- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093863735
感想・レビュー・書評
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バブルを知ってる世代としては、ハラハラしてドキドキ。お寿司食べたくなった。ラストはセクシーで素敵。
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これは恋愛作品として読むのではなく、バブルの時代に寿司屋のカウンター越しに繰り広げられたであろうOLの成長記録作品、が正しいような気がする。
柚木作品には食べ物がとにかく多く出てくるのね。「ランチのアッコちゃん」は食そのものが題材だし、「伊藤くんA to E」ではデパ地下のケーキ店がキーになっている。食べ物好きだから、食の描写も気になるし、好みだ。 -
手ってすごく大事だと思う
温もりとか…繋いだ感じで相手がわかるっていうか…
青子は 不器用だなぁ と
もっと上手く生きていけばいいのに 強がってる分 さみしさは人一倍… -
ジャケ買いならぬジャケ借りしたこちら、タイトル「その手をにぎりたい」で、寿司屋舞台の物語とはなかなか良い。
時は昭和バブル期。座るだけで3万円の高級寿司屋に通うために働くOL青子。ワープロ、とらばーゆ、お茶汲み、ソバージュ…古臭いワード炸裂。景気は良いけど女性の社会進出に苦労の多い時代だったんだなぁとお仕事女性の苦悩も描かれる。
一ノ瀬さんが握る魂のこもったお寿司が美しい。ものすごく美味しそうで日本酒が飲みたくなる。先日読んだBUTTERもそうだったし、食の描写がたまらなく上手。
序盤はすごく好きだったけど後半やや失速した。 -
バブルと寿司とOLと。
時代に翻弄されるOL青子が酸いも甘いも涙も飲み込んで逞しくなっていく。 -
2022.8.6
気の強い女だ。
途中からちょっと違うぞ、変な方向向かっていると寄り添えなくなってしまった。
美味しいお寿司は魅力的だが、一食に3万は私はムリだ。
そこまで食を極めるのはすごいけど、
そういう人もいるからお店もあるのだね。
技術も磨かれる。
所詮バブル時代の空気感。客も店も頓挫してしまったのは残念だけど、
地に足をつけて歩く決心、大切かも。やりきった爽快感はあるだろうし。 -
寿司の描写が綺麗ですごく食べたくなった。
バブルの時代がよくわかったし、20代後半の女友達とのステージの違いで分かり合えないこともすごく共感。
最後の会話もよかった。
成長できるような行きつけのお店や自分のために自分でお金を使うということをしたくなった。 -
ランチのアッコちゃんの作者さんだ~って感じで読み始め。 うーん・・サクサク読めるが、なんか気持ち的にすっきりしない。 ただ、お寿司の描写はすごくいい。お寿司って芸術だよなって思える作品。 そして、一生懸命働いたお金で、自分の好きなものを丁寧に食べる幸せは、侮れない体験だと思う。
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不動産に勤めるOLの青子が、鮨屋の一ノ瀬さんの握る寿司に
惚れて、通い続ける話。
バブルの時代は知らないけど、読んでて
こんな感じでみんな生きてたのかなーなんて思えたよ。
途中で「とらばーゆ」とか「ジュンコシマダ」とか
どういう意味かなと思って調べながら読めて、
個人的には楽しめたよ!!
何よりもお寿司が食べたくなった!!
回転寿司で十分な私だけど、いつか一ノ瀬さんのような
回らないお寿司を食べてみたい!!
青子は生きていく中で、途中で環境が異なることで
友人が変化していった。
会社の同僚からホステスのミキちゃんへ…。
そういうことって、今の時代でもあることだと思う。
「…女友達も心がぴたりと合わさる時期があり、
やがてその高まりは少しずつ薄れていく。」
本当にそうだなって思えたよ。
劇的な話はないけど、読んでて落ち着く文章。
他の作品もぜひ読んでみようと思えたよー!!-
2021/05/09
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2021/05/09
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お鮨は得意ではない、むしろ好きではないけど、無性に鮨食いてえ!!となりました。
一ノ瀬さん、ステキ…わたしも手に触れたい。なんて思ったけど、ずっと硬派キャラでいて欲しかった…
最後、ちょっとガッカリ。
それでもやっぱり今は柚木麻子さんの読み物が好きだ。 -
柚木麻子さんはランチのアッコちゃんみたいなポップな作品もあれば、女子同士のドロドロしたようなちょっと苦しくなるような作品もあり、振り幅が大きい。
本作はモロに後者の方で、バブル期、しかも不動産業界に身を置く、正に狂乱の真っ只中に居た、若くて美しい女性。
だんだん若さと共にいろんなものを失いはしながらも、逆に自分という確固たるものを手に入れ、心の拠り所としている高級寿司店、そこで寿司を手渡しでくれるぶっきらぼうで純粋な職人。
カウンターを挟んで、時に燃えたぎる気持ちを隠して食べ物を手渡される。すごく官能的でもある。うまい!
