きのうのオレンジ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.23
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本棚登録 : 1079
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087445565

感想・レビュー・書評

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  • 内容も確かめなくて、ただ、書名と装丁に惹かれてずっと気になっていた作品で、文庫本になって手に取りました。
    内容は、なんと33歳の若さで癌に侵された主人公と支える家族や関わる人達の話でした。
    辛くて、苦しくて、でも温かくて、涙がボロボロと流れるような素晴らしい作品なんでしょうが、癌で家族を看取った経験のある私は、この作品に共感も感情移入もほとんどしないまま読み終えてしまいました。
    ただ、そんな中でも主人公の弟には好感が持てました。
    少し残念でしたが、数年後、読み返すことがあったら違う感想が生まれるでしょうか。

  • 友人からのプレゼント
    彼女からこういうハートフルな本がドンと届きます

    ただ、「病魔」「癌」の内容は辛すぎて……

    『弱音を吐かない人は、いつだってひとりで闘っている』
    これは刺さりますよね

    闘病を支えるのは本人の意思と家族の支え
    ドンピシャの本でした

    藤岡陽子さん、いいですねえ

    ≪ まだ生きる そっと手にする 登山靴 ≫

  • 以前図書館でふと目に留まり借りたけれど、タイミング的に読めずに返却。時間を経て再び読む機会が訪れました。
    ちょうど作中に登場する山に登ったばかりで、本は読むべき時に読むべき物を読ませてくれることを実感。

    がん宣告を受けた33歳の主人公遼賀さんが、家族や友人とともに病と向き合い、生きていく。
    各章で語り手が変わるので、本人だけでなく主人公を支える周りの人の心情も痛いほど胸に残る。みんな闘ってる。それぞれの闘い方で。
    どちらの立場でも、私はこんなに強く優しく、そして穏やかにいられるだろうか。運命から逃げずに現実と向き合えるだろうか。

    作者は看護師とのことで、痛みや苦しみも真っ直ぐに描かれる。病の宣告を受けた本人や家族が、怒り、否定、悲嘆など様々な過程を経て、時間をかけて受容していく心理的な描写もリアルでした。フィクションは自由だ。メディアと違って本にはルールがない。自由度の高いフィクションだからこそ描けるもの、表現できるものがある。だからこそ書いてほしいし伝えてほしいと思う。

    自分の生き方を見直し、「丁寧に生きることの大切さ」や「自分らしい生き方とは何か」に気付くことができる素敵な一冊でした。
    読後は、すごく良い本に出逢えたなぁという気持ちで心が満たされ、大切な人に勧めました。

    • マメムさん
      初コメです。
      切ないけど、暖かい作品ですね♪
      こういう作品との出逢いに感謝です。
      初コメです。
      切ないけど、暖かい作品ですね♪
      こういう作品との出逢いに感謝です。
      2023/10/08
  • 図書館本。
    一気に読みました。
    33歳でいきなりがん告知を受けた遼賀。双子じゃないけど双子の恭平。
    兄弟の秘密と雪山での生還体験、オレンジの靴。
    雪山エピソードを絡めつつ、遼賀が普通に生きてゆくさまが心にグッときます。
    みんな、自分にできることをしながら、現実を受け入れていく。静かに。
    家族や友人の支えもまたあたたかい。

  • 33歳の主人公が、突然末期の病気にかかってしまうことになるというあらすじを見て、自分に近い年齢であることから、手に取りました。

    ストーリーは概ね想像した通りになります。
    私は第4章の主人公の弟のパートが好きでした。

    で、気に入ったフレーズは主人公のお母さんの言葉。
    結局、生きることって毎日の積み重ねであって、付け焼き刃に変わることは出来ないんだよなって思いました。
    以下、お母さんのフレーズ。

    p198雑草は目についた時に抜いておくのがええ。そうすると庭はいつもきれいなままじゃ。雑草を放っておくと、いつしか庭は草に飲み込まれてしまう。雑草を抜こうという気持ちも萎えていく。雑草が蔓延った庭が当たり前になる。やがて雑草が雑草に見えなくなる。
    毎日を丁寧に生きるというのは、雑草を抜くことと同じじゃよ。雑草はどんな庭にも生える。家庭という庭にも生えるんよ。だからお母さんはこうして毎日雑草を抜いているの。家族みんなの心に、いつもきれいな庭があるように。

