メリーゴーランド

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 284
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104689019

感想・レビュー・書評

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  • 村興しシリーズとでも言うべき? 「お役所仕事」というものに対する痛烈な皮肉が、綿菓子のようなユーモアに包み込まれて炸裂しっぱなし。さすがにここまでひどいのはないだろうけど、「前例がない」ってだけで片付けちゃう部分はまったく本当にありそうだよなあ。他にも現代社会に対する批判・皮肉がちくちくと随所に見られて、それでもとにかくユーモアに徹する作風はこの人ならでは。ちょっとくどい気がしないでもないけど、それもまあ持ち味だからいいか。
    「アテネ村」というアミューズメントパークが舞台になっているのは、アテネオリンピックにタイムリーだったか? とはいえ……これのどこがアテネじゃ(爆笑)。でもちょっと行ってみたい気はするねアテネ村。

  • よく「お役所仕事」なんて言いますが、「実際にお役所仕事ってこうなんだろうか…?」と呆れるというか腹が立つというか(^_^;)妙にリアリティがあって笑えました。でもあのメリーゴーランド、実際にあったら乗ってみたいなぁ。とても魅力的なアトラクションだと思いますよ。

  • 大手家電の仕事をあまりの過酷さに辞め、地方の市役所に公務員としてUターンした啓一は、明るい妻とふたりの子供にめぐまれ、大過ない田舎暮らしに満足していた。
    辞令によって、市の大きな負債となっている赤字経営のテーマパークの立て直しを図る部署に出向となった啓一は、前例と慣例と業者との癒着にしか興味のない上層陣の抑圧を受けながら、まったくやる気のない同僚や上司とともに再建計画に翻弄される羽目になる。
    荻原浩得意のがんばるへなちょこお父さん、やるときはやるんだぜストーリーだ。
    事なかれ主義の役人、田舎のヤンキー、オカマの芸人など、登場する人物があまりにもデフォルメ化されすぎているけれど、皮肉の利いたエンターテイメントと思えば個性的過ぎるキャラクターは逆におもしろい。
    話の展開は想定した通りだけれど、ラストの、単純な何もかもめでたしめでたしにはしないヒネリが巧い。

  • 2009/04/10読了

  • ○2009/03/23 
    本屋の文庫コーナーで見かけて気になったもの。パラっと立ち読んだときは1章目のところだけだったから、まさかお役人さんが主人公の話だなんて思いもしなかった。
    イメージ通りというか、融通をきかせづらいという印象のある役所のお偉いさんたちをあまりにも型にはめすぎていて笑えた。そういう社会だし、まぁ間違ってないとも言えない…のかな。
    そんなところに勤めるしがない公務員だけど、なぜだか村のテーマパークを立て直すことに。ってほんとにどういうことだ(笑)遠野さんの周りで手を貸してくれる人たちがいちいち楽しかった。
    そして後半にまさかの展開。結末は決して嬉しいものではなかったけど、そんな成功ばっかり起きたってね。妙なリアルを感じられてすごく面白かった。他の話も読んでみようか。

  • 過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。…って、再建ですか、この俺が?あの超赤字テーマパークをどうやって?!でも、もう一人の自分が囁いたのだ。“やろうぜ。いっちまえ”。平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが―。

    再建に向けての過程や、成功したときの喜びは読んでて一緒に楽しめたのですが、ラストが理不尽な気がして残念です。現実はこんなものなのかもしれませんが、本の中くらいはハッピーエンドで終わってほしかったですね。

  • ほのぼのします。なんかいい感じ。

  • 最初のカップルの話は客観視?
    とにかく最後まですいすい読み進んでしまう展開で、とくに何かがあってというお話ではありませんがおもしろく読めました。

  • 典型的なお役所気質の上層部と戦う公務員の話。相変わらずユーモアたっぷりでおもしろい。でもこれが公務員の実態だとしたら呑気に笑ってる場合じゃないなぁ。フィクションでもなんでも、さも「現実」のように書く萩原さん。すごいなぁ。もっともっとこの人の作品を読んでみたいと思った。それにしても作中で皮肉を込めつつ社会の色んな問題を訴えてて、それには度々ドキリとさせられた。

  • イベントを成功させるために奔走する姿は大変そうでもとても楽しそう。
    まるで学園祭の準備のようで、こんな風に働けたらいいなぁって思う。
    でも、働く人のやりがいなどというものは、
    市役所のような組織の中では全く顧みられないのでしょうねぇ。
    (それどころか、イベントの成功さえも反感を買う始末…)

    でも、そんなことはさておいて、物語としてとっても面白いの。
    いつもどおり、わき役も魅力的だしね。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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