海の見える理髪店

著者 :
  • 集英社
3.42
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本棚登録 : 3907
感想 : 560
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716535

感想・レビュー・書評

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  • 短編集
    家族の繋がりと繋がりからみえる複雑な心境がテーマと感じた。


  • 何かしら心にちょっとした引っかかりを持った人たちの短編集
    その人達の全ての事柄が解決するわけでなく、ほんのちょっとだけ一歩踏み出せる進展がある、些細な日常の一つだけど、それがあったからちょっと前向いて歩いていける、そんな6つの物語
    なんでこの結末でお話が終わっちゃうのーともっと続きが読みたくなる短編集ばかりだけど、それがまた変に作られた物語ではなく、ありふれた日常に思えるし、本当に些細なことが人生を変えるきっかけにもなるんだなと思えた。

    海の見える理髪店 名手と言われる理髪店に訪れたある若者とその店長の会話形式で物語がすすむ。基本的に店長の昔話を聞く流れだけど、その文書のやり取りも素敵だし、さいごにわかる二人の関係性もまた素敵
    成人式 娘をなくした夫婦がまた前を向いて歩くために起こした行動とは、自分たちの殻をやぶり今のままじゃいけないと思った時のきっかけずくり

    この二つのお話は特に面白かった!
    よくある6つの話が最後に混じり合う、なんてこともなく、それぞれの話がまったく違う方向性で進めらる。
    それでも読み終わって、あ、なんか人生ってこんなもんだよなって思えちゃう
    さらっと読め、後味が悪くない、そんな本でした!

  • 表題作を含む短編集。
    家族がテーマだと思う。
    人は結婚で家族になり、子供として家族に生まれる。
    そこを出て、あるいは戻り、失ったり捨てたり…
    しかし、たしかに家族であったという事実は消えないのだ。
    心の中にどんな思いがあろうとも。

    『海の見える理髪店』
    海辺の小さな町にある、時代遅れの洋風作りの理髪店。
    いつもは美容院で髪を整える若者が、ネットで予約して訪ねてくる。
    渋い声の俳優さんに朗読してほしい。

    『いつか来た道』
    芸術家で口うるさい母親に、否定され、支配されてきた。
    その呪縛から開放されるとき。
    母を許した、と読むべきだろうか。
    あの日の自分に、もういいのよ、と母の代わりに赦しをあたえたと読むべきだろうか。

    『遠くから来た手紙』
    ほほえましい家出。
    杏色の髪で、部屋はキティちゃんでいっぱい…な、若い義妹(弟の嫁)ががんばって農家の主婦してるのがけっこう良い。
    おじいちゃんとおばあちゃんも、昔は恋人。

    『空は今日もスカイ』
    佐藤茜、小学校三年生。
    冒険家になりたい。
    神社で出会った、透明人間になりたい森島くんと海を見に行く。
    ささやかな逃避行の末の、茜の決意。

    『時のない時計』
    壊れた時計が語る、知らなかった父親像。
    やはり父だ、と思った次の瞬間に、蛙の子は蛙…と思わなかったか。

    『成人式』
    悲劇からの、突飛な思いつきにびっくり。
    友人たちが良い。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ★、3か4かで、ずいぶん迷いました。
    悪くはないですが、大きな賞をもらうほどでは…
    他にも書いている人がいましたが、「直木賞」では誰にでも読みやすいことが重要ということなのですかね。

  • 抑えが利いた人間ドラマで結構好き。

    短編はあまり好きじゃないんだけど、
    直木賞ってことで読んでみました。

    タイトルの「海の見える理髪店」は、
    理髪店自体に秘密やこだわりでもあるのか?
    と思って読み進めると実は人間ドラマでした!ってオチなんだけど、いい意味で予想外の展開でした。

    よくよく振り返ってみると、筋書きや展開は平凡なんですが、謎の店主の語り口、冷静な若い男性客、こだわりのある海沿いの理髪店がうまくマッチして、抑えの利いた何ともいい雰囲気の物語になってます。

    エンタメでストーリー展開で読ませるというより、
    人物や情景描写の力がある、読み心地のいい本って感じです。

    派手めの話が好きな人には薦めませんが、
    落ち着いた雰囲気の小説が好きな人におすすめです。

    「羊と鋼の森 」とか好きな人にいいかも。

  • 家族をテーマにした短編集。
    ちょっと暗い、と言うか私には重かったな。ちょっとだけど。
    世の中にはいくつになってもすっごく仲の良い親子もいるけど、親子であっても色々あるし。
    でももうちょっとカラッとした話が好き。

  • 読みやすい話ばかり。表題の話、良かった。

  • 前回の直木賞作品です。図書館で順番待ちしてました。

    せっかく待ったけど、この作家さん私は合わないのかも。
    以前著者の他の作品を読んだ時も、世間の評判は良いのに私の評価は☆2でした・・・

    本作もなにがよくて受賞したのかわからず・・・
    元々短編集が好みではないのだけど、それにしても説明がくどくて文章力があるとは思えない(でも、情景描写がいい、というレビューも結構あるの)し、エンタメ性にも欠けるし、ヒューマンストーリーにしても底が浅すぎる。
    辛うじて表題作はまだ読めましたけどね。
    他はけっこうひどい。オチがすぐ読めるし、不幸な子供とか死とか泣けるテーマを持ってきていてなんだか安直な感じ。こんなんでいいのだろうか。

  • 映画のアカデミー賞と同じで。
    直木賞や芥川賞が商業主義だ!て方々が居る。
    そうなのかも知れないし、そうでは無いのかも知れない。
    とりあえず。
    一年ぶり?位に、読者の秋で、本を読むきっかけをくれた一冊である事には間違い無い。

    理髪店のお話が六遍続くのかな?と思ってたけど。
    六話は繋がりのないお話だったな。

    タイトルにもなっている、海の見える理髪店のお話なしは感動しました。

    他の五遍は俺の好みでは無かったけど、悪いお話では無いと思う。。。


    はい。
    他にも、どんどん図書館から借りたので、バンバンレビューを上げていこうかな(*´ω`*)


    よろしくお願い申し上げます!
    ♪(v^_^)vv(^_^v)♪

  • 大好きな荻原氏の作品、しかも直木賞!と多大なる期待を胸に読む進めたのですが・・・なんだろう、この肩透かし感。ひねりもなく、どこかで読んだような結末に対するがっかり感。(実際、表題の作品、他の作家さんで似たような設定の短編を読んだことがあります・・・)どのお話も悪くはないのですが・・・。いや、読後の寂寥感はさすがですが、今回はその余韻があまりにも物悲しくて、気持ちが引きずられてしまい落ち込みが倍増。同じ直木賞なら、他の作品で取って欲しかった気がします。

  • 良かった。これも荻原さんだね〜。でも、直木賞はもっと早く別の作品でとって良かったのに。最後の話を人前で読んだのは失敗。うつむいたり天井を見上げたり…顔を隠したりしなくちゃならなくなりました。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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