これは王国のかぎ (中公文庫 お 65-9)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122048119

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは角川文庫版で、書き下ろし短編もついていたけれど、先に登録があったので、こっちでレビュー登録。

    タイトルだけは知っていたけれど、読んだことなかった。

    中学生のひろみが、失恋して、もう嫌だと思ったら、アラビアンナイトみたいな世界に飛んでいた。
    しかも、最初は首だけ、あとから体も出てくるけれど、もう人間ではなく、魔神族(ジン)になっているという、驚きの設定から始まる。
    最初にハールーンが出てきたときは、ラブコメ展開してにでもなるのかと思ったら。

    ひろみは納得しないながらもジャニと名付けられて、ひろみを見つけた青年、ハールーンと旅をする。
    そのハールーンとの旅も海に出たところで船が難破して離れ離れに。
    ジャニは気がつくと砂漠にいて、今度はラシードという男の子と出会い、王国の陰謀に巻き込まれて、ラシードを守ることに。
    最後にはまた、ハールーンも出てくるけれど、結局は旅立ってしまう。
    ひろみも元の世界に帰るのは、当然だとして、結局、あの世界はどこだったのか、難しい。
    シェラザードもひろみ…ううん。
    元の世界に戻ったときには数ヶ月経過していたけれど、その間も現実世界のひろみは普通に生活をしていたし。


    終わり方は難しかったけれど、途中で悪役は倒される(殺される)けれど、冒険をしている間はとても面白くて楽しくてわくわくした。
    やっぱり冒険をものはいいな。

    ハールーンと現実世界で会わないかな。
    そんなのは夢物語なのか。

  • 始めの出会いはラジオドラマでした。すでに勾玉三部作を読んでいた私は原作が荻原規子さんだと知ってびっくりしたのを覚えています。図書館で一度読んだきりなので、文庫で購入しました。さらっと読めて面白い。登場人物も魅力的だし、ハールーンには一目で惹きつけられるし、ラシードとミリアムの恋も応援したくなる。でも、主人公のひろみ……ジャニはどこか脇役で不思議な立ち位置。前はラストが今ひとつだと感じたのだけど、今はこの入れ子の物語構造がしっくりと馴染むようです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      読もうと思いつつ、読めてない荻原規子。この作品は1冊だけみたいだから、チャレンジしようかな?
      読もうと思いつつ、読めてない荻原規子。この作品は1冊だけみたいだから、チャレンジしようかな?
      2014/05/01
    • 綾里 未優さん
      nyancomaruさん。
      独立はしているけど、同じ主人公の「樹上のゆりかご」が実はあります。
      でも、現実の学園ものだから、この世界の続...
      nyancomaruさん。
      独立はしているけど、同じ主人公の「樹上のゆりかご」が実はあります。
      でも、現実の学園ものだから、この世界の続きではないので別の物語とした方がいいかもです。雰囲気も違いますしね。
      2014/05/01
  • 樹上のゆりかご、と読む順番が逆になってしまったが、十分面白かった。

  • 樹上のゆりかごを先に読んで、あとからこちらを読みました。
    …が、樹上のゆりかごの方が好きですね;

  • 十五歳の誕生日、失恋で泣きつかれて眠ったひろみが目覚めたそこは・・・なんとアラビアンナイトの世界!?

    私は小さいころから、少女チックな本というものにどうしても馴染めなかった。
    お人形遊びもしなかったし、少女マンガも小学校の高学年になるまで読んだことがなかった。
    特に傷つきやすくて夢見がちな少女と言うものが苦手で、お姫様にもほとんどあこがれたことがないと思う。

    だから荻原さんの本も、面白かったけどそこまでのめり込みはしなかった。
    けれどこれだけは別。失恋で泣きつかれて眠った主人公が目覚めると、なんと頭だけの姿だった、ってところがまず笑えていい(笑)。

    失恋だの何だの悲しむ間もなく、次々と繰り広げられる冒険の数々。
    胸の奥にはまだ柔らかい傷があるんだけど、それを無理やり押しやって、めぐるましい展開に必死についていくジャニ(ひろみ)を、私は気に入ったんだろう。
    時にはめそめそするのもいいけど、冒険となったらそんなこと言ってられないもんね。

