- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712889
感想・レビュー・書評
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どういう風の吹き回しか、この本を読む直前に
たまたま林芙美子の「放浪記」と宮本百合子の「伸子」を読んだのです。
なので、与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子のシベリア鉄道の旅をたどる
この紀行文も、大変興味深く親近感を持って読むことが出来ました。
でなければ、まったく楽しみ方が違っていたでしょう。
逆に言えば、そのおかげで著者と同様に、思い入れをもって
彼女たちのたどった往年のシベリア~パリの旅行気分を味わうことができました。
予備知識を持って本書に当たることができ、大変ラッキーでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
与謝野晶子らの旅路をなぞって列車の旅。
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シベリア鉄道で大陸を渡り、ヨーロッパへ行く。
私も大学時代に憧れ、未だ実現していない夢を実現した女流作家3人の足跡を辿る女性作家の旅行記。シベリア鉄道への興味から読み始めたけれど、気がつけば、シベリア鉄道よりも彼女たち3人+1人の人生に興味を持って読み進んでいた。 -
与謝野晶子、中條百合子、林芙美子へのオマージュ。
三人の女性が残した日記や作品を手がかりに、
興味や関心の赴くまま、西伯利亜鉄道にゆられる。
林芙美子の記述に、少々もの足りなさを感じながらも、
往時にも匹敵するような露西亜の旅行事情や、
過去の体制に対する人々の思いなど、興味深かった。 -
落ち着いた色味のかわいい装丁、そしてシベリア鉄道、それも与謝野晶子、中條(宮本)百合子、林芙美子の足跡を訪ねるという評伝とも紀行文とも言えない、なんともまぁ不思議な本。著者森まゆみさんのことも、谷中千に詳しい人?というくらいの認識しかなかったが、、。
不思議な魅力満載の『女三人のシベリア鉄道』は、今年読んだ中で最も魅力的な1冊だ。
当初は読みにくさを感じ、あとがき含めて345ページというボリュームで読むのを止めようかと思いつつ、いつの間にか森さん自身のシベリア鉄道旅と、とりあげている彼女たちの旅路やら人物そのものの描き方がなんともいえずによい。時には主語が森さんなのか、彼女たちのことなのかわからなくなって、読み返すことも多かったけれど。
文学史的な意味でしか三人を認識していなかったけれど、森さんの取り上げる彼女たちの作品はなんとも魅力的。とくにそれぞれが記したシベリア鉄道紀行は、なかなか長編のようだけれど、機会があればぜひ読んでみたい。
旅物の書籍はいろいろあれど、人生の折り返し地点の今、いろいろな意味でこの『女三人のシベリア鉄道』は、まさにおすすめしたい1冊。 -
与謝野晶子、中條百合子、林芙美子の旅の軌跡を追って、森まゆみが旅をしながら、それぞれの生き様に思いをはせる書。森さんの住む谷根千に、森さんの生き方と行ったり来たりしながら、3人の、いや、森さん自身を含めた4人の女性の社会との関わり、生かされ活きることが綴られていく。なんともダイナミックな人たち。夢と理想と女であること、という現実の狭間で自分の思いを糧に生きる。すごい、すごい、ただただ、すごい。そして、できそうで、でも、できないことだ、と思ってしまう自分の小ささを感じた。時代の閉塞感がないわけじゃない、そんななか、これから読んでみたい本が増えました。
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与謝野晶子、中條百合子、林芙美子の旅の軌跡を追って、森まゆみが旅をしながら、それぞれの生き様に思いをはせる書。森さんの住む谷根千に、森さんの生き方と行ったり来たりしながら、3人の、いや、森さん自身を含めた4人の女性の社会との関わり、生かされ活きることが綴られていく。なんともダイナミックな人たち。夢と理想と女であること、という現実の狭間で自分の思いを糧に生きる。すごい、すごい、ただただ、すごい。そして、できそうで、でも、できないことだ、と思ってしまう自分の小ささを感じた。時代の閉塞感がないわけじゃない、そんななか、これから読んでみたい本が増えました。
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考えて生きてはる女性はいい。
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明治から昭和の初めにかけて、世界最長9000km超のシベリア鉄道で、与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子が欧州に渡った。それぞれの理由を携えて、単独で、また、友と共に。
森さんが、実際にその旅程を辿りながら、それぞれの日記や私小説を紐解き、かつての旅を検証していきます。4人の旅が時間を超えて交錯します。面白い。
明治の女流作家って、高校生の頃に全然ピンとこなくて、それっきりだったけど、今なら読めるかもしれないという気になりました。 -
ジャンルを決めるのに、困る内容だ。
著者がシベリア鉄道に乗って、大正から昭和の時代に生きた女性作家3人の日記をもとに足跡をたどりつつ、自分のシベリア鉄道の旅の記録もあわせて残す、という。
女3人の中には数えられてないんだけれど、中條百合子の恋人、湯浅芳子に著者と同じく惹かれる。
とてつもなく長生きして、昭和が終わるのを見た人。
長生きしたひとだけに与えられる「歴史を体験した」人。
これをきっかけに興味がでてくる。
反戦ではなく、体制に協力的だったひとに著者は少し批判的だけれど、自分の子供や夫が戦っているのを応援しないわけにはいかないだろう。それを拒み、戦争を早く終わらせることに尽力したら、それはもしかしたら夫や子供を救う道なのかもしれないけれど、人間としてとても難しい道だと思う。
だからこそ尊敬に値する、のかもしれないが、体制に協力したからと言って一方的に批判する気にもなれない。