- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103275169
感想・レビュー・書評
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上梓されたのは知っていたが、藤圭子のことをよく知っている訳でもないので、読まないかな、と思っていた。が、書評でみて、すぐ取り寄せて読むことに。沢木耕太郎の実験的な作で、戸書きなしで会話だけで記されていること、インタビューを行った時期が、深夜特急の旅から帰り、執筆される間に書かれていること(この時期の作は熱いものが多い)、深夜特急の旅の書かれていないその後のことがちょっと出てくること、そんなことを知ったら読まざる負えない。実際、藤圭子を知らなくてもその人柄がよく出ていて、昨今の報道とは違う視点であり、読ませる力がこの作品にはある。あとがきにも書いてあるが、宇多田ヒカルに読ませたい。
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「後記」にあるように、宇多田ヒカルに読んでもらいたい、良い作品。
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後記から読みました。自分がその場にいた、自分がインタヴューしていた、そんな錯覚にとらわれる文句無しの秀作。
20160925再読。SONGSの宇多田ヒカルを見てまた読んでみた。切ない。 -
こういうものが封印されていたことが後書どおりとするなら、もう沢木耕太郎らしい色気と矜恃で眩暈がする。
藤圭子、28歳の芸能界引退前のインタビュー。
沢木自身も認める、二人の会話が連なる野心的な作品だった。でもそれは方法に囚われた自己満足だったのではないか、そして内容が藤圭子の今後の復帰を足を引っ張るのではないか、という気持ちから封印したという。
今年、藤圭子が自死し、宇多田ヒカルに煌めく28歳の藤圭子に触れさせたいということから刊行したという。そこにはやはり、沢木耕太郎の色気と矜恃があるが、やはり今、このタイミングでというところの批判は出るんだろうなあ。
ただありがたくも、私も知ることが出来た。煌めく28歳の藤圭子は、かなり魅力的な女性であった。あまりにも魅力的で、こんなに夢中に本を読んだのも久しぶりだった。
冒頭、「深夜特急」の後日談のような、日本に帰る間際、パリで沢木と藤圭子はすれ違っていたことに驚く。
二度、流星ひとつ落ちた。
晩年、藤圭子は海外を飛び回っていた。沢木のスペインの話が影響していたんじゃないかな。と、考えたりする。