    あれ? めそめそしないで目の前の冒険、ってこれ少年漫画的心理では??
    どうやら私の思考回路は、小さいころから男だったみたいです。

  • 話は面白かったけど、世界観に浸れるほどではなかったので。

  • まあ、面白かったけど・・・
    勾玉イメージで読み始めたので・・・
    ちょっと、でも、10代の恋の悩みって大きいか。
    現代のその話が少し書き足りないか、
    メインがアラビアンナイトだからこんな感じかなあ。

  • 解説にある通り、思春期の少女の心が詰め込まれている。
    なので、おっさんが読んでも色々心情が?なところはあるが、少女の目から見たアラビアンナイトを味わえて面白かった。

  • 再読
    「少女向けライトノベル」と「女子(=女の子)向けライトノベル」と「少女(むけ、ではなく少女であることが主題な)小説=少女小説」と「ジュヴナイル」と「児童小説」のどこに区切りをつけるかはたいへん難しい
    少でも女でも児童でもこどもむ薦められるおとなでもないだけに

    ドナルドダックとホーンテッドマンションはぎりぎりゆるせるが
    「ヒスを起こす」はかなりどうかとおもうがどうなのだろうか

  • まさに王道。
    これぞfantasy。
    heroはきちんとheroで、heroineはどこまでもheroine。

    ほんと、ど真ん中の直球を、迷いもなく投げてくる。
    ここまで王道を貫けるってすごいよ。
    そんな王道なのにもかかわらず、全く陳腐じゃない。
    つまり、文章力が素晴らしく高いのですね。
    冒頭から引き込まれて、最後までそのtensionが変わらない。
    上品なhumorと繊細な表現が、しっかりとした骨格に乗ります。
    その相乗効果が、この上ない満足感へと繋がっていきます

    Arabian Nightsを下敷きにした、素敵なお話です。
    導入部から、一気にvoltageを上げていく感じ。<blockquote> 失恋して二十二日目の梅雨のさなか、あたしは最低最悪の誕生日を迎えた。
     十五歳になった。
     最低だと思うのは、小さかったあたしが、「十五歳になると、なにかいいことがある」と思いこんだことを、今も覚えていることだ。そのころ読んだ、アンデルセンの『人魚姫』に感化されたのだと思うけれど。
     だって、人魚姫は十五になると、真珠の冠を髪に飾って、カキの貝がらをしっぽに飾って、海の上に出てもよいとお許しをもらうでしょう。人魚姫にかぎらず、たいがいの物語は、主人公がこのくらいの年齢になると、運命の冒険にふみだすことになっている。かなり本好きの子どもだったあたしは、あれこれと読んだあげく、「あたしもきっと、十五になれば何かが開ける」とつたない予想をしたのよね。そのころはまだ、とおい未来のできごとだったから、夢を持つことが出来たのだ。</blockquote>これが、本当にいっちゃん初めの文章です。
    もう、ぎゅぎゅぎゅっと心を鷲掴みにされますよ。これは。
    本好きで空想癖のあった子ども時代を過ごした人なら、確実に共感できると思う。
    きっと、まだ見ぬ世界への扉があるんだって。
    そしていつか、その扉が目の前に現れるんだって。
    そう思わない夢見る少年少女なんて、いるわけないっすもん。ええ、ええ。

    そして物語は、そんな読者たちの期待を裏切らない、素敵な展開へと繋がっていきます。
    勾玉三部作から一貫した持ち味である、登場人物たちの魅力は本作でも健在です。
    tempoよく、とんとんと波瀾万丈の物語が紡がれていきます。
    うん、これがfantasyだよなぁ、と読了後に感じること請け合いです。
    fantasyが好きな人なら、きっと満足できるはず。
    ほんと、荻原氏の作品は素敵です。素晴らしい。

  • そう展開するのかー!面白かった。

  • 女子中高生が主なターゲットだと思われるが、誰でも楽しめる。
    アラビアンナイトとマザーグースが着想となっている。
    主人公としてではなく、魔神として物語に入り込むという設定が面白く、その設定を活かしきっている。

  • アラビアンナイトの世界にジンとして飛ばされた女の子の話。シンドバッドっぽい男の人と共に海へくりだしたり、実は王子だった子を都へ連れて行ったら、なかなかの冒険をします。
    最終的にはいつもの生活にもどるのですが、本人の気持ちは最悪から抜け出せて別の意味でもハッピーエンドです。

