沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104300

感想・レビュー・書評

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  • 辛さのあまり、安易にパッピーエンドを求めた自分がばかだった。

  • 5冊に渡った沈まぬ太陽の最終巻。

    総理大臣の依頼で責任者になった国見会長と、会長室部長の恩地さん、
    その他利権に目がくらんだ人たちの人間模様が展開されます。

    もうどんどん状況は悪化していく感じが、非常にスリリングでした。
    最後どうなるのかと思ったら、総理大臣自体が利権を行使して、
    国見会長を更迭し、その後恩地さん自身も再び海外に飛ばされるという始末。。。

    もう最悪としか言えない中、命を懸けて発信した社員の告発で、
    いよいよ様々な利権に司法のメスが入りそうな部分で、
    本作は終わります。

    一網打尽にされて、すっきり終わってほしい気もしましたが、
    最後まで追い詰められても本当に沈まない恩地さんに関心します。

    恩地さん自身が国民航空の太陽なんだということが最後まで読んで
    改めて伝わってきました。

    フィクションとノンフィクションの融合の小説なので、
    リアリティが最後までありすぎでしたが、傑作だと思いました。

  • 大手航空会社に勤務するオンチ君が主人公で、「善人」のモデルとなっています。全5巻にわたって、善をまっとうすることが1つのテーマであり、テーゼになっています。オンチ君の反対のモデルがギョウテン君で、企業・社会を上手く生きていくために、正義を見てみぬふりをしたり、不正を行ったりします。こちらが大勢だったりもします。

  • 沈まぬ太陽1-5を読了。コンプライアンスが浸透しつつある(であろう)現代の感覚からみた本作で描かれる航空会社の汚職体質はあまりにも酷く、正に魑魅魍魎であった。利権の絡んだ世の中で正義を貫くことの強さ・難しさを感じた。

  • ビジネスジャッジメントルール
    取締役会できまったことは失敗しても、会社法上の善管注意義務を問われない

  • 再読。

    辛い。こんな終わり方って。。恩地さんも国見さんも、正しい生き方をしている人は報われないの?ずる賢い人が上手く生き延びる世の中なのかな。。
    これがほぼノンフィクションだから怖い。

    いつかアフリカに行ってみたいなあ。そして沈まぬ太陽をこの目で。

  • 最終巻。
    あれだけの惨事を起しながら今なお反省もなく、国民航空の役員および政治家と官僚たちは利権を貪ることばかり考えている。
    雑誌記者に国見攻撃をけしかけた国航開発社長・岩合宗助。
    国見会長の辞表を受け取らず、策謀をめぐらせて更迭扱いにした利根川総理。
    そして、恩地をまたも僻地ナイロビへ追いやった広報部長の行天四郎。
    もうホンマに許せん!!!!!
    小説を読んでこんなにも怒りが込み上げてきたのは初めてだった。
    奴ら全員にスーパーパンチを食らわせたい!

    「末期癌」と形容されるほどに腐敗しきった国民航空。
    国見会長があまりにかわいそうで、こんな会社放っておいて関西紡績に帰ればいいのにって何度思ったか知れない。
    それでも空の安全のために自らの信じる道を進んだ国見さんは本当に人間の鑑だと思う。
    恩地が会長室部長を辞任する意向を述べると「このような理不尽にも、私がなぜ耐えているか、君なら解ってくれると思う」と説き、また、海野社長および三成副社長には「君たちは、そうやって、寄ってたかって臭いものに蓋をし続けるのか!」と吠えた。
    勇気、良心、正義とは何かを国見さんに教わった。
    正しいと信じるものがあって、それに賛同してくれる人が1人でもいるなら、いわれなき非難にも耐え抜いて進み続けなければならない。
    国見会長のように寸暇を惜しんで、身命を賭して仕事ができたら素敵だろうなあと思う。

    □□□□□

    読み終えた後、図書館で1985年8月の朝日新聞縮刷版を見て、母に当時の話を聞いた。
    新聞には小説に出てきた河口博次さんの遺書が載っていて、何とも言えない悲しい気持ちになった。
    事故原因については後部圧力隔壁の修理ミス説が最も有力であると判断されたようだ。
    事故から25年、僕も25歳の今年、この作品に出会えて本当によかったと思うし、心血を注いで取材に取り組み、航空史上最大の事故を小説にして後世に伝えてくれた山崎豊子さんに感謝したいと思う。

  • 最後まで、驚かされ胸を打たれる展開でした。これまでの仕打ちに対する報いの光が見えそうで、私自身、少し救われました。
    事実を軸に展開される物語であるがため、一つ一つが重く説得力があり、その分重い気持ちになりました。
    連載当時は関心がなく世の中の反応は分かりませんが、当時ここまでの本を書くのは、相当な覚悟と勇気、使命感があったと想像します。あとがきにもあったように。
    少し前に新聞記者という日本アカデミー賞を受賞した映画が頭をよぎりました。
    ひと言では言い得ぬ気持ちですが、とにかく読んで良かった。みんなに読んで欲しい。そう思います。

  • 山崎豊子さんの本は描写が詳細で、徹底した取材と膨大な勉強量が本の記述からも伝わってくる。小説家としてのプライドというか、使命なるものが文字を通してここまで伝わってくる人って他にいないんじゃないかな。
    主人公や会長といった、苦境の中で筋を通し続ける人達の姿に勇気をもらいました。面白かった。

  • 御巣鷹山の慰霊登山のニュースを見て、再度読みたいと思い、実家に置いてあった本を持って帰ってきた。

    主人公の熱い生き方が心を打つ。比較してみる私や現代人のぬるさを感じる。

    著者山崎豊子さんの社会の問題をよく調査し、小説にしてくれるのはありがたい。航空会社の問題点、政府の問題点がわかりやすく頭に入る。それに伴い、個々が会社・政府と戦っても限界がある難しさも感じる。

    私も御巣鷹山に慰霊登山に行ってみたいと思う、久しぶりに級友を誘ってみよう。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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