- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103361114
作品紹介・あらすじ
完全に奴隷の状態にならなければ見えてこない世界を見たい! SMクラブの女王様とのプレイを重ねるうちに、究極の快楽を求めるようになった男が見たものは何か? 表題作のほか、アナウンススクールの講師と生徒、奴隷と女王様、ふたつの世界が織りなす奇妙な交錯を描く「トーキョーの調教」。マゾヒズムの快楽に耽溺せずにはいられない男たちを描く中編二作を収める禁断の異色小説集。
感想・レビュー・書評
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図書館でジャケ借りしたら、すごい内容で驚いた。こんな世界もあるんだーと何とか読み終えることができた。
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簡単に言ってしまえばM男の調教モノがふたつ入っている小説なのだけど、今まで読んだSM系の小説は内側ばかりに焦点が当たっていたのに対し、「メタモルフォシス」は内側の変化がしっかりと肉体、思考、判断力に反映されているのが素晴らしいと感じた。「トーキョーの調教」のほうはあまり見るべきでない側面を見てしまった感じがしてあまり好きにはなれなかったけれど、「メタモルフォシス」がまさにメタモルフォシスだったんで☆5.
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著者の芥川賞受賞作品を読んだのをきっかけに他の作品も読んでみたいと思い、読んだ次第。終始、SMクラブの世界を濃密に表現されていると感じた読後感。SMプレイに関しての事細かな文章で表現されているので、最初は痛々しくて躊躇うほどであったが、読み進めていくうちに、痛々しさに不快感は感じなくなり、痛めつけられることに快感を覚える性癖があることも、当人が良いと思うならアリだろうと感じる。奴隷と女王様との世界感、SMプレイによる男たちの新たな価値観、変態も一線を超えると逆に快感となってしまうだろう、新鮮味があった。
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「メタモルフォシス」と「トーキョー調教」二作が収められている。
二編とも、SMに耽溺してゆくマゾヒストの男達が描かれているのだが、
その苦痛な快楽に堕ちてゆく描写は、
男達の仕事(金融やマスコミ)の中での隷従せざるおえないシステムや状況、人々をもうまく表している。
単にSM小説では終わらない「マゾヒズム」を見る事が出来る一冊だった。 -
まさかのMもの。
お昼休みに読み進めるものとしては相性が悪かった。
しかし、その体験の先になにがあるのか…というのは興味が持てて読むのは苦ではなかった。共感はできなかった。 -
私にとって初めての羽田作品。
表紙に惹かれ、借りました。
……なかなかの内容。
中編2話収録でどちらも“サトウ”という男が主人公で共通のSMクラブの会員(面識はなし)
アブノーマル過ぎる描写が凄かったのと、改行が少なめでビックリでした。
何故かそういうやらしい気持ちになることはなく、2人の“サトウ”の行く末を見守る気持ちになりました。
とことんMな人ってこんなのなのね……という勉強にもなりました( ̄▽ ̄;)
※あくまで個人的意見ですが……エグめ描写が苦手な方にはオススメ出来かねます。
また食事前後や外での読書にも不向きだと感じました(>_<) -
自分の輪郭を明確にするために意識下がこの世界に身を投じろと命ずるのだろうか?そこに何かの優越感や恍惚感があるのだろうか?それで日常は覚醒するのだろうか?触れたことのない世界を垣間見ることができたけれど、決して見たい世界ではなかった。歯止めの効かない高揚感が読んでてとにかく気持ち悪く、もしかしたらそこに社会病理が現されているのかもしれないが、残念ながらその表現方法も含めて何一つ共感することができなかった。
しかしSMっていうのは本当にこんなに死と隣り合わせの世界なのですか??
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芥川賞候補にもなったようで期待したがイメージとは違い、SMの話であり、主人公が自分を傷つけていくことをエスカレートさせていく。読んでいて気分が良くなるものではない。