希望病棟 (小学館文庫 か 46-2)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094068368

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物のキャラクターも、話の運びもすごく良い。特に、桜子の女子高生ながら達観した人物像がとても良い。しかし、色々と急にうまくいきすぎかな、とも思う。貴子が風俗店を経営するのを姑が許容する流れはさすがにどうだろう、そんなにうまくいくかなと思ってしまった。桜子も貴子も病を乗り越え人生に前向きになれたのは良かった。

  • 後悔病棟が先だったんですね

  • 前作「後悔病棟」の続編
    登場人物の3人がそれぞれ最後にハッピーになってほっこりした。

    垣谷さんの小説は好きで、ほぼ前作読んでいます。
    ユーモアあり人生を生きるヒントを教えてくれているようです。

  • 「後悔病棟」の続編

    以下、公式のあらすじ
    -----------------------
    ロングセラー『後悔病棟』に続く感動の長編

    神田川病院に赴任したばかりの女医・黒田摩周湖は、二人の末期癌の女性患者をみている。先輩のルミ子に促され、摩周湖が病院の中庭で拾った聴診器を使ってみると、患者たちの“心の声”が聞こえてきて・・・・・・。
    母親に捨てられ、児童養護施設で育った桜子は、大人を信じていない。代議士の妻の貴子は、過去に子供を捨てたことがあるらしい。
    摩周湖の勧めで治験を受けた桜子と貴子は快方に向かい、自分の人生を生き直すことに。大学に進学するお金がなく進路に悩む桜子、選挙にしか関心のない夫と姑を嫌悪する貴子。孤独と生きづらさを抱えてきた二人は、どのような道を歩み始めるのか――

    共感の嵐を呼んだヒューマン・ドラマ『後悔病棟』に続く感動の長編!!
    -----------------------

    今作の主人公は前作で前フリもあった通り黒田摩周湖
    ルミ子に輪をかけて空気を読めないような評価を受けている

    前作の最終話で遺伝子治療で快復した患者のように、今回は後悔ではなく将来どうなっていたいのか?という未来志向になっている

    乳児の頃から児童養護施設で育った高校生の桜子
    国会議員の妻の貴子

    二人は遺伝子治療の治験のおかげか、末期癌から快復
    一度は死を覚悟した身だからこそ、これからは自分の生きたいように生きようとする
    しかし、桜子は児童養護施設育ちのため、主に金銭面で進路の選択肢が少ない
    貴子は、選挙を最も重要視する姑と夫の考えに違和感を覚えるが、自らの力で何ができるのかという自問

    テーマとしては貧困から抜け出す道筋でしょうか
    癌になって、一度は迫り来る死を覚悟したという前提にはなるけど、別にこのシリーズでなくともいい気がする
    まぁ、でも摩周湖が行動のディレクションをしている部分もあったりするので、まったく関係ない物語ではないんだけどね


    児童養護施設の描写が何というかイメージ先行過ぎやしないか?
    垣谷美雨さんの小説という事を踏まえれば、まぁ許容範囲といえばそうだけどね
    児童養護施設を取り扱った物語だと、有川浩さんの「明日の子供たち」がよかったな
    あと、朝井リョウの「世界地図の下書き」とかも

    貧困家庭の進学問題
    奨学金という名の借金をしてまで大学に行く必要があるのか?
    奨学金を返すためには給与のいい会社に就職しなければいけないけど、そのためには奨学金を借りなければ大学に行けないという訳のわからない論理ループ

    若い女性が性をお金に変える事の是非
    前段の課題の解決方法の一つと言われてしまえばその一つではあるけど
    それを普遍的な解決方法にしてはいけないでしょうねぇ
    でもまぁ二進も三進も行かない立場の人にとっては選択肢の一つであるのは確か

    だからこそ、健全な性風俗店という一見矛盾を孕んだお店の意義はあるかもね

    現実的ではない解決方法だけど、単なるハッピーエンドでは終わらない、社会問題への問題提起を含むあたりが垣谷美雨さんらしい


    ところで、食事担当の桃山さんって、何かの関係者だったりするんだろうか?
    他の作品に出てたりするのかな?
    何かと曰く有りげな描写がされていると感じるんだけど、私が深読みしすぎ?


    そして、笹田部長
    あんたもか?(笑)
    前作でルミ子から聴診器を借りて試してたけど、そのときはメーカー表記のところに気が回らなかったのかね?

  • 貧困に切り込んでいた。

    JKビジネスや性風俗ではたらくという選択肢。
    「自分を売ることになるからやめろ」とか、「もっと他に仕事あるでしょ」とか、自分の恵まれた環境にさえ気づかずに理想論だけを上から投げかけてくる奴ら。

    2年前、私は結果としてたまたま高給バイトが見つかったからその選択肢をとらなかっただけでその選択肢をとるかもしれなかった。

    その悔しさも、情けなさも、どうしようもなさも、必死に足掻いている時の私の気持ちは
    貧しさを肌で感じたことがない人間には分からないし、絶対に分かられてたまるかと思う。

    きっと家庭環境だって、そうだと思う。

  • 後悔病棟が面白かったので、こちらも読んでみました。
    同じ舞台で繰り広げられるの物語でしたが、後悔病棟とは違った物語の進み方でした。
    登場人物たちの生い立ちはかなりハードなものでしたが、垣谷美雨さんらしい終始クスッと笑えるところだったりほっこりする言葉が随所にあり、読んでいて辛くならないのが垣谷さんのすごいところだと思います。
    自分の人生を強い心で切り開いていく女性たちの物語は読んでいて勇気をもらえました。
    自分だったらこんな風に生きていけるかな…?とちょっとネガティブになるくらい、パワフルな登場人物たち。
    死ぬこと以外かすり傷、って本当だな!と思わされました。
    私もやりたいことには挑戦して、パワフルに生きていこうと思いました。

  • 「後悔病棟」が面白かったので続編のこちらも読んでみた。予想外の展開を見せていて、面白かった。

  • 人生、やり直すことができたら・・・。別れ道となるところで別の選択をしても今より幸せと思えるとは限らないけど。 それでも、今の自分を受けとめて、これから先もっと自分らしく生きる為に何ができるか考えることは大事だと思います。 摩周湖のように少しずつ自分に自信が持てるようになればなればもっと生きやすくなれるはず。

  • 末期癌の女性患者と不思議な聴診器を拾った女医の話です貧困や孤独や生きる事は難しいが道は自分で開くものと教えてくれる作品。垣谷作品はほんとに楽しく共感を受ける作品が多く大好きな作家さんです。
    前作もある様なので読みたいです。

  • 面白かったには面白かったのだけど、後半の大半で何でそこまで「夜の世界で生活費を稼ぐ」という点をしつこく書かなければいけないのかわからなかった。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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