- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087445565
感想・レビュー・書評
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オレンジ色の光は温かくて優しくて心がほっとする。
物語の結末は寂しいが、全体を通して、終始あったかい気持ちになれたのは、岡山の自然と主人公の優しく強い人柄からだ。
人生の締めくくりはみんなくる。
主人公は最後まで自分の人生を、自分で決めて歩き抜いた。
素晴らしい生涯だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
癌と診断された主人公と家族、友人の話。
この状況になったことがないのですが。
リアルを感じることができました。
今のこのご時世。
辛い状況の方々がたくさんおられます。
死について書くことが憚られますが。
生を受けたことへの感謝。
今までのお世話になったみんなにありがとうを伝えたい。
そんな思いで読了しました。 -
歳を取るにしたがって癌に侵される人が周りにも増えてきた。
この小説を読んで、こんなにもつらい病の癌と闘う人の気持がより理解出来そうだ。
闘う人に連帯の挨拶を贈りたい。 -
私利私欲ではなく行動できる
そんな人の周りに人は集まる
目立たないけど、見ている人は見みてくれているものでしょうか
お手本的で見習う生き方です -
残された自分の命とどう向き合うか。
目前に迫る命のリミット。絶望を乗り越えるには余りに短いその時間の中で、受け入れ難い現実を飲み込み、残りの人生を一歩一歩踏み締めて行く遼賀のその姿が切なくも逞しい。弟恭平を始めとした周囲の人々の献身的な様子にも心を突かれる。
類は友を呼ぶ。実直に生きる人間の周りにはやっぱり自然とそう言う人が集まる。ここに登場する遼賀サイドの人々はみんな、馬鹿正直な程に真っ直ぐで、それぞれ色々な過去や問題と向き合いながら生きている。主人公以外の仔細な人物描写が、とても魅力的でこの物語の良いスパイスになっていた。
著者の藤岡さんは実際に看護師をされていたそうで、よりリアルな病院内部の描き方も非現実になりすぎない良き要素。終末期治療に入ろうとする患者に対する、教授の献体推奨発言。しかもお酒の席。フィクションとはいえ、大学病院ともなると少なからずこう言う事ってあるんだろうな、と。患者やその家族の思いと、研究者でもある教授の考えに齟齬があるのは仕方ないとはいえ、余りに命を軽んじすぎていると私も憤りを感じた件でした。こう言うリアリティのある描写を挟むと、綺麗になり過ぎないので、すっ、とストーリーが入ってくる。
これだけ医療が発達していても、未だ日本人の2人に1人は癌になり、3人に1人は癌で死ぬと言われている現実。症状が出た頃には手遅れとも言われる恐ろしい病だし、定期的な健康診断の必要性を感じる。病院嫌いだけど。 -
人はいつ死ぬか分からない。
最期のときに後悔しないよう、毎日を大切に生きていこうと思った。 -
登場人物が皆心優しく、特に遼賀が母に「生まれてきてよかった」と言う場面は思わず涙が出てしまった。
しかし、遭難した時のこと、兄弟として育った従兄弟、優しい母や祖母とのこと、同級生の看護師との出会い、そしてがんでこの世を去らなければならない運命 と、要素がたくさんあって、全てが深まりきっていない感じは否めない。
「目立たないところで皆を支えていた、それが自分の役割だった」と気づいた遼賀は旅立つとき、穏やかな心持ちでいられたのだろうか。30台という若さで死ななければならない人が、それほど穏やかに運命を受け入れられるのかと、ついつい懐疑的になってしまう。
ハートフルな優しい物語だが、最後まで「そんな甘いもんじゃないだろー」という感が残ってしまった。 -
泣けた。小説なのに
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病気ものの物語は苦手だけど、読んでみると面白かったし、とても美しい話でした。
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泣くと分かりきっている本はなるべく避けてきたのにどうしても気になって読んでしまった。そして泣いた。
人は必ず死ぬし、それが明日か何年か後なんて保証もない。毎日きちんと生きなきゃと改めて思わされた。なのにまただらだらしている自分がいて、、、。
死というものに対する答えがはっきりとしないけれど、そこにあたたかさが残るような死に方をしたいなと思った。