サラバ! (中) (小学館文庫 に 17-7)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064438

感想・レビュー・書評

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  • 自分自身に満足いってないから、他人が思い通りに動いてくれないと、傲慢すぎるけど腹立てる気持ちわかる。

  • だんだんおもしろくなってきた。主人公目線で人生を追っていたが、ある瞬間に「この主人公はなんて奴だ」と距離をとった心理になる。自分の家族はみんな変だと気づく瞬間。そこからがめちゃくちゃおもしろい。
    そうだ!この主人公もひとりの登場人物で、個性と偏った考えを持つそこらへんにいる「変な人」なのだと気づいたとき、おかしくて愛おしくなる。続きが楽しみだ。

  • 物語が進むにつれ想像以上に考えさせられることが多くなってくる不思議な感覚。

  • 1巻に引き続き、リズミカルな語り口、話の展開、個性的なキャラクターにどんどん引き込まれます。
    お姉さんがどんどんおかしくなったり、高校で阪神淡路大震災を経験して仲の良かった友人が闇堕ちしたり。
    それでも東京にでてなんとか生きていく歩くん。
    早く続きが読みたい。

  • エジプトから帰国した小学校5年生が25歳になるまで。

    淡々とした印象は変わらない。朝におきて学校に行って、帰ってきて、寝て、という日常が透けて見える。そうやって時間が過ぎていき、決して奥に入り込まない印象。
    何故そう感じるのか判らないが、やっぱり女性の書く文章だと感じる。しかし、女性を性欲のはけ口として見做し、「女の娘というもの」を毛嫌いしている感触が不思議だ。
    僕も高校は男子校だったが、級友が「女の子がいなくてせいせいするなあ」と口にしたら、皆で同感の声があがったことがある。主人公、歩君のようなもてることは全くなかったけど。でも、10代の頃、「女の娘というもの」は、苦手で関わりたくない対象だったよ。話すと長くなるからここで止めるけれど、この感覚を随分久し振りに思い出した。
    そして、上巻に登場したヤコブ、高校時代の須玖のように強い印象を残した友人。
    改めて夏江伯母の凄さを覚える。

    第4章のタイトル「圷家の、あるいは今橋家の、完全なる崩壊」にビビる。
    矢田のおばちゃんの宗教、彷徨い続ける姉、主人公のガールハントに明け暮れる大学生活の後の奇妙な女友達、恋人。父の転身。

    決して深く深耕するわけではないのに、ジワジワ沁み込んでくるような感じがある。

    う~ん、僕は、アーヴィングやカヴァーは読んでないんだよな。「ホテル・ニューハンプシャー」読んでみようかな。

    さあ、どういう決着を迎えるのだろうか。期待を胸に下巻に向かう。

  • 貴子お姉ちゃんは繊細で傷つきやすいかもしれないけど、弱くはないと思うぞ。

  • 物語の圧倒的なちから。

    充分に濃密だと思っていた一巻のあらゆる出来事が軽く吹き飛ぶほどに、物語は一気に密度と深みを増し、大きな影に覆われ始める。

    生きることに難儀する姉の貴子は奇行を繰り返し、傷つき苦しみ続ける。そのことを恥じ、頑なに距離を取る歩。
    バラバラにほどけてしまう家族。

    一巻から語られていた「宗教」が別の角度から強烈な姿で語られ、不穏な空気が充満してくる重苦しい読書なのだが、とにかく読むのを止められない。

  • 中巻から展開に勢いがついてページをめくる手が止まらない!主人公の達観とモヤモヤが読み手にもしっかり伝わってきます。

  • 日本に帰国した歩は、小学5年に転入。中学、高校ではサッカーに打ち込むとともに、恋人にも不自由しないチャラい生活を送った。だが、姉と母親という嫌悪かつ恐れを感じる強烈な女性二人の影響からか、深く心を通じ合うことができない。むしろ、高校で須玖という親友を得て深く傾倒していく。が、阪神淡路大震災を期に須玖とも疎遠となり、逃げるようにして東京の大学に進学する。東京では、奔放な女性遍歴を重ねた後、映画サークルに入って落ち着きを取り戻すと、恋人と親友(女性)を得て快適な学生生活を送るが、その心地よさから抜け出せず、アルバイトの延長でフリーのライターになる。

    姉の貴子は、中学に転入したが溶け込めず、不登校となり高校にも行かず仕舞い。近所のおばさんが始めた新興宗教(?)「サトラコヲモンサマ」に漬かりきって、心の安定を得るが、地下鉄サリン事件を期に新興宗教バッシングが起こって貴子も槍玉に挙げられ、半年ほど部屋に籠った後、父親のドバイ赴任に合わせて彼の地へ旅立った。父親とともにドバイから帰国した貴子は、尻尾の付いた巻貝のパフォーマンスで世の中の注目を浴びる。

    母親は、元夫の仕送りで生活しつつ、ひたすら女性としての幸せを追及して男性遍歴を重ね、遂に結婚する。

    父親は、離婚後も「厄介な長女を引き受け、別れた妻とその家族を援助し、ほとんど関係がなくなった親戚の借金まで共に返済、そして長男を、東京の私立大学に行かせ」、その間自らは女気なく、修行僧のように驚くほど質素な生活を送った。そして帰国後、出家する。

    という訳で、中巻において「姉はおかしな巻貝を作り続け、母は祖母が死んですぐに再婚し、唯一まともだと思っていた父は出家する」ことで圷/今橋家は完全に崩壊する。さて、下巻でどう結末を迎えるのか?

    「サトラコヲモンサマ」が「茶トラ猫の肛門」が由来、というのには笑った!

    須玖が絶賛してたジョン・アーヴィングの「ホテル・ニューハンプシャー」、読んでみたくなった。

  • 話が進んでいくほどおもしろい。中巻はあっという間に読み終わってしまったが、読めば読むほど上巻の話を回収できたので真剣に読むようになっている。下巻を早く読みたい!

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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