  • 笹本遼賀、33歳。都内のレストランで働きながら、人並みに、真面目に生きてきた。だが、胃の不調で受けた検査は予想外の結果──がんだった。どうして自分が? 絶望に襲われた時、弟の恭平から荷物が届く。それは遼賀が15歳の頃、故郷の山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴で……。「おれはまだ生きたい」懸命に前を向く遼賀と、彼を支える家族を通して誠実に〝生〟と向き合った傑作長編




    読んでいて、もうこの世にはいない両親と 遠く離れた所で暮らしているので 年に1回くらいしか会わなくなってしまった上の子のことを考えてしまった
    上の子は遼賀と同じような歳だからかなぁ…自分の事と置き換えてしまう…

    人の死は皆等しく いつかやってくるのだけど 遼賀のように若くして逝ってしまう人や 自分より先に子供を亡くす人の気持ちは想像するのも難しい

    登場人物が温かい人ばかりで 何度も涙が出てしまった…
    この方は初読みの作家さんかな?と思ったけど 『満天ゴール』を5年くらい前に読んでいた
    ☆4つつけているので 読んで良かったと思った作品なんだろう…なのに内容がうっすらとしか思い出せない(^◇^;)

  • 涙なくしては読めません…
    遼賀と
    恭平、両親、祖父母、泉との関係が
    あまりにも優しくて切なくて。

    私も遼賀のように優しくなりたいな。
    恭平、泉のように強くありたいな。

  • 主人公の病がどうか治りますように。ハッピーエンドでありますようにと願い続けながら読み進め、読み終えた後は、胸に迫る深い読後感で涙が溢れた。

    男の子って不器用で、本当の気持ちを素直に出せないけど、たくさんの思いやりと優しさを持って生まれて来てると思う。でも男だからという鎧を着せられて踏ん張って頑張っているんだろうな。
    全く愛想も無く、会話もない自分の息子の周りにもホッと安心して心を許せる人がいますようにと願わずにいられなかった。

    両親や祖父母、兄弟。身近な家族の温かくも堅い絆は、死ぬ間際に最も感じられるのかも知れないが、生きている間にこそ感謝の気持ちを伝えなければと改めて思えた。

    • 言葉蔵さん
      マメムさんフォロー&コメントありがとうございます♪ほんとに凌駕かっこよかったですよね‼️
      そして「ライオンのおやつ」も読みましたよ〜
      どちら...
      マメムさんフォロー&コメントありがとうございます♪ほんとに凌駕かっこよかったですよね‼️
      そして「ライオンのおやつ」も読みましたよ〜
      どちらも死ぬという避けては通れない現実を心安らかに受け入れられそうで、それにはちゃんと真面目に生きて、人との関係を大切にしていかないとと思わせてくれますよね!
      まだオススメ教えてくださいね!!
      2023/09/11
    • マメムさん
      言葉蔵さん、お返事ありがとうございます。

      『ライオンのおやつ』既読でしたか。どちらも生死の向き合い方が似て良い作品ですよね。

      オススメで...
      言葉蔵さん、お返事ありがとうございます。

      『ライオンのおやつ』既読でしたか。どちらも生死の向き合い方が似て良い作品ですよね。

      オススメですが村山早紀さんの『桜風堂ものがたり』は既読ですか?
      未読でしたら選書の参考までに♪
      2023/09/11
    • 言葉蔵さん
      村山早紀さん初めて知りました。
      ありがとうございます!また読んでみますね!
      村山早紀さん初めて知りました。
      ありがとうございます!また読んでみますね!
      2023/09/11
  • 『手のひらの音符』以来2作目の藤岡作品。正直誰かが亡くなるのを前提にした作品は苦手で、余り好んで読むことは少ないのだけれども、タイトルとカバーデザインに惹かれて、手に取りました❗

    一風変わった家族を描く、瀬尾まいこさんの作品とはまた一味違う、優しくて温かい家族小説でした。

    いつ何時自分も同じような境遇に置かれるかも知れないけれども、今を精一杯前向きに生きていこうという気持ちにさせてくれる、素敵な作品でした❗

  • 最後は涙、涙でした。

    人生の最後を迎える時、何を思うのか。
    考えさせられる作品。
    主人公は、スポーツや勉強とか、
    何かで抜きにでていたわけではなかったけれど
    目立たないところで目立っていた。
    皆んなの拠り所となっていた。
    そんな人になりたいと思っても
    なかなかなれるものではないけれど
    時々この物語を思いだしてみようと思う。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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