- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713053
感想・レビュー・書評
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「小説すばる 2009.4」
やはり同年代の作家さんだけあって、共感するフレーズがあちらこちらに鏤められている作品であった。
彼女の作品は、平凡な日常にある種のスパイスを与えてくれる。
それはストーリーの中でもあり、私自身の生活の中でもある。
【付箋メモ】
生きるのが面倒なのは、不幸だからではなく、生半可な幸せと堪えられそうな不幸が交互に訪れるからではないだろうか。(p36)
世間の規範から外れた幸せが欲しい。
ひとりだけで、こっそり笑うような。(p38)
誤解が起きたら、言いわけはしないことだ。面倒だからだ。人の噂話はしない。自分の噂は放っとく。否定するのもばかばかしいことだ。
なんでもかんでも得するように努力することが人生の近道ということはない。得するように考えることは、神経を擦り減らすことになる。(p46)
二人で黙るのは楽しい。喋ると「伝え合う」ような気分になってしまうけれど、黙ると「共有」のような気持ちになる。(p68)
痛みというものは消えることがないが、薄らぐという性質を持っている。(p69)
先に続く仕事や、実りのある恋だけが、人間を成熟に向かわせるものではない。ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ。(p69) -
いままでに出会ったことのない、
文体というか。
不可思議ー!
拙い、わけじゃないんだけど。
極力、文字数を減らして
シンプルにしてる感じ。
ハマります。
ナオコーラワールド。 -
今まで読んだ山崎ナオコーラ作品でベストスリーに入る。(一番好きな作品のタイトル忘れてしまった。文学界で読んだんですが)
会話の暖かみとぬけたようなリアルな雰囲気。
味気なくも感じる物語の世界で、たまにキツイやりとりや文章が出てきてぐっと来てしまう。
同時収録の「ああ懐かしの肌色クレヨン」もよかった。
肌色のクレヨンが存在した時代も私は好きだとかなかなか言えない言葉だと思う。 -
ナオコーラの小説は、内容よりもフレーズが心に残る。ぐっとくる台詞もかなり多い。
なので、読み終わると本は付箋でいっぱい。
でもどれを読んでもしばらくすると話は忘れてフレーズしか覚えていなかったりする。
淡々としているようで内側はすごく熱く生きている人たち。 -
新聞に掲載するラジオ・テレビ欄の作成と校閲を仕事にしている非正規雇用者の広田、岸の物語。物語、というか、タイトル通り<会話>、あるいは<思考>の断片で成り立っている一冊だ。
働くことは詩を詠むこと、という言葉が途中で出てくるが、まさしく詩篇のように感じる箇所もあった。彼らの社会生活を語っているようでありながら、概念を詩にしているようでもある。
抽象的な印象を抱くことが多い山崎ナオコーラの作品は、時折はっとするくらい、ああそうだな、と頷きたくなるような「当たり前のこと」を的確に言葉にすることがある。
なんでもかんでも得するよう努力することが人生の近道という理はない、とか、仕事をしていて相手を非常識だと思う時は相手もそう思っているだろう、とか、改めて言葉にされると、すとんと胸に落ちる。彼女の作品はこういうところが好きだ。 -
タイトルで借りてきたけど、段が下がってて文字数もそんなに多くなくて読みやすそうだけどちょっと登場人物の把握が上手く行かなくて読みにくかった。
何もかもうまく行かない。そんな日常。 -
夾竹桃の花が咲き、世界は甘く。
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2021.10.09
山場がなくていつの間にか終わった感じがした。