- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864633
感想・レビュー・書評
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本のタイトルと表紙のジャケットが好みで手に取りました。ファンタジーは苦手なのですが、本が好きな人であれば共感するであろう言葉が多くあり、改めてやっぱり本が好きと思えるでしょう。
ネコはなぜ本を守ろうとしたのだろう?昔からネコは小説によく登場するからか、ネコと本はお似合いの組み合わせです。ネコ自ら「猫は人間の都合など考えずに行動するものだ」と言うのが可愛くもありました。
「本には心がある。大切にされた本には心が宿り、そして心を持った本はその持ち主に危機が訪れた時、必ず駆けつけて力になる」
共感出来るセリフです。これからも良い本に出会えますように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。本を巡るファンタジー。
最近そのテーマで期待はずれが続いていたので、これもそうだったら嫌だなあと思いつつ読み進め、その予測はほぼ外れて安心した。
でも大絶賛というほどのめりこめたわけでもなく。
ファンタジーを描くというのは本当に難しいんだなというのごわかった気がする。さらにモモや精霊の守り人やゲド戦記のすごさも。確実にそれらの本は、小説の中の夏木書店に並べられるだろうなと思う。
一方で、この本が夏木書店の本棚に置かれるかというと、祖父も林太郎もしないんじゃないか。
読み終えてから、神島のカルテの著書と知る。未読なので、そちらも読んでみることに決めた。 -
「神様のカルテ」の作者が贈るファンタジー。本屋を営む祖父と二人暮らしだった高校生の林太郎。その祖父が亡くなり、叔母の家に引き取られることになるが、林太郎はなかなか祖父が愛した本屋を離れる決心がつかない。学校にも行かず、本屋で時間を過ごす林太郎の前に、人間の言葉を話すトラネコのトラが現れる。そのトラに連れられ、本が本来の目的で使われてない場所に訪れ、本の本来の良さを、純粋に伝える林太郎。その言葉に心を洗われる人たちを描いた作品。正直、ファンタジーはあまり得意ではないけど、大作の「人類資金」を読み終えた後だと、何となく、ほっこりする。主人公の林太郎の実直さも、「神様のカルテ」の一止を思わせる。「神様のカルテ」ファンの方にはおすすめ。
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古書店を営む祖父が急逝し、一人残された高校生の林太郎の前に突然現れた喋る猫トラ。トラは「本を救ってほしい」と言い、祖父の遺した古書店の奥に謎の通路が現れるー
本を何百冊読んだとその数ばかりを競い誉めそやす風潮。
タイパだ時短だ効率化だと本の要約やあらすじだけで読んだ気になる人々。
売れる本こそ良い本だとただ流行を追い粗製乱造を続ける出版社。
本を取り巻く今の現状を憂う寓話4編。ショートショートのような雰囲気もあるが、「星の王子様」に近いと思った。確かに今の本は昔に比べて内容が浅く読み捨てられるものが多く、重厚で難解な本は敬遠され、古典の名著は要約が出回っている。自分もまさにそういう読み方をしているということに気付かされ、改めて本を読むとはなんだろうと思った。難しいと思う本には知らないことがたくさん書いてある、という林太郎の祖父の言葉が沁みる。読みやすいベストセラーばかりではなく時には古典の名作にもじっくり浸ってみたい。 -
ファンタジーのようでもあり、哲学の本のようでもあり。
そして、恋愛小説のようでもある、様々な顔を持った作品という印象。
心温まる作品だが、読む手を止めて考え込んでしまうことも多々あった。
本の持つ力とは何なのか。
その問いに主人公はどんな答えを出したのか。 -
古書店を営む祖父と二人暮らしの高校生夏木林太郎。
その祖父が亡くなって、遠方の叔母に引き取られる事に。
元々引きこもりがちな林太郎の元に、言葉を話す猫が現れ、ある場所に閉じ込められているたくさんの本を解放してほしいと依頼され…不思議な世界へと足を踏み込んでいく…
本人は気付いていないけど、本に関しては造詣は深い林太郎、その不思議体験を通して自分自身の事や周囲のあれこれに気付かされていく。
本を読むことに関しても、考えさせられた。
夏川草介さんは、医療関係の話だけなのかと思っていたら、ファンタジーもあったのね。
全体から受ける印象は、やっぱり優しい
大きく見たら、医療関係の話か…精神内科科的な。