銀河鉄道の夜

著者 :
  • 集英社
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感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520033

感想・レビュー・書評

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  • 宮沢賢治の有名どころを集めた物語集。

    -やまなし-
    「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
     国語の教科書でも出てくるお話。キラキラする水の光が浮かびます。

    -いちょうの実-
     いちょうの子どもたちがお母さん木から旅立つお話。

    -よだかの星-
     「いったい僕は、なぜこうみんなにいやがられるのだろう。」
     鷹からは名前が似ているのが不愉快だから市蔵にしないと殺してしまうぞと言われたよだかは、遠くの向こうの向こうの空を目指して高く高く飛び立ちました。

    -ひかりの素足-
    「お父さんおりゃさ新しきもの着せるっていったか。」
    「それからお母さん、おりゃのごと湯さ入れで洗うていったか。」
     仲の良い兄弟の物語。

    -風の又三郎-
    どっどど どどうど どどうど
    青いくるみも吹きとばせ
    すっぱいかりんもふきとばせ
    どっどど どどうど どどうど どどう
     風とともに転校生がやってきました。あれは風の又三郎だ、子どもたちはそう思ったのでした。

    -銀河鉄道の夜-
     天の川、銀河、キラキラ光る星の川。ジョバンニとカムパネルラは銀河ステーションから列車に乗って、銀河へと飛び立つ。

    ------------------------------------------------------------------

     有名なのにきちんと読んだことがなかった「銀河鉄道の夜」を読もうと思って購入しました。「やまなし」で懐かしい気持ちになり、いちょうであたたかい気持ちになった後は切なかったです。よ、よだかぁぁ…!青空文庫で小学生の頃に読んだ時以来の再読でしたが、心優しいのに見た目で理不尽な扱いを受けているよだかが健気でした。「光の素足」は初見だったのですが、風の又三郎の声を弟が泣きながら繰り返す時にまさか…と思ったらまさかでした。あーうーうー。「銀河鉄道の夜」は大筋は知っていたものの、改めてしっかり読むと、途中のきょうだいが切なかったです。キラキラキラキラした星の情景がいっそう切なく浮かんでくるようでした。キラキラ、キラキラとした幻想の物語集でした。

  • 高校を卒業する今この歳になってやっとなんとなく話が分かるようになった。これを小学生の課題図書とかにするのは少し無理があるんじゃないかな。

    ジョバンニのちょっと卑屈っぽいところが自分と重なって惹かれるな。

    ほんとうの幸いって なんだろう。

  • 青や橙色に輝く星の野原を越え、白く光る銀河の岸をわたり、ジョバンニとカムパネルラを乗せた幻の列車は走る。不思議なかなしみの影をたたえた乗客たちは何者なのか?列車はどこへ向かおうとするのか?孤独な魂の旅を抒情豊かにつづる表題作ほか、「風の又三郎」「よだかの星」など、著者の代表的作品を六編収録する。
    (裏表紙紹介文より)

    ***

    前々から銀河鉄道の夜を読みたいと思っていて、今回表紙に惹かれて買いました。
    私の中のイメージにぴったりで、これだ!と思って手に取りました。

    さて、「銀河鉄道の夜」はちょっと読みづらくて。
    でもこのお話だけは流し読みにはしたくなかったので、朗読やプラネタリウムに助けられながら読みました。
    音にするとやっぱり違いますね。

    他のお話では「やまなし」「いちょうの実」が好きでした(そして読みやすかった)。
    「ひかりの素足」は哀しいけれど、きちんと読み返したい物語でした。

  • カムパネルラ というボカロ曲がすきで買いました 星海の旅はキラキラしてるけど、切ないですね

  • 銀河鉄道の夜を読んで、死物語なのだけれど背景がとても綺麗で主人公と空の旅をしている気分でした。
    でも、夢から覚めて後、一緒に旅をした大切な友達はもういない。
    その現実を知った時は、衝撃だけれど悲しみとは何か感じた。

    またこの本の中に入っていた。よだかの星。
    私たち人間は当然のように物を食べて生活しているけれど
    それは、なにかを犠牲にして生きているということを忘れてはいけない気がした。

  • 読書感想文を書くために読みましたが、この作品の感想文を書くのは難しいですね。
    結局、感想文はほかの本にしてしまいましたが、宮沢賢治の名作を読むことができてよかったと思います。

  • 子供時代に読み損なったので、今更あらためて。
    表題作の「銀河鉄道の夜」は、なにもかもが現れては流れて消えていく幻想的であやふやな夢の世界だけれど、良いことも悪いことも、なにかしらの未来を予感させる。不安定で心許ないジョバンニの揺れは、そのまま賢治の深層だったのかもと思う。

    死んで光になることを選んだ「よだかの星」は、そこしか行き着くところがなかったのかと、現代にも通じるいじめの根深さを思い知る。

    ファンタジーと思って読みはじめて、意外な現実感を突き付けられたように思う。

  • 「やまなし」
    蟹のホームドラマ
    子供たちは春に世界の厳しさを知り
    冬に酒の味を知る

    「いちょうの実」
    いちょうの木についたギンナンたちが風に飛ばされ落ちてゆく前夜
    夢とか不安とか好き勝手なことをしゃべり倒しているという話
    母であるいちょうの木は黙って悲しんでいるばかりだが、そこには作者の教師としての思いが投影されているのだろうか

    「よだかの星」
    世の中にうまくなじめない鳥が星になろうとする話
    そんな生き方しかできない不器用さは愛すべきものだが
    それを不遜と見る向きもあるかもしれない
    一部、独特のユーモアセンスが炸裂してます(市蔵って・・・)

    「ひかりの素足」
    雪山で遭難した兄弟が、気付くと地獄への一本道を歩かされている
    冒頭、不吉の予兆として「風の又三郎」が登場する
    また、ある意味では「銀河鉄道の夜」の陰画であるとも言える

    「風の又三郎」
    親切で頭のよい転校生・高田三郎少年だが
    村のしきたりや上下関係には無知・無頓着であり
    それゆえ周囲の子供たちとうまくかみ合わない
    物語は親の都合で唐突な結末を迎え、すべては迷信に回収される

    「銀河鉄道の夜」
    カンパネルラは一足飛びでいいところに行ってしまった
    どこでレールが別れたのか知らんが
    ジョバンニは再び銀河鉄道の切符を探さなくてはならない

  • [2011.08.26]
    “兄さんの蟹は、その右側の四本の脚の中の二本を、弟の平べったい頭にのせながらいいました。”
    (やまなし)

    おなじ集英社の『注文の多い料理店』のテーマが悪だったのに対し、これは死や別れがテーマだったように思います。よだかの星とやまなしが好きです。風の又三郎に、ちがう短編に出てきた文章がすこしだけ変えられてそのまま使われていたのでびっくりしました。読み取りは難しかったです。
    銀河鉄道の夜は読む度に映像が頭の中で再生されます。いつか映像化してみたい。

  • この小説を読んでると、たくさんの青色が浮かぶ。

    私の中での銀河鉄道は、いつでも夜の世界で星が瞬いて、カムパネルラとジョバンニは無表情で寂しそう、不安そうにしてる。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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