ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167312

感想・レビュー・書評

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  • 全体的にジョーク集のような読み口。
    終わり方とかがオシャレ。
    日本を背負って世界で頑張ってた人なんだなぁと気負いから感じるものがある。
    食べものがおいしそう。
    ミシュラン食べたい。

    ズボンを直しながらトイレから出てくるサラリーマンにブチ切れてるのが目に浮かぶような描写ですごく面白かった。

  • 俗物的なものをとことんこき下ろす。斜めに構えた独自の視点。俳優、デザイナー、映画監督多才ぶりが分かるエッセイ。

    決して嫌味にならないところが楽しい。中途半端なスノッブを否定している。

    酔っ払いのボヤキに近いと思ったらそれもろのほず。山口瞳の影響が大きいようだ。

    俳優、監督などこれだけマルチな方も珍しい。

  • 20歳後半にしてこのようなエッセーが書けるのはすごい。1960年代に書いたようなので、日本人がまだ海外というものをよく分かっていなかった中での話なので、当時は大きな衝撃があったと思う。今読んでも非常に的を得た話が多いし、十分にためになる。伊丹十三はやはり天才なんだなぁ。池上正太郎の流儀本のような時代遅れ感がない。

  • 昔読んだ時はあの雰囲気が鼻についてしまったけど、今は面白く読めた。解説のとおりだ。厳格な人格だからこそ書ける素晴らしい文章。他人のこだわりとか「許せないもの」に関する話は面白い。
    文章も書けて英語もできて絵もかけて芝居もできるなんて多彩すぎる…

  • ヨーロッパを旅した伊丹氏の小話が詰まった作品。
    イギリス、しかも上流階級の贔屓がすごい。
    それ以外ははっきりいってバカにしている。
    時代を感じた。
    ためになりました。

  • 昭和40年(1965年)に発売されたエッセイ集。

    この頃はおそらく海外の情報が少なくて、このような本も
    面白くて価値のあるものだったのかもしれない。

    しかし今読むもまったく面白みがなくて、どうでもいいような内容だった。

    時の流れに風化した、という感じだろうか。

  • 映画監督で有名な伊丹十三さんが、俳優もやっていて、商業デザイナーでもあったことを知る。独特の美学を持って生きているんだな。海外での生活のあれこれや、交友関係、いただけないあれやこれがユーモアたっぷりに描かれている。かっこつけるのではなく、スタンダードにのっとったかっこよさ。皮肉や毒舌も聞いているが、嫌味には聞こえないのは教養ありきの語りからだろう。危険に対する無神経さと想像力のなさは60年経っても変わらない。

  •  随筆とはちょっと違う「エッセー」の嚆矢となったみたいなことをどこかで読んだので手に取ってみた。

     自分の場合、伊丹十三といえば、「マルサの女」とか「あげまん」「ミンボーの女」「タンポポ」などの映画監督のイメージが強いのだが、かなり多彩多芸な人物だったようだ。本書の食や美、語学のうんちくやこだわりから、それが伝わってくる。本人が手掛けたという装丁からして美しいし。

     筆者が強いこだわりやどこかちょっと偏狭な見方とか、斜めの考え方を披露していて、それが読者にも「あるある、そういうところ!」と共感をよぶ。優れたエッセーに共通しているポイントかもしれない。

     で、表紙の作家の故・山口瞳氏の「この本を読んでニヤッと笑った、あなたは本格派で、しかもちょっと変なヒトです」という言葉。

     共感に加えて「自分って本格派かも」「変なヒトかも」(多くの男は“普通”と言われたくない)と感じさせてくれるあたりが、今も本書が読み継がれる理由なのかもしれない。

     文章も巧みで、「イタリー人が給仕していないイタリヤン・レストラン、中国人が給仕していない中華料理店、で食事する味気なさは、たとえばイギリス人の給仕で、イギリス料理を食べるのに匹敵すると思う」とか、ちょっとアレンジして使ってみたいフレーズだ。

     山口氏が伝授したという文章術に感心した。「活字面が或る程度白っぽい方が読みやすい。そのためには、不必要な漢字はなるたけ使わないこと。たとえば、「為」 とか「事」とか「其」とか「の様に」とかいう言葉は平仮名にする」までは、いろいろな文章術に書いてあるのだが、「その代り、難しい漢字は遠慮なく使う」。文章に“大人の色気”を感じるのはそのせいか。

     初版が発行されたのは、1965年。道路が穴ぼこだらけ、おいしいカクテルを作れるバーテンダーが少なかった、汽車の中のステテコ姿(昔見た記憶がある)等々、今とは少し違う日本や東京の雰囲気も伝わってきて、時代の史料としても楽しめる。

  • コーヒーブレイクのお供にちょうど良い。知的で、ただし小難しくなく、一つ一つは短く、読みやすい。

  • 中村哲医師の二冊の次に本書を読み、そのあまりの違いに愕然とする。いや、良い悪いではなく。違って当然だ。時代も違うし。

    国際俳優や商業デザイナーの伊丹さんについては全く知らなかったが、その無類の多才ぶりには驚くばかりだ。まだ途中の「スパゲッティの正しい調理法」(p110)で早速感化され、トマトパスタを作ってみた。にんにくのミジン切りをチューブ入りで代用し、葱は無かったので省略。茹でる時の塩も少なかったのか、結果はいまいちだったが。

    英語の話も多い。発音についてはいまさらだが、文例をまずは300、理屈なしに丸暗記せよという「アイ・アム・ア・ボーイ」(p266)はちょっとその気にさせてくれる。クラシック音楽を愉しむためには一つの曲を何十回も聞くという「古典音楽コンプレックス」(p268)にも深く頷く。

    全体に欧州アッパー層の生活・伝統・文化へのまなざしが鼻に着くといった向きもあるかもしれない。しかし「紙の飛行機」(p191)では、カンボジアの「純真で礼儀正しく、かつはにかみ屋の人達」を「土人扱いにして顎でこき使っている四流五流の白人達、わたくしは彼らを、人間の屑、と呼びたい」とも。恐れ入りました。読んで良かった。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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