きのうのオレンジ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.23
  • (92)
  • (83)
  • (30)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 1079
感想 : 87
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087445565

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • オレンジ色の光は温かくて優しくて心がほっとする。
    物語の結末は寂しいが、全体を通して、終始あったかい気持ちになれたのは、岡山の自然と主人公の優しく強い人柄からだ。

    人生の締めくくりはみんなくる。
    主人公は最後まで自分の人生を、自分で決めて歩き抜いた。
    素晴らしい生涯だ。

  • 癌と診断された主人公と家族、友人の話。
    この状況になったことがないのですが。
    リアルを感じることができました。
    今のこのご時世。
    辛い状況の方々がたくさんおられます。
    死について書くことが憚られますが。
    生を受けたことへの感謝。
    今までのお世話になったみんなにありがとうを伝えたい。
    そんな思いで読了しました。

  • 歳を取るにしたがって癌に侵される人が周りにも増えてきた。
    この小説を読んで、こんなにもつらい病の癌と闘う人の気持がより理解出来そうだ。
    闘う人に連帯の挨拶を贈りたい。


  • 私利私欲ではなく行動できる
    そんな人の周りに人は集まる

    目立たないけど、見ている人は見みてくれているものでしょうか
    お手本的で見習う生き方です

  • 残された自分の命とどう向き合うか。

    目前に迫る命のリミット。絶望を乗り越えるには余りに短いその時間の中で、受け入れ難い現実を飲み込み、残りの人生を一歩一歩踏み締めて行く遼賀のその姿が切なくも逞しい。弟恭平を始めとした周囲の人々の献身的な様子にも心を突かれる。

    類は友を呼ぶ。実直に生きる人間の周りにはやっぱり自然とそう言う人が集まる。ここに登場する遼賀サイドの人々はみんな、馬鹿正直な程に真っ直ぐで、それぞれ色々な過去や問題と向き合いながら生きている。主人公以外の仔細な人物描写が、とても魅力的でこの物語の良いスパイスになっていた。

    著者の藤岡さんは実際に看護師をされていたそうで、よりリアルな病院内部の描き方も非現実になりすぎない良き要素。終末期治療に入ろうとする患者に対する、教授の献体推奨発言。しかもお酒の席。フィクションとはいえ、大学病院ともなると少なからずこう言う事ってあるんだろうな、と。患者やその家族の思いと、研究者でもある教授の考えに齟齬があるのは仕方ないとはいえ、余りに命を軽んじすぎていると私も憤りを感じた件でした。こう言うリアリティのある描写を挟むと、綺麗になり過ぎないので、すっ、とストーリーが入ってくる。

    これだけ医療が発達していても、未だ日本人の2人に1人は癌になり、3人に1人は癌で死ぬと言われている現実。症状が出た頃には手遅れとも言われる恐ろしい病だし、定期的な健康診断の必要性を感じる。病院嫌いだけど。

  • 人はいつ死ぬか分からない。
    最期のときに後悔しないよう、毎日を大切に生きていこうと思った。

  •  登場人物が皆心優しく、特に遼賀が母に「生まれてきてよかった」と言う場面は思わず涙が出てしまった。

     しかし、遭難した時のこと、兄弟として育った従兄弟、優しい母や祖母とのこと、同級生の看護師との出会い、そしてがんでこの世を去らなければならない運命 と、要素がたくさんあって、全てが深まりきっていない感じは否めない。

    「目立たないところで皆を支えていた、それが自分の役割だった」と気づいた遼賀は旅立つとき、穏やかな心持ちでいられたのだろうか。30台という若さで死ななければならない人が、それほど穏やかに運命を受け入れられるのかと、ついつい懐疑的になってしまう。

     ハートフルな優しい物語だが、最後まで「そんな甘いもんじゃないだろー」という感が残ってしまった。

  • 泣けた。小説なのに

  • 病気ものの物語は苦手だけど、読んでみると面白かったし、とても美しい話でした。

  • 泣くと分かりきっている本はなるべく避けてきたのにどうしても気になって読んでしまった。そして泣いた。
    人は必ず死ぬし、それが明日か何年か後なんて保証もない。毎日きちんと生きなきゃと改めて思わされた。なのにまただらだらしている自分がいて、、、。
    死というものに対する答えがはっきりとしないけれど、そこにあたたかさが残るような死に方をしたいなと思った。

全87件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
町田 そのこ
瀬尾 まいこ
夕木 春央
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×