バブルをある程度知ってる世代からすると、余計に心がざわつくけれど、やはり面白い作品。
今後ももちろん期待してしまう。 -
「最高に幸せな時、ふっと悲しくなるのと似ていますよね」(一ノ瀬)
80年代のあり方など感じとれた。 -
バブル真っ盛りのころ、まだ地方都市でランドセル背負ってた私が憧れていた「東京のお姉さん」の実態ってこんな感じだったのねーということが、まるで自分が疑似体験してるみたいにわかって面白かった。
土地を転がしてた人たちを悪人みたいにとらえていたけど、そうか、ただのまじめな会社員だったわけね。
そういうまじめな人たちが、2週間に1回、5万の寿司を食べて毎晩タクシーで帰っちゃうなんて、お金ってコワイ。
30年で、働き方も価値観も常識もこんなに変わるんだなーって改めてびっくりです。今から30年後、どうなってるんだろう! -
柚木さんにしては今回はもうひとつかな・・・と思って読み進めていたけど、途中から涙を浮かべながら読む始末。私もヒロイン同様バブル期を駆け抜けた一人だ。自我を持たず、結婚前の腰掛のつもりで入社したのに、結局婚期を逃してしまい図らずも根性と言う名の筋肉がついた。いつのまにか高校時代に片思いだったY君とすれ違っても挨拶を交わさなくなった。私がジュンコシマダのスーツを着ていたからか、Y君が無精ひげに作業着だったからか・・・。そんな胸を締め付けられる瞬間を思い起こさせてくれた。バブルは多くのものを与え多くのものを奪った。そんな過渡期を過ごしたアラフィフの女性たちに是非読んでもらいたいと思う。
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「その手を握りたい」 柚木麻子
コメディかと思いきや柚木さんには珍しい恋愛小説でした‼︎
栃木の女子大を出て東京の家具メーカーで働いて3年目の本木青子は、退社して地元に帰る前に社長に銀座の高級鮨店「すし静」に連れていってもらう。そこで板前の一ノ瀬の大きな職人然とした手に惹かれ、彼に恋をする。故郷に帰ることを止め、新たに不動産会社で働き始めた青子は、座るだけで3万円の鮨屋に一人で定期的に通うようになる…。
1983年から92年までの10年間が一章ずつ描かれ、鮨ネタがタイトルになっている。世はまさにバブル絶頂期、都心に次々と新しいビルが建ち、深夜になってもタクシーがつかまらず世遊びに興じる人々が通りにあふれている。そんな時代に青子は、持ち前の人当たりの良さと交渉力で成績を上げ、すし静に通い続ける。一ノ瀬に想いを寄せながらも青子は、同僚や広告プランナーと付き合う。この辺の軽さがいかにもバブル時代っぽい。それでも時代にしがみつき、平日休日昼夜を問わず、がむしゃらに働き、男社会の中で青子は課長にまで昇りつめる。青子の生き方や仕事内容には共感出来なくても、こうした努力には手を叩きたくなる。
柚木作品だから当然出てくる女同士の友情、クラブママ・ミキとの関係もいい。その前の友達幸恵がちょっと痛かったから。ものすごく切ないけど、再び前を向けそうなラストも好きです(^o^) -
お鮨とバブルでこんな濃厚なメロドラマのような、
大人の初々しい青春のような、
人の成長が見られる小説は初めて。
こんなにもお鮨が美味しそうで、
その濃厚な味と香り高いネタを食べてみたいと思ったのは初めて。
初めてづくしの一冊でした。
やっぱり都合良くは展開しないか…と思いつつも、
人と人の繋がりって恋愛だけじゃなく、
もしかしたらそれを遥かに超える心の繋がりが
主人公と寿司職人の一ノ瀬さんにはあって、
ほろ苦さと揺るぎない確かさが見えたのが、とても印象的でした。
スルメのような作品です。
最後なんども読んでしまった。 -
そうだった、バブルってこんな感じだったな。
高いものに価値があって、何もしない人はバカだと言われて
私もどうも馴染めなかったな~って思い出します。
それだけの価値がない偽物を、
みんなが欲しがることによって本物っぽくなる。
あれは何だったんだろう?
座っただけで5万円の寿司屋とか、法外な値段の土地とか、
やっぱり変な感じがするけど
一ノ瀬さんのお寿司は「本物」に見えた。
食べてみる価値がありそうなものに見えた。
それを、同罪だと言う一ノ瀬さんの言葉はちょっと寂しかった。 -
ままならない恋をしたことがあるかどうかで、青子に感情移入できるかが変わると思う。
感情移入できず客観的に見たらいやらしい女なのだろうなぁ。
たとえその恋が実らなかったとしても、一人の人に恋い焦がれて、その人の幸せを願って出会いに感謝できるのなら、その経験は人生の財産だと思う!
痛々しいほどに不器用な青子が愛おしいなー -
高級寿司屋の板前と通い詰める女性の近づきそうで近づかない絆を、バブル時代の景気の浮き沈みとともに描いた物語でした。作者ならではのリーダビリティの良さは変わらず、いつものハイテンションなノリは控えめに、シンプルに時代の移り変わりと寿司の薀蓄、そして二人の関係を描いていきます。
時代の高揚と降下がそのまま二人の様子を表しているのは分かりやすいですが、同時にちょっとダイジェストっぽい流れに思えて、もう少し細やかなやり取りが見たいなかなと感じもしました。
ただラストの切なさは良かったです。こちらも体温が伝わってくるようで、艶が感じられました。物語全体から食べるシーンには温度のある色っぽさが漂っているのも素敵だなあと思いました。