伊豆の踊子 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001029

感想・レビュー・書評

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  • 川端康成の作品は景色などの描写が美しい。これほど的確な表現で書かれていれば、文章だけで頭の中に具体的な景色が浮かんでくる。伊豆の踊り子や温泉宿などにも、美しい描写が数多く描かれており、ストーリー以外にも楽しめる部分がある。
    禽獣は、読後に慈愛の心に苛まれると思う。

  • 何度読んでも飽きないな
    立体的で絡み合った、本人さえ気づいていないような感情を平面に落とさず文字にできるの天才すぎる
    あと上品すぎてエロいこと書いてることに一瞬気付けない。

    やってることはさておき。

  • 時代が違うのかもしれないが、少女相手に何しとんねん、と思った記憶がある。時の試練に耐えた小説なので、きっと色々な深い部分を読み取れていない気がするが、そこまで深く掘り下げるほどは興味がない。

  • この小説を両親に見られたらいけないものだと認識して、本棚の奥に隠しながら何度も何度も読み返すような少年時代を送っていたとしたら、自分はどんな大人になっていたんだろうか。
    名前は聞いたことあっても読んだことない本を読んでみようシリーズ。表題作「伊豆の踊子」には、今の言葉でいう美少女がどうしようもなく魅力的に踊っていて、川端康成の作品がこれほど上品かつエロティックに「女性性」を書いているとは露ほども知らなかった。
    伊豆の踊子は当然として温泉宿も面白かったけど、最後の禽獣もかなり強烈で。「どんな愛玩動物でも見ればほしくなる性質だが、そういう浮気心は結局薄情に等しい」という一節で、見たことない作品でも見た目が好みだったらとりあえずフィギュアとか買っちゃう過去の自分を思い出してしまった。二次元美少女に対して博愛を気取ってた頃。
    読書を重ねる上で避けては通れない文学というジャンル。文学作品って一般小説に比べてどうも馴染めない印象があったけど、この本のお陰で人の奥底に潜む複雑な人間性に踏み込んだ文章に共感を覚えた、と同時に少し親しみが湧いた。自殺を図った場所が実家の近くなのも勝手に親近感ポイントなので、もう何冊か読んでみようか。

  • 内容的に決して好みではないのだけれど、補って余りありすぎる日本語の美しさなんだなぁ。

    「なにが」とか「どこが」とかでなく、日本語の文章を読めることが幸せに感じられる川端康成作品なのです。

  • わっかんねぇ。

  •  たとえば明日死ぬとして、死ぬまでにあと1冊本が読めるとしたら、私は迷わず『伊豆の踊子』を選ぶと思う。
     これから先、たくさんの本と出会って、この1冊は変わるかもしれないけど、少なくとも今選べと言われたらこれを選ぶ。

     思い返すと、出会いは小学校6年生。『モーニング娘。新春! LOVEストーリーズ』というテレビドラマの企画で、ゴマキ(後藤真希)が薫役で『伊豆の踊子』をやったんです。ほとんどうろ覚えなんですが、途中、天城隧道の出口からゴマキ(だったと思う)がこっちを振り返るシーンがあって、その情景の美しさに唖然として……。
     でも当時はまだ小学生。読もうとも思わず時が過ぎ、中学3年生になって、国語の授業で『伊豆の踊子』が出てきたことで初めて文庫本を買ったのでした。

     今考えると、当時は何も分からずに読んでいたんだと思う。2章の終わりなんか全然分からなかった。大人になってからやっと分かった。雨の向こうに鳴っている踊子の太鼓の音を、暗い部屋でじーっと聞いている主人公。
    「踊子の今夜が汚れるのであろうかと悩ましかった」
     暗闇で太鼓の音を聞いて、一喜一憂して、お湯をかき回す。冷静に考えると割と行動が不審なのに、切実な気持ちがひしひしと伝わってきて、読んでいて胸がぐっと詰まる。
     そして翌朝、共同湯の脱衣所からこちらに手を振る踊子を見て、

    ――子供なんだ。私たちを見つけた喜びで真裸のまま日の光の中に飛び出し、爪先で背一ぱいに伸び上る程に子供なんだ。

    と、朗らかな喜びを感じる主人公。
     美しいな。こんなに美しい情景を見せてくれる小説が、この世にまたとあるだろうか。


     一緒に収録されている『禽獣』も好きです。菊戴を一回だめにしてしまって、そしてまた同じ水浴びでだめにしてしまって、
    「またやっちゃった。火をおこしてくれ」
     このセリフもぞっとするんだけど、女中から「死なせておやりになったらいかがでございます」と言われて

    「助ければ助かるのに」
    「死なせた方がよろしいですよ」
    「そうかなあ」と、彼は急に気が遠くなるほど、肉体の衰えを感じると、黙って二階の書斎へ上り、鳥籠を窓の日差のなかに置いて、菊戴の死んでゆくのを、ただぼんやり眺めていた。

     ここが、とても哀しくて哀しくて、たまらない。

     千花子との自殺未遂を思い返すシーンも良い。

    ――その頃、彼は死にたい死にたいと口癖にしていたほどだから、なにも死なねばならぬわけはなかったのだった。いつまでも独身で動物と暮している、そういう生活に浮ぶ泡沫の花に似た思いに過ぎなかった。

     そして主人公は、千花子の無垢な清冽さに救われて自殺を思いとどまる。きっと川端康成作品の男たちは、美しい女性の向こうに仏を見ている。

     こないだ友人に「要はロリコンだよね…?」って言われましたけど(笑)少女性愛ではないんじゃないかな。少女崇拝ではあると思うけど。無垢なるものに救いを見出すという意味では。

  • 他「温泉宿」、「抒情歌」、「禽獣」ことごとく面白くない。
    川端康成は合わないと思う。

  • 慥か大学生の時分に購入し、その時は「キモい」という感想しかわかなかった作品。
    三十路をすぎて岩波文庫版で再購入。読んでみたら大学時代に読んだ時と印象がちがって面白かった。
    「大学在籍中に岩波の文庫を読み漁れば人生豊かになる」という誰かのありがたい格言をいつかどこかで読んだが、こういうことがあるから、大学時代に岩波文庫全冊読破したとしても恐らく人生豊かにはならなかっただろうと自信をもっていえる。

  • 純文学は自分にはまだ早かった。
    もう少し色々読まないとちゃんと読めない。
    これがノーベル賞作家か。

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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