。
ただそれはそれとして、斬新だから素晴らしいかと言われるとう~んという感じ。短編だからこそ効いてくるトリックもあるにはあるけども、そもそも書き手が信頼できないことが自明であるのにトリック使う必要あるのか・・・?
エゴと自己/他者への破壊衝動をくっつければなんか文学っぽいみたいな雰囲気でるよね~みたいなつい穿った見方をしてしまう。
もう一個の短編は正直全く記憶に残らないレベルだったので何とも言えない。 -
川上未映子さんの最初の小説と目されるものである。表題作が2007年5月、併録の「感じる専門家 採用試験」が2006年11月に、共に「早稲田文学」に掲載されており、単行本は2007年刊行。散文詩『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』は2005年にユリイカに掲載されているので、シンガーソングライターから「言葉の専門家」である文学者に推移するプロセスが、この辺の時期に当たる。
これはかなり「前衛的な」小説だ。2003-2006年執筆の『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』所収のブログに見られたような、無法とも言える自由なパロールの錯綜を、よりアバンギャルドに進展させ、小説のストーリーとしては不条理で割り切れないような形態を描き出している。
読んでいて、これって「ヌーヴォー・ロマン」だなと思った。1950年代以降のヨーロッパに出現した別名アンチ・ロマンの系譜は、ちょうど欧米音楽界でもモダニズム期に見られた無調技法をさらに進展させ怒濤の主体表出ないし世界観の転覆を画した前衛音楽が盛んに輩出された時期、アメリカではジャズにおいてコルトレーン、マイルスなどが熱く型破りな表出を体現していった時期と重なっている。この「現代芸術」の典型的なスタイルが、本書の二つの小説で反復されているように見える。
この前衛性のゆえに私は本書を評価するが、作品としては高い完成度を示すとは言えない。奔放すぎるパロールの横溢を、作者は改めて「コンポジション」することによって「小説」をめざしたのだろうが、ここでは「コンポジション」化が徹底されきれず、作品としての態に到達したとは言いがたいのだ。
このあと、彼女はパロールを整理してストーリーをもっと「普通の話」と解釈しうるようなものに変更する路線に進み、本書表題作から半年後の2007年12月に「文学界」に掲載された『乳と卵』によって、芥川賞を受賞する。やはりこの時期の彼女の文学の変転のスピードが凄い。
「普通の話」として収まりの良い『乳と卵』より後は、どういうわけか川上さんはパロールの錯綜を鎮めていって、文体はどんどん「普通」化へと向かい、しかし繊細な感覚と言葉への卓越した感性を駆使して「織りなす」ことへと精神を集中させていったように考える。
じっさい、そのように作家川上未映子さんは成長したのだが、本書に示されたような極端な前衛性が失われたのはちょっと惜しいような気もする。
もっとも、表題作における放逸な「表現」の数々は、確かに「思考されきっていない」側面があって未熟と言えるのも確かだ。「歯」への執着が、ここでは思考の余技のようなものでしかないため、同じく歯に執着した赤坂真理さんの『ミューズ』(1999年)よりも劣っているような気がした。川上さんはもっと言葉や日常の諸事象への思考を深化させていった結果、その後の『ヘヴン』(2010年)のような方向へと自然に収斂していった、と考えるべきなのだろう。 -
人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳、ではなく歯―人並みはずれて健康な奥歯、であると決めた“わたし”は、歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子にむけ日記を綴る。哲学的テーマをリズミカルな独創的文体で描き、芥川賞候補となった表題作ほか一編を収録。著者初の小説集。
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わたくし率イン歯ー、または世界
(和書)2010年06月14日 16:12
2007 講談社 川上 未映子
面白い文体で、気に入ったのでまたかわかみみえこの作品を読んでみました。
いつもながらおもろい文体と哲学的世界との関連性がとてもユニークで面白かった。
ただこの文体を続けて読んでいると多少飽きを感じることがあります。
ヘブンも予約してあるから、どんな作品なのか楽しみ。 -
f.2023/2/19
p.2010/7/20 -
これぞ川上未映子ワールドって感じ。関西弁が苦手な人は読んでいてしんどいかもしれません。
表題作の主人公が怖い。青木の彼女?が凄まじい。川上未映子の書く女性って、ぼんやりしてるか強い(強烈に)という感じ。 -
未映子は歌手出身ということで感覚的に小説を書くタイプだろうと思っていた。しかしながら重彦ちゃんや春樹ちゃんとの対談を読むと、小説の構造や背景となる思想を勉強し、それを踏まえて作品を書いていることがわかる。素地があるので今後もいい作品を残し続けてくれそうだ。
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・ずっと一人称の主観的な世界に、終盤他者が入ってくることで初めて主人公に対する客観的な視点が入り、それまでとそこからでイメージががらっと変わるところが秀逸
・言い回し、比喩、言葉遣いがユニークでおもしろい。一文が長めで、流れるような文体、リズムが良い
P15 医師の頭の先っぽがわたしの奥歯にあたって、ある達成がどんときらめいたような気がしたんですが、…
16 なんでやの、なんでここにペンなんかもちこむの、一回性の運動を、なんで記録なんかそんな阿呆なことしようとするんのよ、…
22 …あんたがあたしらの知らんところでどんなに謙虚でどんなにポップな人やとしてもこれはけっこうな問題よ。だつわて歯の痛みを知らん人といったい何を渡しあって話したらいいっていうの!
32 今、青木が、仕事場か部屋か、まあこの世界のどこかにいて、どこかから何かを見てたり、聴いていたりするんでしょう、でも、この世界のなかにその場所というのはそこならただひとつしかなくて、お母さんはそのひとつしかない場所のことを思うのです。…お母さんがぜったいに、知ることのできない、立つことのできない、そのものがある場所のことを思うのですよ。
39 お母さんのところには、梱包された荷物みたいにどしんと夜が来ることがあります。