代理母、はじめました (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.32
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感想 : 138
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053924

感想・レビュー・書評

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  • この人の書く本は何だか途中からご都合主義でストーリーが進んで安易にハッピーエンドで終わるというのがパターンだったけど、この本は特にそれが顕著だった。
    本当に、激しくネタバレ内容になるので、まだ読んでない方はこのレビューは見ない方がいいです。

    主人公は二人。
    10代の少女と婦人科の女医。
    10代の少女、ユキは母親が家出してから、義理の父親と妹、弟と暮らしている。
    金に困った父親はユキに代理母をさせ、大金を手に入れる。
    二度とそんな体験をしたくないと思ったユキは男友達と家出。
    何だかんだあってタワーマンションの最上階に住むことになる。
    やがて、自分の代理母の経験からお金に困っている女性と子供が欲しい人との橋渡しの仕事をしようと思うようになるユキ。
    一方、婦人科医の芽衣子は仕事を通して、様々な理由で子供が欲しくて代理母を望む女性を見る。
    ・・・という事で、代理母の側、それを望む側、それぞれの目線で描かれたストーリーになっている。

    そこが焦点でないからというのは分かるけど、代理母になった少女の妊娠しているくだりはほとんど描かれていなくて、彼女の辿る運命の展開もあまりにスピーディーでその分、安易に感じられた。
    家出したと思ったら、その数日後か時間の経たない内にタワーマンションの最上階に住んだり、まだ10代なのに代理母の斡旋業を始めたり、一緒に家出した男友達がゲイでパソコン知識に優れている・・・なんて、あまりに出来過ぎでストーリーが薄っぺらい。
    テーマにしている事は重いのに。
    結末もあまりに大団円すぎる。
    家出してた母親が戻ってきて偶然出会ったり、父親が死んだり・・・。

    代理母というものに興味がなかったり、自分に関係のない人はその内容をほとんど知らないと思う。
    私もそう。
    だから、代理母というものをこの本を通して知る事ができるのはいいかもしれない。

  • うーん。
    代理母、という設定はどこまでも重いものに対し、この作品はあくまでも登場人物を掘り下げ続けて話を進めていて、最終的に着地点に向けてそれぞれが抱えるすべての問題がまさに都合良く片付いていった感じ。
    これまでも社会派なテーマに対し、素晴らしいラストに流れ着くさまに感動すら覚えたのだけど、今作は首を傾げてしまった。垣谷作品にしては珍しい。
    世の中カネってところしか残らなかった。
    もっと面白くなりそうだったのに。本当に残念。

  • これは酷い。
    雑過ぎる。
    初っ端から眉間に皺が寄り、嫌悪感しか無い。
    いくら大袈裟に、誇張して書いているにしても、「垣谷さん、どうしちゃったんですか?」状態。
    私のこれらの失望感は、代理母というテーマに対するものではなく、著者の書き方に対してだ。

    私が読む(本当は大好きな)垣谷美雨さんの14冊目。
    図書館貸し出し、長いこと待った。

    しかし42ページまで読んだところで、読み続けることに不安を覚え、ブクログのレビューをネタバレお構い無しに、いや、むしろネタバレを求めて拝見した。

    皆様のレビュー、参考になりました。
    ありがとうございます。

    これ以上は時間の無駄と判断して読むのをやめる。

    「垣谷美雨さん」カテゴリではなく「読み続けられなかった本」カテゴリ行き。

    (あくまでも個人的感想です)

  • 子どもを産むということ。
    登場人物たちが選んだ選択肢が
    今の世界で選べるわけではないけど、
    私が知らないだけで、
    さまざまな生き方があるのだろうなと感じました。

    当事者ではないときに、
    わからないが故に困ることもあるけど
    まずは知ろうと思って
    行動していきたいと思いました。

  • 表紙からしてほっこりものかと思ったら、
    いい意味で裏切られました。
    近未来こうなっても、おかしくはないしそんななか生きていく登場人物たちの強さに引き込まれていく作品でした。

  • 重いですね。
    途中で読むのを辞めようかと思いました。
    代理母というのは自分には理解できないですね。
    最後はみんな幸せになって終わっているけど代理母の問題は自分は終わってないと思います。

  • 垣谷さん、気軽に面白く読めるので好きだけれど、これは全然読んでいて楽しくない。
    自分は女で、これまでの中でそれはいろいろあったけれど、
    女だからといって、こんなにもミジメな存在だなんて思っていない。
    なんだか、共感というよりも読んでいて悲しくなる。

    40歳未婚出産も残念な感じだったけれど、垣谷さんの出産関係のテーマは自分とは合わない気がする。

    希望病棟での「学費のために風俗」や、本作の「貧困だから代理母」って、
    ぜんぜんしっくりこないけどなぁ。

  • 近未来の話(にする必要あったか?)

