ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167312

感想・レビュー・書評

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  • 俳優、伊丹十三のヨーロッパ滞在のエッセイ。
    伊丹十三は俳優より「マルサの女」、「たんぽぽ」等といった映画監督の印象が強かったり。

    本書が発行されたのはなんと1965年!この当時はよほどの特権階級でないと海外には行けないし、そんな中での本書の情報はすごく斬新なものだったのかなあと思う。
    50年以上たった今読むと、時間差の都合上、正直わくわくはできなかったけど時代を感じる一冊でした。

  • こちらも最高。本当に憧れてしまいますよね。

  • 伊丹十三の物書きとしてのデビュー作、エッセイ。
     映画監督という認識で実際に彼が監督した映画を見たことはない。せっかくエッセイを読んだので映画も見てみたい。1965年に発行されており、1961年にヨーロッパに滞在した際の日本とヨーロッパのカルチャーギャップについてオモシロおかしく書いている。監督のイメージしかなかったけど、彼は英語能力を生かして海外で俳優として活動していた期間があり、その頃のエピソードを独特のノリで書いていて、文化人類学的な観点、つまり当時のスノッブな日本人がどういった具合だったのかがよく分かった。「ヨーロッパではこうするのが正解」とか「アメリカではこうするのが正解」というのは最低限のマナーとしては存在するけど、インターネット事後の世界、つまりダイバーシティが尊重される世界においてはあまり意味をなさないと思っている。なので真面目に受け止めるのではなく当時の1つの認識として楽しんだ。映画の演出について語っているところがあり、過剰な説明セリフは野暮だという話を1965年時点で唱えているところに驚いた。なぜなら何も変わらず説明肩過多な映画が2020年現在でも多数跋扈しているから。
     著者が唱えるところのミドルクラスのセンスなき欧米文化の輸入というのはよく分かる話だった。外面だけ真似て本質的な意味を取り違えて結果めっちゃダサいみたいな。それは21世紀になり情報が民主化された今でも脈々と存在するから国民性みたいものなのかもしれない。基本的に悪態ツキまくっている一方で英語力を憂いたり発音がうまくできないところを解説してくれたり、なんとか若い人に自分の経験を知ってもらうことで彼が見た成金日本人のような振る舞いをして欲しくないという優しさも感じる部分があった。また表紙や文中あいまに挟まれるイラストがかわいくて、しかもそれを本人が書いているらしく才能の塊かよ案件。一番強烈に印象に残っているエピソードは三船敏郎とヴェニスのホテルで部屋飲みしたときに、三船敏郎が持参したタタミイワシをちり紙であぶったという話。すべてが規格外な昭和エピソードとして心に残しておきたい。

  • 文章が古臭くてキザったらしいが、ヨーロッパで滞在したアンチアメリカな著者流の英国と日本のダンディズムとは?を教えてくれるエッセイ。
    リアリズムの名作映画「マルサの女」の監督でしかない著者の印象だったのだが、マルチタレントだったんだと教えてくれる。
    もし存命なら、ユニクロなど世界を席巻しているファストファッションを著者はどう見るのか?故人の意見を聞きたくなる。単なる頑固ジジイ扱いになっていたのかも知れないが。

  • 拘りと気品溢れるエッセイ集
    安っぽいもの、偽物に対する筆者の辛辣な眼差し
    世の中に対する飾らなさ、真っ直ぐな目線が良かった
    サラッと読めて旅のお供にはベストマッチな1冊
    筆者の出演作が見たくなった

  • 再読

    これこそ出会うタイミングが重要で、
    タイミングというのは自分の年齢もだし、時代もやっぱり重要なのではないかと
    そしてそれにバッチリとハマる幸運を得た人は
    ピンとこない人の不幸を本当の意味では理解する事が出来ないのではないか、というね。

    伊丹十三のエッセイにより初めてアル・デンテを知った人は多い気がするのだけど、それを考えると平野沙希子ちゃんのエッセイ?(未読)のタイトル
    「生まれた時からアルデンテ」なんて、なるほどなあ
    時代は変わったんだよなぁと思うわけです。

    それでも今でもロンドンのアーケードの靴屋なんかを覗くと
    このエッセイの頃から変わらないムードを感じたりもするよね。お爺さんのピンク色の肌に。
    ブリクジットするよって時代なのに。
    ビートルズ・ルックの男性が履くハイヒールはキューバン・ヒール。あるいはキンキイ・ブーツ。

    読み返すと
    「イタリーを思うことは、たとえば、遠く過ぎ去った夏を思うに似ている。」
    なんて、もう自分の考えた事のように身に付いてしまってる表現もあれば、
    大江健三郎の手紙に「生まれる子供に戸祭、とつけたら大江戸祭になる」なんていうこんなのあったっけ?w
    という発見もある

    そして「簡単な練習を短時間に行う事によって
    困難がすっかり除かれる、といった事例があるものです」には
    ホントよねと思いながら、強風時のマッチの擦り方は未だ謎のまま。

  • 伊丹は多才で賢く真面目なひとだ、と思います。決して退屈ではないのに、自己評価があまり高くない。それ故にプライドは高くなる。文章としては本当に面白く、また挿絵もセンスがあってとても好きです。

  • クスッとなる…。

  • 面白い!著者のプライドの高さ、自分の考えを正しいと信じてやまない態度は個性的。そしてカッコイイ。漫画のキャラクターのようで読んでいて楽しい。しかしその中に現代に通じる価値観があって、思わずうなずいてしまう
    楽しい読みもの。

  • 本屋でふと目を惹く表紙。「この本を読んでニヤッと笑ったら、あなたは本格派で、しかもちょっと変なヒトです」と煽りまでしっかりしてらっしゃった。まさしく本格派で独特な視点での海外旅行記。戦後すぐの時期でこんな旅行してたのはすごいと思う。そして、なんと言ってもオシャレである。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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