となり町戦争 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 853
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461053

感想・レビュー・書評

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  • 設定や始まりはすごくいいと思います。隣町と戦争が始まったのに何も変わらない毎日。いかにもお役所仕事的な戦争の進め方も興味を引きました。香西さんとの生活もなんかいい感じで進むのかな、と期待しつつも、戦争に関しては主人公並にピンときませんでした。戦争のイメージにとらわれすぎなのかもしれませんが、どう読んで行けばいいかわからないまま終了、という感じです。

  • なかなかひどい小説だった。
    戦争と擬似結婚の結びつきは確かにバタイユ的な観点でとらえればこじつけが可能であるが、いくらテクストと作者を切り離すことが前提であるとはいえ、これは流石に作者の狙いではあり得ないし、読めば読むほどに、くどい内面描写やめちゃくちゃな比喩に、苛立ちが湧いてくる。
    となり町との見えない戦争という設定はおもしろい。
    それでカフカのようななにもわからないまま戦争に巻きこまれてゆくといった展開を期待したのだが、心理描写がむだに多いのと、いちいち説教くさくて作者の思想があからさまににじみ出ているのとで、最初に感じられた不条理さや不可思議さといったものがどんどん削がれてゆく。
    説明しすぎたり、皮肉のやり方が露骨すぎたりするために、痛快な寓話としても機能していない。
    そういうところは読者に任せておけばよい。
    物語はしだいに香西さんという本来事務的関係であったはずの女性との恋愛に割かれるようになり、ずいぶんと童貞くさい解決にみちびかれる。
    似たような表現が多いのや、なんだかこちらがそわそわするような文章が散見されるのにも辟易する。
    コートを着てマフラーを巻いている女性に〈まるで初夏の花のような〉なんて比喩を与えるか?!
    こうなると、靴音が描かれることが多いのも、たんなる作家の稚拙な癖なのか、それとも見えない戦争=視覚の否定=聴覚による認識という構図のもとに意識されたものなのかわからない。
    このタイトルだけを与えて、ほかの優れた作家が描いたのなら、それがいわゆる純文学であろうとエンタメであろうと、もっとおもしろいものが出来上がったろうに、とおもう。

  • 突然、町の広報誌に「となり町と戦争を始めます」という発表がされる。そして主人公のもとにも、偵察業務の任命書が届く。しかしどうにも”戦争状態”を感じられない…。
    なんというか…設定はすごーく変わってると思うけど、そんな知名度が上がるほどの作品か?

  • お役所的な、戦争事業。

    すばる文学賞受賞シリーズ。第17回、2004年です。はい、覚えておりますよ。で映画化したのも覚えておりますが、全く見てません。三崎さんの作品も、初めて読みます。

    図書館戦争とごっちゃになりかけてたけど、いきなりとなりの町と戦争おっぱじめる話です。
    でもね、すごい淡々としてた。直接的な戦争感、結構太平洋戦争がらみの本読んできてますけどそういった感じは全くなし。お役所的、戦争。

    すごい役所感覚を持った人が書いているんだろうなぁと思ったら、案の定市役所で勤めながら書き上げた作品とのこと。
    県庁の星(これは学生時代読んだな)を一瞬思い出すも、こちらを書かれた桂望実さんはフリーライター経験とのことだから、取材して書き上げたのかな。

    戦争感が無いのに、町のたよりの文字として重なっていく死体の数。
    アイマスクや、段ボールのおかげでぎりぎり、見えずにどすんという感触くらいしか、主人公は死を経験できないのです。
    だけども人が死んでいく、自分がぼんやりしていたその裏で。

    主人公も、この本を読む我々も、だからこそ考える。
    戦争とは?
    国でも、町役場でも、決めたことに巻き込まれるのは一人一人の住民であるということをつまびらかにしながら、あっけなく終わってしまう戦争という事業。

    やっぱりお役所苦手だなぁと思いながら読み終えて思ったのは香西さんは、主人公との生活方が仕事なのか、隣町の町長の息子と結婚する方が仕事なのか?ということ。
    主人公サイドで読んでいたので、香西さんはその実、この業務のどこをどう感じていたのか気になっちゃます。

    ちょっと、すべてがクリーンに解決しちゃう感じがありましたけど、デビュー作だからなのか、今もそうなのか?若干、気になるところではあります。

    読み終わってから調べて江口洋介と原田知世が実写化したと知りびっくり。そんな大人の人の話だったのか。

    10年前だとしても、もう少し若めの人たちの話かと思ってました。

  • 多分、駄目な人は最初の数ページでもう駄目だと思います。はまる人はどっぷりはまるでしょうし。そういう突飛な作品です。ちなみに僕は後者。

    ある日唐突に始まったとなり町との戦争。実感の無いままに主人公がズルズルと引き込まれ、生と死の淵に追いやられる様が怖いです。途中までこれ、お役所仕事をネタにしたコメディだと思っていたのですが、いやぁ、ブラックジョークもここまでやられるとホラーですね。

    惜しむらくは「終章」で、ここだけ筆致が違うような気がしてどうにも引っかかりました。倉庫街界隈の街並みの描写は完全に蛇足ですし、主題をストレートに押し出しすぎたような気がします。でも、ラストシーンは割と好きなんですけどね。

    肩肘張らずに読んだつもりが、なにかしっくりしない感触が残ると言う、不思議な作品です。

  • 【596】
    2016.10.29
    うまく感想を言葉にできない。
    曖昧なまま進んで行く戦争に不思議な感じがした。となり町といいながら、今の世界で起きてる紛争に対する感覚と主人公の感覚は同じかもしれない。

    そして三崎亜記って男性だったのか。

  • H28.9.25 読了。

    何年か前、まだ読書の趣味がなかった時に、
    初めてまともに小説買って読んでみよう!
    と思って買った一冊。
    しかし、当時は途中までで読むのに飽きてしまい、やむなくブックオフ へ。

    で、今回は図書館で借りてリベンジ。

    一言で言うと、
    微妙。

    そら最後まで読まずに売るわ。
    当時の私、間違ってない。

    行政がどうのこうの〜ってのが長い。
    読者としては、知らねーよ!
    って感じ。
    小説なんだから、面白かったらいいんだよ!

    文庫本を借りたので、別章があるのはいいんだけど、それも特に気にならない話。
    あっ、そ。

    個人的にはこの著者の作品はもう読まないでしょう。
    好き、嫌いとかではなく、合わなかった。
    それだけ。

  • 4

  • 独特の雰囲気。
    終わってみればちょっと深い気がする一冊。

  • 突飛な設定(あり得なさいう意味で)だけれど、ボクは満足。楽しめた。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞を受賞しビュー。同作は18万部のヒットとなり直木賞にもノミネートされた。著書に『廃墟建築士』『刻まれない明日』『コロヨシ!!』『決起! コロヨシ!!2』など。

「2021年 『博多さっぱそうらん記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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