サラバ! (中) (小学館文庫 に 17-7)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064438

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の歩が小学校、中学、高校、大学と多感な青春時代を送っていく。大学を卒業してフリーライターに。両親の離婚、姉の宗教への帰依、父のドバイへの赴任。歩を取り巻く女性も多い。大学サークルの後輩、鴻上なずなが印象的。私、50人くらいの過去と悩み知ってますよ!私、神社みたいでしょう?悲しさを感じる科白です。

  • 物語の語りべである主人公の青春時代のストーリーだ。
    少年から青年に成長していく過程の気持ちなどは同性として理解が出来て、なるほどと思う。
    しかし取り巻く家族環境が変わっているので、一筋縄にはいかない。そこが一般的な青春物語とは違う面白さを楽しませてくれる。
    そして所々に気持ちにすっと入ってくるフレーズがある。
    そこも魅力的だ。
    この巻の登場人物では須玖という高校時代の友人のその後がとても気になる。

  • こちら中巻を買った時も『こちら、中で宜しいですか?』と確認された。しっかりしてるな、紀伊国屋の店員さん。

    どうでもいいことだが、鴻上が好きな女優に「イザベル・アジャーニ」を挙げたのには驚いた。「アデルの恋の物語」の、TIME誌の表紙を飾った彼女は、当時の私にとって一番のアイドル、いや、女神だったなぁ。ファンレター書こうと思ってフランス語勉強したりしたこともあったのを思い出した(すぐに挫折したけど…)。
    私から20歳以上も年下の人のことだから、どの作品を見れば彼女の名前を挙げるようになるのか、何だかとても不思議な感じ。

    いや、まあ、そんなことより、ここで繰り広げられるのは、エジプトから帰国した後の、小学校5年生から中学、高校、大学、その後へと続く歩の物語。
    ことを荒立てずに、問題の渦中に飛び込まずに、能動的に何かに参加せずに生きる人生に、相変わらずお話しの肝が読めず。
    帰国子女の振る舞い方、イジメと引き籠り、若さが持つ残酷さ、所謂「新興宗教」について、地味な女の子が可愛く見える時、不倫はいけないことか、男同士の友情、映画が教えてくれる教養への窓、阪神淡路大震災が残したもの、男女間に友情はあり得るか、大学を出たら働かなくてはならない…。
    それにしても、よくもまあこれだけ次から次と展開していくものだと感心する。全てが綯い交ぜになったお話を全体として感じて吸収しろってことだろうか。
    そして、そのまま下巻に続く。

  • 環境と家族の変化が多かった上巻と比較して、中巻は主人公の心情や行動にスポットを置いている。周囲に気を配らず行動することで経験を積み、主人公の人格が形成されていく様子が心地よく、男感のあるストーリー展開が微笑ましい。

  • 西加奈子『サラバ!』小学館文庫 読了。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」 姉のこの言葉で重要なのは、”何を”信じるか、ではなく、”自分が”決めること。他人の顔色を窺ったり、体裁を気にしたりすることから決別することで、幸せな人生を歩み始められるということなのだろう。

  • 高校の3年間はその時しかないから学費は心配するな、と言い、別れた元妻の住居費を支払いづける父、自分の幸せを追求しながら幸せになりきれない母、うまく立ち回りながらも満たされない僕。

    優しすぎる須玖君との友情と終了、姉との関係、その中で苦しみながらも周りとの調整弁を担ってきた僕の東京の生活が面白かった。

    下巻も楽しみ。

  • ヤコブの存在はすっかり忘れてしまい、中では須玖が素敵な登場人物だった。
    高校生ですでに人格者。その心の中をもっと知りたかった。

    歩が大学の映画サークルに入り知った"知識は人を輝かせる"ということにとても共感した。
    何かに夢中になりそれに詳しい人に確かに惹かれる。

    再婚するお母さん、巻き貝のお姉ちゃん、出家するお父さん、はちゃめちゃな家族の行方を下巻で引き続き読んでいきたい。

  • 自分の学生時代を思い起こしながら読んでいました。周りに1人はいるんじゃないかという登場人物の描写に、つい読み入りました。

  • 伊坂幸太郎のような、伏線があってのあっと驚くような場面は少ないけど、わかる〜っていうような情景や、場面の描写が細かく伝わりやすいと思う

  • この1冊で歩もだいぶ大人に!思ってた成長の仕方じゃない!!(笑)
    でもそれもなんだかリアルだった、、、
    空中分解した圷家、サトラコヲモン様に傾倒する姉、幼少期のヤコブに代わる歩の心の拠り所になった須玖とその関係性の結末、放蕩する歩、、、もちろん上巻にも不穏要素はあったが、この中巻の方が数段色濃かったと思う。
    歩目線で見ているとどうしても姉のことを勝手な想像の斜め上をいく変わり者と思ってしまうけれど、須玖や鴻上、矢田のおばちゃんはそうではなくて「感じやすいところのある人」として捉えているのが興味深かった。
    お父さんとお母さんの間に何があったの?!

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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