火車 (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369181

感想・レビュー・書評

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  • お金が火だるまのように増えたり減ったり、そんな事に人生が振り回されていったら大変だろうなと思った…

  • 評価がえらい高いが何がそんなに良いのかよく分からない。ミステリーの常道から外れてるし。犯人の境遇にもそれほど同情できない(私も紙一重であんな風になりそうでしたが)。

  • 妻を交通事故で亡くした休職中の刑事が
    甥の依頼で突然姿を消してしまったという新妻を探すことになる。

    甥と言っても希薄な関係性。
    徐々に明かされていく女性の素性。
    タイトルのせいだろうか。
    気分の明るい読書にはならないと覚悟はしていたが
    火車が引かれているという地獄へ
    ゴトゴトと
    引きづられて行っているような、
    罪人との距離はずっとずっとあったはずなのに
    火車が揺れるたびに、罪人の肩も、自分の肩も同じように
    揺れているような気がして
    恐怖ばかりが濃くなる一方だった。

    いつか何か温かな結末にたどり着くのではないかと
    小さな期待も虚しく闇の先は闇が待っているだけだった。

    私たちの日常のすぐそばにある地獄の入り口。
    あっけないほどすぐそばにあるその時代の闇の入り口。

    ねっとりとした読後感。
    救いは
    主人公のそばにいる、聡明で優しい息子、頼りになる同僚。
    自分のそばにも
    目を向ければ
    平穏な日常や
    ささやかな笑いのある暮らしがある。
    大切にしなくちゃなと思う。

  • 親戚の男性から頼まれ事をされてしまった刑事。
    婚約者が急にいなくなってしまった、とのこと。
    ちょうど足を負傷して休職していたから、
    引き受けてみたものの、婚約者の居場所が
    全然見つからない。

    婚約者が違う人物の名前を語っていたこと、
    本物の人物の行方は一体どこに…。
    自己破産の犠牲になった2人の女性が絡み合う。

    なんか、読んでてスゴかった!!
    そして、最後どうなるのか、気になった。
    犯罪者かもしれないけど、でも、
    悪人と感じない彼女。
    幸せに生きて欲しいと願ってしまった。

    クレジットカードって確かに便利だけど、
    気を付けないといけないなーと改めて思ったよ。
    今の時代、現金よりもキャッシュレスだしねー。
    そんな時代に、いまだにPayPayしてない私ー笑

  • キャッシング。現実にお付き合いしてた人が利用してた。日々小足りないお金をキャッシングでまかなうって感じの使い方だった。
    でも返済とかあまり深く考えてなくて、じわじわと100万円近く借入額が溜まっているって状態だった。
    危機感はなかった。当たり前のようだった。
    あまりにも簡単過ぎて、自分のお金のように思えるのかもしれない。
    私だってそれを知るまでは私には無縁のものと思ってたな。
    過去のことを子細に思い出した。

    事件、事故、結婚、離婚。
    私達はテレビ、ドラマ、インターネット、ニュースの中のことをあまり現実的に捉えていない。
    だから偏見がある。
    だけど自分だっていつ関係者や当事者になるかはわからない。

    物語の中にも出てきたけど、お金の教育は本当に大事だと思う。義務教育で教えるべき。

  • ただのミステリーではない。
    クレジットでの破産が自分に起こり得ると思うと、読みながら怖くなった。

    最後はどんな終わり方をするんだろう思ったら、新城きょうこは最後まで出てこなくて、この後どうなったんだ!と気になりもやもやした。
    が、新城きょうこの全てが悪い訳ではないので、彼女がただ逮捕されるだけの終わりよりは確かに良かったのかもしれない。

    新城も関根彰子も、ただ幸せになりたかっただけなのに、破滅に向かっていたことが悲しくて仕方なかった。ただ幸せになりたいだけなのに。
    私たちは何を追い求めているんだろうねぇ。

  • これまで読んだ小説の中でもトップ3に入る小説。

  • 家族から貰い受けました。結構前のものなので古い描写がありつつも、登場人物の仕草や表情を想像させる文章で、没入感高く読み込んでいました。
    複雑に絡み合った糸を解いていくように少しずつ真実が分かっていく様は、他の方が言うように回りくどいかなと感じる部分もありましたが、ラストに向かって集結していく感覚はとても楽しいものでした。
    ただ、読み進めている間が楽しかっただけにラストが「え?これでおわり?!」という感じでした。依頼人はほぼ出てこないまま終了してしまい、ヒロインの口から語られる言葉もなく、個人的には読後ちょっと物足りなさがありました。

  • ぺぇ…すごい…
    ある女性の数奇な運命。いや、だれにでも起こりうることなんだ。
    ぞくぞくする場面がいくつもあった。
    彼女は何者なのか。どうしてそんな事をしたのか。
    主人公と一緒に好奇心に駆られながら、あるいは自分だけは彼女の味方であると感じながら読み進めていたのかもしれない。
    20代後半になって読んだから余計にそう思うのかも。
    極上の推理小説であり、90年代の経済の闇を捉えた社会派小説でもあり、人間の幸福を追い求める心を描いた繊細な心理小説である。

  • 犯人を追っていく中で次々と真相が明かされていく展開と現代社会におけるクレジットカードというリアルな側面がとても読んでいて止まらなくなる作品。

    個人的には続きが気になりますが、人にはオススメしたくなる作品の一つです。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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