    義父に代理出産させられたユキ
    考え方が古い院長の元で働く倉持芽衣子
    2人の逆転劇の話かと思いワクワクして読みはじめた

    確かに2人がタッグを組んで
    代理出産の仕事をしだしたんだけど…

    なんかめっちゃうまくいきすぎてないか?

    義父がもっと執着するかと思いきや
    全然でてこなくなるし
    院長が芽衣子を敵視して潰しにかかると
    思いきや、めっちゃ協力的になるし
    ラストなんかめっちゃハッピーエンドやし

    いやー。いいんだけどね…

    グロいストーリーやイヤミスが好きな私には
    あまりにも、全てがうまくいきすぎて
    いまいちでした。

    そもそも出産って、こんなにゆるくないし
    育児もホントに大変やのに
    そこには、ほとんど触れてないのも
    ぬるすぎる…

    かといって、ほんわかできる
    癒し系な話でもなく
    なんか代理出産を頑張ってテーマに
    選んでみただけの本って感じがした

    垣内さんの本は好きでよく読んでるけど
    いつものノリもなかった気がした
    面白くなかったわけではないけど…

    次回作に期待しまーす。

  • タイトルとほんわかした表紙から、高齢女性が働く娘の代わりにお母さん業に奮闘する・・・みたいな話だと思ったら、全然違った。

    時は2040年の近未来、日本。
    富士山の噴火による火山灰が東京を埋め尽くし、首都機能はクリーンシティである長野県松本市に移された時代。
    東京では放棄された土地家屋が多数あり、その中の放棄された電車車両を不法占拠して家族と暮らす少女、ユキ。
    義父に騙されて、未成年で妊娠・出産経験もないのに、お金のためにお金持ちの中国人の代理出産をさせられる。ユキが、仲間や支援者とともに、みんなが幸せになれるような代理出産制度を作っていくというサクセス?ストーリーだ。

    今から20年後に、これほどまでに国内の格差が広がり、日本国内が多国籍文化になるとはあまり想像できないけど、でもそうなったら怖いなと思ってしまった。
    代理出産について、芸能人や政治家、つまりお金ある人達ががアメリカ行ってやってる、という認識しかなかったけど、そこにはもちろん多額の費用がかかっているわけだ。
    お金で貧乏な女性に産ませる、という嫌なイメージはなかったけど、この本を読み、代理出産そのものに対して差別的なものだと思えてしまった。
    私は「お腹を痛めてこそ一人前」とは思わないけど、日本が妊娠、出産について大いに遅れていることは私も感じている。
    かといって、代理出産が当たり前になるのが良いことなのか?命をかけて代理出産しないとお金を稼げない人がいる世界って・・・と思ってしまった。

    代理出産について日本では法律がない、というのはその通り。
    ただ、代理出産を認めるとなると、他の法律との軋轢や、おかしな例が出てきてしまうのではないかと思う。つい最近も、他人の精子を使って出産した女性が、その男性が国籍、学歴を偽っていたということ等で損害賠償請求を起こした。生まれた子どもは育てられない。そういうトラブルが、増えてしまうのではないか?と思った。

    どんな時代や世の中になっても、子どもを育てたい人が育てられる社会、子どもが幸せに成長できる社会であってほしい。

    ユキが冒頭、出産後、病院からバスに乗ったときに、乗り合わせたアラブ系の男性と目があい、ニヤニヤされ、男性を怖がるシーンがある。私にはこれが印象的だった。
    うちの近くのレストランで東南アジア系の男性が多数働いていて、路上で出くわすと、彼らはフレンドリーに笑って来ることもある。私はそれに恐怖を抱いたことはなく、私は平和を享受しているんだと思った。
    誰かの笑顔を怖いと思う・・・それほどまでに廃退した日本になりませんように。

  • 現実世界とはちょっと離れたお話。
    自動運転タクシーやドローンなどが出てきて近未来かと思いきや貧困層がいたりして。
    ちぐはぐな世界観だった。
    エンディングはハッピーになるのは良かったけど、今までの垣谷さんの話とは違いましたね。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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