もしも私が、そこにいるならば

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  • 小学館
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861250

作品紹介・あらすじ

一瞬のような一生。一生のような一瞬。『世界の中心で、愛をさけぶ』につながる3つの愛の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 事故とか病気とか命を扱う物語は悲しくなるからちょっと苦手。

    猫までも病気で死んでしまう。

    抑揚がなく掴みどころもなく淡々と物語が進んでいくからつまらないのかと思いきや、読んでいると余命があと少しな気になって、日々が愛おしく思えてきた。
    「好きという感情は捨てようと思っても捨てられないなら誰のものなんだろう」
    「好きな人と一緒にいる何気ないひとときがどれほど大切か」
    嫌いという感情も誰のものなんだろう。嫌いな人と一緒にいるひとときはなるべく過ごしたくないなと思った。

    普段の景色も片山氏を通すと美しく思えた。
    美しいなと思った所を一部抜粋
    「疲れた太陽が、海の彼方に火照った身体を沈めようとしていた。 海は砕かれた光できらきら輝いている。」
    「雨は暗い空から落ちてきて、部屋の明かりに照らし出され、再び暗闇に溶けていった。」
    夕日と雨を見る時はこのことを感じながら見ると思う。

    鳥は死を名付けないが1番好き。

  • 片山さんの作品はそんなに多く読んではいないが、生と死が隣り合わせてる、危うい情景が多いような気がする。

    そして静かに物事が進んでいく。
    そうだ、激しい部分がないのだ。

    だからかもっと片山さんの作品を読みたくなった。
    たんたんと読みたい。

  • 死を扱った短編集。
    母を失った娘。
    友人を失った男。
    教え子を失った教師。

    様々な視点から
    そして、様々な死から
    生きるということを考えさせられる作品。

    何気ないことが
    どんなに大切か、
    それを知っている、
    それだけで
    きっと世界は何倍も何十倍も
    美しくなるんだろう。


    【いま、ぼくたちがこうしてご飯を食べている。
    その人もどこかで誰かと、ご飯を食べているかもしれない。
    でも彼女と一緒にご飯を食べている人は、
    自分の過ごしている一瞬一瞬が、
    どれほど大切なものであるか、
    たぶん知らないだろうね。
    それがどんなに貴重なものか。

    何気ないひとときが、
    とても大切なものを含んでいる。
    強く望まれながら叶わなかった、
    ひどく大切なものを孕んでいる。
    そういうことを、
    彼は知らないんだろうね。】

  • 3つの短編

    海での事故で植物状態になってしまった母。
    そんな母のもとを突然訪ねてきた一人の男。

    娘の知らない母、娘が知ってはいけない領域にいたかつての若き母。

    [もしもわたしがそこにいるならば]

    なんか深刻ですべてが雨のなかのようなどんよりした空気を醸し出して薄暗い雰囲気が漂っていて、
    それでいて著者は文を書くことを楽しんでるのかも的な面もあって
    特にそれといった印象には残らないものだ(黙

    猫が癌になって死んだとか
    まさに今の自分の近況とそっくりすぎて焦る。
    この前も虫歯治療のときに著者の本読んでて虫歯ネタだたし。
    運命を感じる)^o^(

  • なかなかさわやかな作品。なによりも3つの短編それぞれがこれから前に進んで行く、みたいな終わり方です。
    片山さんらしい非常にあっさりした構成です。
    ただ少々物足りなさは残った感はありました。

  • もしも私がそこにいるならば★★★
    鳥は死を名付けない★★★★
    九月の海で泳ぐには★★

  • 事故で母が面会謝絶のときに男が見舞いに来たことにより、母親の過去が少しずつ聞かされて、話が進んでいく

  • 母が亡くなって訪ねてきた男性。
    彼は母とどういう関係だったのだろうかと考える娘。

    など死と言うものに向き合って静かに考える話が多い。

  • 読み終わった後もどことなく後を引く話だった。
    読み始めたら終わりまで読んでしまうが、読んだ後に、「そういえばあのくだりは、あのセリフは、何を意味していたんだろう」とぼうっと考えてしまう。

  • 叫べ。

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著者プロフィール

昭和34年(1959年)愛媛県宇和島市に生まれる。愛媛県立宇和島東高等学校卒業。1977年九州大学農学部に入学。専攻は農業経済学。1981年同大学卒業、大学院に進む。1986年「気配」にて『文学界』新人賞受賞。1995年、『きみの知らないところで世界は動く』を刊行。はじめての単行本にあたる。2001年『世界の中心で、愛をさけぶ』を刊行。その後、ベストセラーとなる。近著に『世界の中心でAIをさけぶ』(新潮新書)、『世界が僕らを嫌っても』(河出書房新社)などがある。福岡市在住。

「2024年 『含羞の画家オチ・オサム—美術集団「九州派」の先駆者—』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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