車輪の下 (新潮文庫)

  • 新潮社
3.57
  • (530)
  • (847)
  • (1436)
  • (159)
  • (19)
本棚登録 : 9709
感想 : 780
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001035

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ノルウェイの森」の作中、ワタナベくんがミドリの家で読んでいた印象。
    中1の教科書にとりあげられているらしいと知って、読もう読もうと思っていたいわずと知れた作品。



    前半は自然豊かな描写が綺麗だけど、なかなか読み進まず、(産後で読解力も産み落としたんかってくらい文字に目が滑る…)、後半にいくにつれてぐんぐん惹き込まれるのと同時にどんどん切ない気持ちに。

    「車輪」のワードに辿り着いた時には、

    そういうテーマなのか

    じゃあ下ってことはこの先は…と

    胸が詰まるような感覚で読了。



    調べてみたら、

    ドイツで落ちこぼれになることの例えとして「車輪の下敷きになる」と言われることがあるそう。


    『こういうふうに陽気な日曜日を持ち、当然その資格のある人間のように、人生を心得、愉快にやることを心得ている人たちと一緒に、料理店のテーブルに向かって腰掛けるのは、すてきだった。
    ...力をこめてテーブルをとんとんたたき、屈
    託なく「ねえさんもう一杯」と叫ぶのは、すてきで男らしかった。』

    社会に圧迫された環境に翻弄されながらも、
    序盤と中盤、終盤で主人公ハンスから見る世界が変わっていく描写が勇気づけられ、
    その分、主人公の結末と周りの悪意のない、自分が与えた主人公への圧力に気付かずにただただ可哀想にと嘆く姿に、うわわわとなった。(語彙力…。笑)

    ほぼ作者ヘッセの自叙伝だというこの話。
    解説まで読んで、この作品がさらに胸に落ちた。

    教育者として、親として、
    忘れたくないなあ、と思う感覚でした。

  • ちょっと、人間失格とかに似てるかも。

  • 20世紀初頭に書かれた筆者の自伝的作品。神童と呼ばれ、進められるがままに勉学に明け暮れたハンス少年、その後の神学校での出会いと別れ、地元に戻ってからの性の目覚めと労働の喜び。自らの人格形成を客観的に見つめ物語に昇華させる才能に畏怖の念すら覚える凄まじい作品だった。第二章、ハンスが釣りに行くシーンの描写がとてもいい。川の水の音や、光の音、魚の引きを感じられるようだった。ここまで詳細に釣りを描くなんて、ヘッセの他にはヘミングウェイしか知らない。その後神学校に入り詩人オットー・ハルトナーと出会う。彼の存在は大きい。才能があり枠にはまらない彼との友情と別れが自分を見つめ直すきっかけになるが、その結果半ば廃人のようになり退学を余儀なくされる。地元に帰り機械工に就職したハンスは労働により人間性を取り戻す。最後は切ないが、作者とハンスの決別という印象を受けた。

  • 学生時代に読めてよかった

  • 辛かった。主人公のハンスが最後死んでしまうような話だったとは。特に最後ハンスの死に顔が「ほとんど朗らかにさえ見えた」p259 とあってより悲しくなった。
    ヘッセのほぼ自伝小説ということだが、小説と現実の大きな違いは母親の存在の有無ということにひかれた。ハンスは心の救いがなかったために自滅という最期をとげるがヘッセは母親のおかげで立ち直れた。
    受験後に読んだから受験勉強の辛さはよくわかったが、ハンスは私よりもっと勉強して常に頭痛がするようになり、休暇期間も勉強し続けていたため、その苦しさは計り知れなかっただろうと思った。規則ばかりで芸術や自由を無視する風潮は良くないのだろう

  • つらかった
    子どもを追い詰めたくないな
    とにかく生きていてくれればいい 楽しいことが多ければより良い

  • やっぱり学生のときに大切なのは勉強だけではないね。

  • はるか昔に読んだ記憶。なんとなく覚えていたあらすじとは相違なかったが、大人になってみるとさすがに印象が違ってくる。お父さんやあれこれおせっかいする地元の大人たちの身になって読んでしまう。

  • 親や周りの期待に押しつぶされるいたいけな少年。
    子供の頃読むのと、大人になって読むのでは、随分と印象が違った。
    同世代の子供より優れているからこその周りの大人たちの期待。それは重圧でもあるけれど、同時に優越感も与えてくる。そこからどんどん沈んでいくハンスが、期待に押しつぶされる子供を本当によく描いていると感じた。親や先生に期待されて、頑張りすぎる子供が存在するのは、今も昔も変わらないようだ。
    期待されることは100%いやというわけではないのだろうが、精神がすり減らないわけではない。自分の本当にやりたいこともできず、ただレールを歩む。そして神学校から堕ち、周りより半歩以上遅れて人生を再開する。栄光からの転落。その姿はまさに車輪の下だ。
    最後の最後、ハンスが取った行動は、偶然なのか必然なのか、全読者の最大の謎であり、論点だろう。

  • 中学生の時「夏休みの課題図書」として薦められた。もちろん、読まなかった(笑)
    読みゃよかった。そしたらもっと学校や教育を疑い、自分の人生について真剣に考えたかもしれない。
    いや、この回りくどい和訳の文章に太刀打ちできんかったかもしれんけど。
    これってそもそも教師が中学生に薦めるべき本なの?
    あんたはこれ読んだんか?
    って、あの時の教師に聞きたい。

全780件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

「2022年 『無伴奏男声合唱組曲 蒼穹の星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヘルマン・ヘッセの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
谷崎潤一郎
フランツ・カフカ
ドストエフスキー
ドストエフスキー
三島由紀夫
梶井基次郎
ヘミングウェイ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×