ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167312

感想・レビュー・書評

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  • 猫町の友人が(他の人に)おススメしていたので読んでみた。伊丹十三と言えば映画監督のイメージしかなくて、こういう洒脱なエッセイも書いている人だとは知らなかった。もっとも彼が監督業に転身したのは 50歳過ぎのことで、この「ヨーロッパ退屈日記」は彼が若き日々に映画俳優としてヨーロッパを転々としていたときのエッセイ。

    初版は 1965年(もとになった雑誌掲載は 1962年頃か)。ほとんどの日本人は海外に出た経験がなく、スパゲッティをズルズルとすすって食べていた時代にあって、お洒落、料理、音楽、語学と「本物」の欧州感覚が散りばめられた本書は非常に面白く読まれたに違いない。何せ、これだけ情報が溢れる 2014年の今読んでも十分に面白いんだから。40年の時を経て同じエッセイを楽しめるということは、著者の言う「本物」が、やはり本物だったということなのであろう。山口瞳による惹句と解説(ポケット文春版の裏表紙)も良い。

  • 10/17

  • 気障ととるか粋ととるか。人によって印象が違う本かもしれない。私は著者の美意識が細かく規定されているのが面白く読めた。そこにこだわるのかとか、納得できるとか、自分の物差しと照らし合わせる。知らなくて教えられたこともたくさんある。

  • 表紙に
    「この本を読んでニヤッと笑ったら、あなたは本格派で、しかもちょっと変なヒトです」
    と書いてあります。

    確かに、ニヤッと笑いました。

    高校生だとか大学生の頃に読んでたら、かなり影響を受けたと思います。
    ちょっと出会うのが遅かったようです。
    十分面白かったですが。

    この本を書いたのは二十代後半だったそうです。
    内容もさることながら、文章力と十三監督のイメージから、もっとおっさんが書いたもんだと勘違いしてました。

    二十代の僕にはとても書けない…
    というか最近は新聞読んでても語彙が貧困ですね。
    30年~前に書かれたものを見るとよく分かります。

  • 面白かった!
    こういうものを、20代最後くらいに書いてるのか、この人は。
    なんて変な人なんだろう(笑)

  • この本は友達が持ってたので、「伊丹監督って本書いてたんだ!」と初めて知り、ブックオフで新品同様105円で売ってたので『女たちよ!』とともに購入。なんなのブックオフ・・・そんなに安くていいの?・・・。それと、フォロウィーさんが『女たちよ!』について書かれてたのが積んでたのを読むきっかけになりました。

    ウィキペディアに「気障」とあるけど・・・いや、そうは感じなかった。
    本屋によくある「男の○○」「モノ」的な雑誌、あれが大嫌い。まず装丁が下品。ファッション誌に限らず雑誌全般に僕が求めてるものは多いけど、「ファッション」を語るならまずデザインに拘るべき。そして「ファッション」を語るなら根っこにある文化も語るべき。
    「雑誌」であるなら、インターネットの直線的検索では得られない、「雑多な内容」を入れるべき。目当ての記事以外の変な記事やコラムも面白くなければ雑誌の意味がない。
    つまりファッション誌が自分に合うかどうかは、映画や音楽の記事でも趣味が合うかどうかがひとつの目安になってる。雑誌不況の時代、面白い雑誌は少なくなりました。
    ちょっと前に『プレイボーイ』誌の名物編集長のNHKのドラマを観まして、これが面白かったんですが・・・開高健の『風に訊け』連載秘話があったりして。
    あと北方謙三の「とりあえず女を抱け!」とかですね、ああいうやつ・・・いや違うか・・・。とにかくそういう、「男の生き方」についての連載、指南役のさきがけだったのではないかと。

    とくに気障に感じなかったのは、僕が好きなファッション誌の条件にピタリと合うから、非常に品があるからだと思う。連載は『婦人画報』でされてたようで、それもあるかも。『ホットドッグプレス』の北方先生はハードボイルドだけど上品ではないよね(笑)。
    もうひとつは、'60年代前半に書かれたものだということ。バブルとグルメブームがあったので、当時と今では全然違う。当時だと海外の情報があまりなかったと思うので、そりゃあハイカラでハイソだったに違いない。
    でも、今読んでも知らないことばっかり!!すごく為になる。★を減らしたのは、「結局は金」という感じが若干したから。あとの方まで読んでくとなんとなくわかる部分が多い。

    まず面食らったのは22頁の「工事中 road work(それにしても日本の under construction というのはどこから出たのかね)。」という記述。ハァ?と。何言ってんだこの人?と。のちのち意味がわかってくるけども、徹底的にアメリカ人は田舎者だとこき下ろしてる。これは・・・敗戦体験が大きいのかも。
    日本人がわりとシンパシーを感じるのは、たぶんイギリスとイタリア、ドイツとかだと思う。ヨーロッパの国も日本も、皇室の歴史が古い。終戦時にアメリカはたかだか170年ぐらいの歴史しかない・・・。ついでに、これはアメリカ人の発言ですけど、「内陸部に宗教右派が多いのはアメリカの歴史が浅いせいもあるかも」とか。

    話は続き、日本に対する愚痴、罵詈雑言がどんどんエスカレートするのが非常に面白い。で「どうなるんだろう・・・」と思ってたら、最後にちゃんと考察されてるんですよね。特に、街並みの話。ここがね、よかったですね。
    当時、伊丹さんは29歳ぐらい。まだ若い。これはみんなそうだと思うんですが、外に出ると自分のところの悪いとこが目に付くというね。でもそれだけじゃなくて、逆に日本の良い部分、残すべきものも見える・・・日本に対する愛情ですね。

    映画の話、車の話、ファッションの話、語学の話、音楽の話・・・
    やはり一番面白いのは食べ物、食文化の話。アーティチョーク・・・アーティショーを無性に食べてみたくなる。アーティチョークなんて食べ物は最近まで知らず、『フォロー・ミー』という映画でロンドンの通りに食べ物の名前がついてるのが多いというので知りました。
    マティーニも飲みたくなる・・・007。

    『タンポポ』の有名なスパゲティのシーンは、この本があってからの崩し、さらにその上に風刺っていうことなんだろうと思う。読んで気付きました。

    チャールトン・へストン、ピーター・オトゥール、三船。
    三船の話はオモロいなあ。

    この本は語ることが多すぎて困る。
    教科書ですね、ほんとに。

  • 英国気触れの昔の俳優が嫌悪と思い込みを知識に任せて書いたら、はい、ナポリタンの出来上がり。現代の我々はそれを懐かしい庶民の味と言って頂く。

  • 海外で暮らすことと、日本のそれとの違い。本格であるということ。

  • 映画「マルサの女」を作った映画監督のエッセイであり、戦後日本で初めての本格的なエッセイです。作者のかもし出すダンディズムと当時のイギリスの雰囲気を味わってみてください。

    九州大学
    ニックネーム:稲生 平八郎

  •  山口瞳さん関連で、読んでみました。半世紀以上前の、ヨーロッパ滞在記です。古いから、というわけではありませんが、内容が薄っぺらく感じました。
     あれが旨い、この商品がいい、の繰り返しです。しかもそれが嫌味に聞こえて、気持ち悪いです。他の人が、同様のことを書いても、こうはならないと思うのですが、なにか特別な才能があるようです。
     読むだけ時間のムダでしたが、挿絵はとても上手かったです。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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