代理母、はじめました (単行本)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120053924

感想・レビュー・書評

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  • 作者 垣谷美雨氏 「老後の資金がありません」テレビ化もして、話題になり、その他「夫の墓には入りません」など、ユーモアあり、法律に関しても、よく調べ上げて、読んでいて この様に社会は動いているのだと、関心を深めていた。

    高齢者の運転事故などのニュースの時には、「うちの父が運転をやめません」など、時代に則した話を提供してくれている。

    今回、少子化問題で、政府も子育ての大変さや子供の居る家庭への支援策を押し出して来ている。
    そんな時にこの本を手に取った。
    頭に浮かんだのは、ある女優さんが、外国で、代理母を依頼し、子供を手にしたけど、日本の法律で、我が子にならないとか、話題になった事があった気がする。
    あの後どうなったのだろう?
    まず、表紙の淡い色合いで、女医に囲まれた幸せそうな妊婦姿。
    しかし、読み始めてみると、16歳で代理母???
    えっ?と、思いながら、読み始めたのだが、SFの話なの?これは!?

    そして、正月から能登半島地震!
    現実も天変地異の怖さが……
    本も荒野と化した東京が登場しており、これからの日本はどうなって行くのだろうかと、思ってしまう。

    底辺にいる人達が、簡単にお金を稼ぐのに、家族を犠牲にしないといけない。
    そして、その恩恵として、子供を自分の身体からでなく、他人の身体から我が子になる赤ちゃんをお金と引き換えに貰う。

    本の中で、自分の卵子や配偶者の精子も使用せず、赤ちゃんが欲しい場面があるが、それなら、里子に出す人から、養子に迎えた方がいいのではと、思ってしまった。
    未成年の出産で、強くなり、義父からの酷い仕打ちから逃避し、会社を立ち上げて成功して行く様は、いいけど、これで良いのだろうか?と不安になる。
    その上、同性愛問題にも、この本は描かれている。
    ちょっと以前では、口に出す事も嫌悪されて来た話題である。
    今は、自由になって来たと思いながらも、自分の意思を述べる事も法律違反で、逮捕される国もあり、世界の動向が,進歩しているのかどうかは、定かでない気がする。

    この本で最後は、ユキ達は、10年を超す時代になっているが、周りは、どのように変化したのだろうか?
    不法侵入のような住居、そして今、能登半島のインフラ問題も、頭の中を駆け巡る。
    以前読んだ本からは想像の付かないテーマだった。

  • 不妊治療にしろ妊娠出産にしろ、女性ばかりが過酷なのはどうなの?男性も産める時代が来ないかなぁ?

  • ほんわかした表紙からは予期できない内容です。SF入ってて面白く読みました。
    子ども視点どうなってるねん、という突っ込みはないということで。

  • 思いのほか不快で重い話だった。富士山が噴火し世紀末の様相を呈した近未来の日本。児童虐待、貧困、不妊治療を絡めて進みますが何かピンと来ないで読了。荒廃している日本がただのスラム街のような描写で安易かなとも思ったし現実味が無かった。なんだかんだ良いことを言っても女性性の搾取だし貧困ビジネスだよなと思った。随分と都合よく終わった。

  • 日本の貧困化についてやばいやばいと皆言っているが、ただやばいと言っているだけだと2040年にはこんな恐ろしい国になってしまうのかもしれない。

    女性でいることの辛さ、格差社会の残酷さが丁寧に描かれていて、だからこそ読んでいて辛かった。

    誰かを犠牲にしなければ自分が犠牲になってしまう格差社会。
    男は女を見下し強い男は弱い男を見下そうとする。
    女性であり貧困である代理母たちは一番弱い立場にある。
    代理母が依頼者から感謝の意を伝えてもらえず、同じ人間として対等に見られていなかったとショックを受ける場面が印象に残った。

    また、高血圧や胃潰瘍と違い不妊症は一般の病気と比べて周囲から注がれる眼差しが違う。不妊となると見下されたり差別されたりするのではないかと恐れる、という嵯峨院長の言葉も。

  • 近未来の極端な設定をもとに小説化して問題点を抉り出す垣谷節が、今回は代理母問題を論じる。科の辞の小説は最後はハッピィな終わり方で安心して読める。子供を持てない女の持ちたい気持ちや代理母にならざるを得ない貧困女性のことなどを扱い、代理母ビジネスの一つの形を示している。少子化の時代の問題をうまく取り込んでいる。

  • 微妙。
    いつも身近な社会問題を取り上げ共感ポイントが多いだけに、本作は残念としか言いようがない。

    ほんわかした装丁から子供に恵まれない人達の為の代理母の存在を掘り下げた内容だと思っていたけれど、舞台は2040年の東京。
    日本各地で地震が発生、富士山の噴火で街は荒れ果て、まさにディストピアな世界。

    テーマは代理母でも、それに絡んで来るのは、男尊女卑、貧困と虐待、格差社会、LGBTQ、ジェンダー等々で食傷気味。

    代理母ビジネスにも疑問を感じるが、子を希望する人達の利己主義な考え方にもウンザリ。
    心に響く物がないまま読了。

  • 意外に、ハッピーエンド。
    酷いお父さんの話をもっと掘り下げたい。
    お父さんと電話で喋ってた謎のノブさんや、高層マンション管理人の男の人のこともちゃんと知りたい。
    祥子さんの気持ちの変化ももう少し丁寧に知りたい。
    うーん、最後にミチオのお母さんまで出てきて丸く治まったのは違和感。
    ユキのお母さんも今更?!だし、なんかねぇ。
    最後が駆け足かつ、軽すぎて、満足度ひくい。

  • 不思議な未来のお話し。ありかなぁと思ってしまう。

  • 少し先の日本
    垣内さんの本は、最後には救いのある終わり方で、重い内容でも読後感への配慮を感じる。
    子どもを産むことができる
    その事がどういうことなのか。
    男性が読むとピンとこない描写も多いかもしれない

    これからどんどん貧困層が増えると思われるので
    リアルでした。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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