物語フランス革命: バスチ-ユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書 1963)
- 中央公論新社 (2008年9月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121019639
感想・レビュー・書評
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ルイ16世の政治的な手腕から
革命における隠れた女性の活躍など
主に人物に焦点をあてて書いている。
フランス革命を知りたい人にはうってつけの一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最新の研究成果にもとづきながらフランス革命の歴史的過程を生き生きと描き出しているうえ、個々の人物の描写にも達意のものがある。ルイ16世のイメージは一変したし、死刑執行人サンソンのことは本書をつうじて初めて知った。それ以外の錯綜した人物関係にも見通しがつけられる。恐怖政治についてもう一歩踏み込んだ掘り下げがほしかったところか。
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フランス革命の流れが「人」を中心に書かれています。
すっきり分かりやすくて、これから学びたい。とかごちゃごちゃしていてよくわからないんだよね。と言う方にもおすすめ出来る本です^^
私はこれを読んで『いつか’フランス革命史’を原語で読んでみたい』と壮大な夢(!)を持ちました。 -
『物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで』(安達正勝、2008年、中公新書)
バスティーユ襲撃に始まりナポレオンの登場までがフランス革命の時期なのですが、本書はフランス革命の流れがよくわかる本です。
革命の背景、立役者から陰で支えた女性まで、革命の流れに沿って詳細に書かれています。
ぼくにとって意外な発見だったのが、革命当初は革命家らがルイ16世とマリー・アントワネットの処刑をして共和国建設をしようとは考えていなかったことでした。
加えて、革命が熱狂化しロベスピエールらによる恐怖政治が横行するようになると(ギロチンによる死刑が横行するようになると)、革命家自身が自分も処刑されるのではと恐れるようになり、結果としてロベスピエールの処刑に傾いていく革命の流れに人間的な一面もあるのだなと思いました。
世界史が好きな方、フランス革命を学んでみたい方にはおすすめです。
(2010年3月7日) -
「物語」と題名に銘打っているのは、描いてあることが史実と実証されていることとは必ずしもいえないという筆者の密かな忠告なのかな。どうなんだろう。
少なくとも歴史の教科書に血肉をつけたようないきいきとした描写は教科書よりよほど魅力的で、仏革命というおよそ近代社会の土台となった「一体なんだったんだろう」という嵐の十数年間を俯瞰して語る本書はとてもわかりやすい、仏革命がテスト範囲の学生さんなんかぜひ読むべきだと思います。 -
今まで持ってたフランス革命に対する薄らぼんやりとした知識を整理し、クリアにしてくれる本でした。
「出来事」ではなく「人」に焦点を当ててるから読みやすかったのかも。
ルイ16世の苦悩とか、ナポレオンの英雄らしからぬ行動とか、世界史の教科書では触れられない事ばかりなのが良かった。 -
09年10月16日読了。世界史オンチの私がフランス革命を知る上で非常に役立った一冊。私自身フランス革命を非常に誤解していたこともよくわかった。世界史シリーズは他にも中公新書から刊行されているようなので、ぜひ読んでみたいと思う。
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高校のときの世界史の授業で一番楽しかったのがフランス革命。ドキドキしながら授業を受けていました。私の知への初めての接点だったかもしれません。
ギロチンというのはルイ16世が民主主義時代に残酷な処刑方法をやめようということで考案していた。なんと皮肉な。
それまでの処刑はもっと残虐だった。それで民主主義的に処刑しようということギロチン。これならただ跪くだけだから。 -
階級闘争、権力争い、主導権争い、理想の衝突など、きわめて複雑なフランス革命を三部会招集からナポレオンの戴冠までわかりやすく書いています。総裁政府の中身やブリュメール18日のクーデタの経緯など教科書では感嘆にながされているところなど世界史教員にとってかゆいところに手が届く中身で、またルイ16世を暗君ではなくきわめて開明的な君主という視点から書かれており、それまでの本ではフィルターがかかり見えなかったところが見える、フランス革命を概観する好著といえます。ではなぜ星が二つなのかといいますと、著者個人の政治的意見や主観が入りすぎており、歴史書として決定的なマイナス要因が随所に見られたからです。例えば149頁に国王裁判についての著者個人の意見が書いています。著者はルイ16世を「有罪だが死刑になるほどではない」と述べています。きわめて蛇足の感がぬぐえません。E・H・カーが述べているように、歴史家は陪審員ではないのです。過去の善悪や良不良を述べる立場にありません。もしそのような態度で歴史書を書いたならば、その内容はきわめて主観的になってしまいます。歴史が人文科学である以上(東南アジア史の桃木至郎先生は人文科学であることを否定していましたが)、100%客観であることは不可能かもしれませんが、少なくともそれに近づける努力をしなければ科学ではなくなります。65歳にならんとする著者に対して無礼かもしれませんが、これが私の正直な感想です。また、死刑制度について著者の意見が書かれてありましたが、日本における死刑制度の賛成派が8割ほどいることに対し「世界の趨勢をご存じない」とまるで無知と蔑むような書き方に不満を覚えます。世界的に死刑存続が少数であることは、おおよその人が知っていることだと思います。それでもなお日本においては死刑賛成が多いということは、また何かしらの文化的要因があると考えるべきだと思います。私自身の死刑制度に対する意見はブログ(http://blog.goo.ne.jp/gankai2664/e/90908dfd1ff7688a3f1a0c99f3a1093f)に書いてますが、経済先進国=人権先進国という物言いもどうかと思います。
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わかりやすく、読みやすく書かれていて、フランス革命に対する一定の知識を得る上で非常によい本であると思います。特に人間を中心に描かれているのがよいですね。
個人的にはナポレオンが結構情けない人間であるということに、少しの驚きを感じるとともに、やっぱりそうなんだな、と思いました。