ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか (中公新書 2307)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023070

感想・レビュー・書評

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  • 日本では、990万人が年に84万円以下の所得で暮らしている。現行の社会福祉政策はあまりにも非効率で、貧困の解決には非常に限定的。それを、全国民に一律で大人一人月7万円、子供一人月3万円を無条件で支給することとし、生活保護や年金などと置き換える(なので財源確保可能)、そのうえで勤労意欲を削がないように、所得には一律30%の税を課す、というのが著者のおもな主張。

    個人的には第3章が参考になった。2章は飛ばしてもよかったかも。

  • 貧困は要するに金のない人ということ。であるならばそこは一律で銀行口座を設定してもらってそこに振り込む。そして福祉官僚はお金だけでは解決できない人間関係とか能力開発に特化すればちいという主張。真ナンバーだと抵抗するけど国民全員がばら撒きでBIを受け取れるから銀行口座を登録し所得はすべてそこにいれるようにというのは徴税のことを考えても正解だとおもう。課題は人は金をもらうと怠惰になるのでは?という懸念。自分は懸念だとおもい、そういう人もいるけど金のこと気にしなくていいから文化やスポーツや冒険が爛熟するう期待がある。

    一九六〇年代以降でもっとも重要な変化は、子が資本財ではなく消費財になったことである。

    非正規の労働者であることは、所得が低いだけでなく、保障がない

    BIは、すべての人に所得を給付する。具体的には、すべての人の銀行口座、子どもであればその母親の銀行口座に政府がお金を振り込むということである。振り込むことのコストはほとんどゼロである。またそれは、政府が人々の銀行口座を知るということである。これは政府の所得捕捉を容易にするという利点がある。政府は人々にBI番号を与え、銀行はこの番号を控える。一人の人間は一つのBI口座しか持てない。すべての人は、あらゆる所得をとりあえず口座に通さなければならない。

    私の提案は、BIの導入によって、公共工事などで無理やり仕事を作ることをやめようということだけだ。

  • 日本における貧困の実態、ベーシックインカムの思想的背景、BIを実施する場合の制度設計と財源等の実現可能性について簡潔に整理してあり、経企庁出身のエコノミストらしいまとめ方だと思う。
    貧困の定義にもよるが、日本では1000万人近い人が貧困に陥っており、政府の政策次第ではこれを即座に解消できるのであるから、ぜひBI政策を導入すべきという著者の熱意が感じられる。

  • 年間一人84万円のベーシック・インカムを保証するには、2兆円あれば良い。
    ベーシック・インカムが働くことへのインセンティブを下げることはない。
    本書はベーシック・インカムに対する様々な反論に、丁寧に答えていきます。
    第2章はベーシック・インカムの思想的な背景が主ですが、第3章では実現可能性について、かなり詳しく、試算も含めて解説してあります。
    ベーシック・インカムの入門書としては少々難しいですが、概要はよく理解できました。
    ディべータブルな問題ですね。

  • 今、日本で母子家庭が貧困にあえいでいることを考えると、生活保護での医療費のケアが受けられなくても、ベーシック・インカムという制度について、真剣に考えてみてもいいのかもしれません。本書には、貧困における自殺者に関してのデータは載っていませんが、ベーシック・インカムを導入することで自殺者も減る可能性もあるかもしれませんし。

  • 【ベーシックインカムの基礎を学ぶ】
    スイスで国民投票にかけられるベーシックインカム。すべての人に(所得の高低問わず)一定の金額を付与することで、国家から貧困をなくし、経済的に発展できる仕組みを作り上げるものだ。

    本書では、
    1)そもそもベーシックインカムとは何か
    2)財源をどのように確保するのか
    3)導入するとどのようなメリットとデメリットがあるのか
    を中心に説明している。

    文中、数字が出てきてしっかり読まないとわかりにくい。数字が出てくる割に文字だけで済まそうとしているからである。

    数字的なロジックも含め、100%理解したわけではないけれど、ベーシックインカムの基本的な考え方などは頭に入ったのでよしとする。

    今のところは、ベーシックインカム導入賛成論者になった。財源の箇所の詳細はもっと理解したいが、生活保護が機能してない現在、この制度は貧困を解決するだけではなく、国家として経済的に発展する起爆剤になるのではないかと期待を寄せる。

    ただ気になるのは、移民の箇所。今後の日本に移民はマストだと信じているので、福祉国家と移民受け入れが反対方向に働く以上、そのバランスは財源同様に理解したい。

  • ベーシックインカムの基礎的理論書。最初の一冊に最適。

  • 最初は懐疑的でしたが、負の所得税あたりから、フムフム、そうかもの思いだし、最後はそーかもーねー、とまで思うようになりました。
    しかし、世界でまだ例がないってことは何か決定的な欠陥があるのでは?と訝しがってます。
    負の所得税の方が納得感あるんだけどね。事務費がかかっちゃうんだろうか。
    移民受け入れと、福祉が並び立たないってのは、ぼんやり思ってたところを気付かされました。

  • バラマキは正しい政策である。
    誠にその通りなのだが、「控除から手当」の掛け声倒れ、実現しない。「バラマキ」嫌いの人が読んでもきっと納得しないだろう点を考慮して減点。

  • 生活保護という形ではなく、
    BIとして全員に受給する方がいいのかなーと思ってしまった。
    飢え死にということは防げるのかもしれない。

    具体的にいくら配ればいいのかという
    考察もされていて興味深い。

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著者プロフィール

1950年生まれ。東京大学農学部卒業。学習院大学博士(経済学)。経済企画庁国民生活調査課長、海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長、大和総研専務理事チーフエコノミスト、早稲田大学政治経済学術院教授、日本銀行政策委員会審議委員などを経て、現在、名古屋商科大学ビジネススクール教授。著書『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞受賞)、『日本国の原則』(日経ビジネス人文庫、石橋湛山賞受賞)、『若者を見殺しにする日本経済』(ちくま新書)、『ベーシック・インカム』(中公新書)、『デフレと闘う』(中央公論新社)など多数。

「2021年 『コロナ政策の費用対効果』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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