りかさん (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253343

感想・レビュー・書評

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  • 主人公で小学生のようこが2週間前に友達の家に遊びに行った時、偶然その時に来たみんながリカちゃん人形を持って来ていました。どうしてもリカちゃん人形が欲しくなり、おばあちゃんがプレゼントしてくれることになったのですが、届いたのは市松人形でした。名前はりかさん。もらった時はとても悲しかったのですが、そのお人形が喋り出し、ようことりかさんの人形をめぐる不思議な生活が始まります。りかさんを通じて色々な人形の物語や歴史に触れ、そして素敵なおばあちゃんとのことばで、ようこは優しく育っていきます。この素敵な人形物語に心が魅了されました。
    ようこが大人の蓉子になった時のお話「ミケルの庭」も併録されています。

  • 久しぶりに読み返す

    ようこちゃんは、みんなが持ってるのと同じリカちゃん人形が欲しくて~おかあさんがおばあちゃんに頼んでくれる。
    贈られてきたのは、リカちゃん人形ではなくおばあちゃん(あさこさん)が大事にしていた日本人形のりかさんだった・・・・

    P気持ちは、あんまり激しいと、濁って行く。いいお人形は、吸い取り紙のように感情の濁りの部分だけを吸い取って行く。略 」

    P86 そりゃ、おまえ、価値観の同じ人と結婚したって、修行にはならないじゃないか」

  • 善良で良心的な物語でした。リカちゃん人形ならぬりかさん人形。祖母からもらった人形と心が通じて会話ができるという発想は面白かったけれど、そこからのエピソードに残念ながら興味が持てなかった。

  • 梨木さんの世界観。
    とても素晴らしい。

    「からくりからくさ」の蓉子さんが子供の頃のお話。
    蓉子さんが素晴らしいのは、おばあちゃん(麻子さん)からもらった人形「りかさん」がいたからだったのか。。
    蓉子さんもとても素敵だけれど、原点は麻子さんとりかさん。
    「歴史って、裏にいろんな人の思いが地層のように積もっているんだねえ」
    なるほど。。

    人形を通して人の思いがある。
    こんな素敵な人形に出会いたいと思いました。

    文庫化のために書き下ろしされた「ミケルの庭」は「からくりからくさ」の後のお話。
    こうやって作品が繋がると、読んでいてゾクゾクっとしました。

    • いるかさん
      猫丸さん ありがとうございます。
      ここで、そうつながるか、と思うと、うわぁって思いました。
      もう一度読み返したいと思います。。
      猫丸さん ありがとうございます。
      ここで、そうつながるか、と思うと、うわぁって思いました。
      もう一度読み返したいと思います。。
      2021/03/03
    • さてさてさん
      いるかさん、お久しぶりです!
      久しぶりに梨木さんの作品を手にし、ついに「りかさん」読みました。

      “人形を通して人の思いがある”

      ...
      いるかさん、お久しぶりです!
      久しぶりに梨木さんの作品を手にし、ついに「りかさん」読みました。

      “人形を通して人の思いがある”

      なんだかとてもあたたかい言葉ですね。この作品をとても言い得ているように思いました。まあ、本当に人形がしゃべったら、臆病な私は逃げに逃げまくると思います(笑)が、物語として読む分には、絶品ですよね。
      また、「からくりからくさ」への作品間を超えた繋がり。私的には辻村深月さんが思い浮かぶのですが、なんだかとても得をした気がします。
      久しぶりに梨木さんの世界に触れて、ずっと読んでこなかったのを後悔しました。コンプリートしたい作家さんだと改めて思いました。
      2022/11/05
    • いるかさん
      さてさてさん おはようございます。

      コメント ありがとうございます。。
      さてさてさんにそう言っていただけとてもうれしいです。

      ...
      さてさてさん おはようございます。

      コメント ありがとうございます。。
      さてさてさんにそう言っていただけとてもうれしいです。

      梨木さんの世界観 もうすっかり虜になりました。
      人間的に尊敬しています。
      自分の中の価値観に大きく影響を受けた作家さんです。
      読むだけでなく、梨木さんの本はずっと手元に置いておきたいと思っています。

      ありがとうございます。。
      2022/11/05

  •  不思議な物語でした。
     見えている認識できているものだけではなく、全てのものを大切に扱える人になりたいと思いました。少しずつ頑張ろう。よく吟味してから買うことにします。

    p73「見えている色がそのままその植物の色とは限らないんだよ」

    p84「いろんな枠組みの世界が重なり合って、世の中が持ってるんだって、分かるようになった。一つぽしゃっても、他でなんとかなるもんだって。極端に違うものがあっても、全部合わせてそこそこ平均がバランスとれればいいんだって」

    角をウサギの耳にして去らせる方法を開発した。

    p203「簡単さ。まず、自分の濁りを押しつけない。それからどんな『差』や違いでも、なんて、かわいい、ってまず思うのさ」〜以後の会話が好き

  • ようこは自分の部屋に戻り、箱を見た。お人形のおいてあった下には、着替えが幾組かたたんであり、さらにその下のほうにもう一つ、箱のようなものが入っている。開けると、和紙にくるまれた、小さな食器がいくつか、出てきた。「説明書」と書かれた封筒も出てきた。中には便せんに、おばあちゃんの字で、つぎのようなことが書いてあった。『ようこちゃん、りかは縁あって、ようこちゃんにもらわれることになりました。りかは、元の持ち主の私がいうのもなんですが、とてもいいお人形です。それはりかの今までの持ち主たちが、りかを大事に慈しんできたからです。ようこちゃんにも、りかを幸せにしてあげる責任があります。』…人形を幸せにする?…どういうことだろう、ってようこは思った。どういうふうに?

  • 活字も大きくて、なんだか子供向けの本かと思ったら、全然そんなことはない、読み応えのある本だった。本当にこの人は、なんと言うか、多層的な物語を書く。

    ようこさんが、不思議な優しさを持った女性に育っていく過程が描かれているのだが、僕にはそれが捉えきれない。しばらくしてからもう一度読むかな。


  • 「人形のほんとうの使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとことん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露にかえすようにね。気持ちは、あんまり激しいと濁っていく。いいお人形は、吸い取り紙のように感情の濁りの部分だけ吸い取っていく。試練を積んでいない人形は、持ち主の生気まで吸い取りすぎてしまうし、濁りの部分だけを持ち主に残して、どうしようもない性悪にしてしまうこともあるし。だけどこのりかさんは、今までそりゃ正しく大事に扱われてきたから、とても、気だてがいい。」

  • 産後の朦朧とした頭では理解するのに時間がかかった。でも絶対深くて面白いのはわかる。落ち着いたら再度読み直してみようと思う。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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