斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 1308
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • 退廃的な美しさかあ〜
    人間の複雑さがしみじみと伝わってきたな。

    直治の恋したひとへの復讐がなんとも言えずよかった。

    革命のために「生きる」ことの強さ

  • わからないけど、解る。と言いたくなりました。
    やはり太宰が書く女性はなんだか不思議な色気と汚らしさがあり人間の匂いがぷんぷんします。それがまた良く、忘れられない人になってしまいます。

  • すごく完成された作品だと思った。
    私は不良は優しさだとおもうし、白痴な高貴さは滅びればいいと思う。その点でかず子に共感した。
    彼女は腹の中に宿した蝮(これは男性器の隠喩?)で母の生命を奪い、非情にも直治を山荘に残して、ひとり(あとで生まれてくる上原の子と共に)戦って生きていく。
    p149“生きることはたいへん醜くて、血の匂いのする、きたならしい事のように思えても、生き残って、思う事をしとげるために世間と戦って行こう。”
    美しい犠牲者という言葉でロマンチシズムや感傷に浸るような読者層にこの哲学は響かないかもしれない。日本には革命家はいないから仕様がない。
    p202“革命は、まだ、ちっとも、何も、行われていないんです。もっと、もっと、いくつもの惜しい貴い犠牲が必要のようでございます。”
    もっと犠牲が必要だ、それは誰。他ならぬ太宰治である。

    M.Cがマイチェーホフからマイチルドレン、マイコメンデアンに変化してゆくのが今作いちばんのギャグポイントか。

  • 中学生の時から大好きな本。
    久々に読んだけれどやはり好き、これからもずっとこの本と生きていきたい。
    私が好きな場面は沢山あるけれど、その中でも最も好きなのは、主人公の恋が大きく動く場面。
    トリガーを外した銃を相手に向けた瞬間の様な、クラウチングスタートから走り始める寸前の様なそんな緊張感と恋のトキメキとがごちゃ混ぜになった場面。「戦闘、開始。」この言葉で主人公が、又私がどれだけ「きっとうまく行くだから何も心配する事はない」と思えただろうか。
    この攻撃。一つの銃弾、一振りの腕が相手に当たる確証も致命傷にできる根拠もないけれどうまくいく様な気がして前を向いて生きていける、私にとって大切で宝物の様な言葉。

  • 太宰を読みたい日もあります。そんな日に読みましょう。

  • 切なくて複雑なようで呆気ないそんな物語でした。

  • 初太宰作品。読めた、というか読みやすかった。
    Official髭男dismを聞きながら読んだから、ものすごくかず子が可愛らしく見えてしまった。
    .
    私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。
    おわかりにならなかったら、・・・殴るわよ。

    品のある話し方が素敵。

    41/100

  • 初太宰治!

    貴族階級落ちぶれても貴族の生活から抜け出せない親子3人
    母は穏やかに死を迎え、弟は自殺し、残ったせつ子はめがけの子を孕む
    昭和20年代に出戻りの娘&愛人の子を孕むって・・・・。

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  • かずこやばい。あんな怖い手紙もらって、上原も良く関係もてたよな。(上原の居場所を探し当てる過程も怖い)

    直治が一番まともだったのではと思った。

  • とにかく「かず子」が怖くてしょうがなかった。
    「M・C→マイ・チェホフ」のくだりとか、読んでいて鳥肌がたった。
    最後の「奥さんに子供を抱かせて」のくだりも…

    直治が「貴族」のプライドを捨てきれずに苦しんで自殺するところもとても印象的。

    「人間失格」までには及ばなかったが、やはりただの小説とは思えない雰囲気、迫力がある。
    「太宰治」はやっぱり別格だと改めて思う。

    <印象に残った言葉>
    ・御返事を、祈っています。上原二郎様(私のチェホフ。マイ、チェホフ。M・C) (かず子・P100)

    ・私は確信したい。人間は恋と革命のために生まれて来たのだ。(かず子・P136)

    ・「ありがとうございました」と、ばか叮嚀なお辞儀ををして、外へ出て、こがらしに吹かれ、戦闘、開始、恋する、すき、こがれる、本当に恋する、本当にすき、本当にこがれる、恋しいのだから仕様が無い、すきなのだから仕様が無い、こがれているのだから仕様が無い、あの奥さまはたしかに珍しくいいお方、あのお嬢さんもお綺麗だ、けれども私は、神の審判の台に立たされたって、少しも自分をやましいとは思わぬ、人間は、恋と革命のために生まれて来たのだ、神も罰し給う筈が無い、私はみじんも悪くない、本当にすきなのだから大威張り、あのひとに一目お逢いするまで、二晩でも三晩でも野宿しても、必ず。(かず子・P160)

    ・ああ、何かこの人たちは、間違っている。しかし、この人たちも、私の恋の場合と同じ様に、こうでもしなければ、生きて行かれないのかも知れない。人はこの世の中に生まれて来た以上は、どうしても生き切らなければいけないものならば、この人たちのこの生きるための姿も、憎むべきではないかも知れぬ。生きている事。生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。(かず子・P170)

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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