  • 現実世界で失恋した女子中学生のひろみは、突如アラビアンナイトの世界に入りこんでしまいます。それもなぜかジン(魔神族)として!
    驚きと戸惑いの中、砂漠で出会った謎の青年ハールーンに拾われるひろみ……名前を新しく“ジャニ”として、彼女の冒険譚が幕を開けます。

    煌びやかな世界で、出会う人々と巻き起こる事件が相まって、始終わくわくとどきどきでいっぱいです。異世界を旅するって、ファンタジー好きならやっぱり一度は体験してみたいですよね。いいなあ、私も学生の頃にこんな体験をしてみたかったなあ、と思わずにはいられませんでした。あと、もっと小さい頃に読んでいたなら、私は間違いなくハールーンに初恋を奪われていたことでしょう。

    アラビアンナイトと言えば、千夜一夜物語。物語の終盤でシェヘラザードが登場します。彼女の言葉が、タイトルにある「王国のかぎ」とは何なのかを考えさせてくれます。わかりやすい結末ではないだけに、時間を置いて、また読んでみるつもりです。

    図書館スタッフ(学園前):けんじ

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    http://lib.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=2410005287

  • 主人公は女子中学生、と思いきや、舞台はアラビアンナイトでいつの間にか得体のしれない魔神になっていたという始まり。
    まだ魔神になりたてでといった設定も面白く、アラビアンナイトらしく煌びやかな王宮も出て来たり、最後はファンタ―ジ―っぽく終了。
    西洋ものではなく目の付け所の違うアラビアンナイトが異国物として思ったよりも面白くて、これくらいファンタジー感あふれているほうがかえって良いと思いました。

  • 失恋した女子高生がアラビアンナイトの世界に入り込み、王位継承のゴタゴタ荷物に巻き込まれてしまう冒険ファンタジー。大人も楽しめる児童書といった趣。勾玉シリーズと比べると軽めの仕上がり。

  • アランビアンナイトの世界でジン(魔神族)になっちゃう現代の女の子のお話。

    女の子のくだけた一人称語りだったから最初どうかなと思ったけど、それがまたよかったところも。失恋からはじまるしすぐ好きな人できるし、恋愛色強いかと思いきや主人公に関してはそうでもない。王国のなかのお話は裏切らない展開でさくさく進んでいく。終わり方もわりと好き。

    「内」と「外」、お話の中のお話、これは王国のかぎ。

  • こんな本がまた読みたい!
    アラビアンナイトをもとにしたようなやつ。

  • 荻原作品で一番好き。

  • 正直そこまで期待してなかった本作。
    予想を裏切り読みやすくて一気に読んでしまった。
    主人公がこの手の物語あるような正義感が強く頭でっかちな子で鼻持ちならない子ではなかったのが、また良かった。良い話を読んだなー。

  • これはおうこくのかぎ
    そのおうこくに としがあり
    そのとしに まちがあり
    そのまちに とおりがあり
    そのとおりに こみちがくねり
    そのこみちに にわがあり
    そのにわに いえがあり
    そのいえに へやがあり
    そのへやに ベッドがあり
    そのベッドに かごがあり
     かごのなかには あふれるはな
    This is the key of the kingdom,
    In that kingdom is a city,
    In that city is a town,
    In that town there is a street,
    In that street there winds a lane,
    In that lane there is a yard,
    In that yard there is a house,
    In that house there waits a room,
    In that room there is a bed,
    On that bed there is a basket,
    A basket of flowers.
    はなはかごに
    かごはベッドに
    べっどはへやに
    へやはいえに
    いえはにわに
    にわはこみちに
    こみちはとおりに
    とおりはまちに
    まちはとしに
    としはおうこくに
     これはそのおうこくのかぎ
    Flowers in the basket,
    Basket on the bed,
    Bed in the chamber,
    Chamber in the house,
    House in the weedy yard,
    Yard in the winding lane,
    Lane in the brood street,
    Street in the high town,
    Town in the city,
    City in the kingdom;
    This is the key of the kingdom.

  • また読み直したい本のひとつ。
    すこし話が急なところもあるが、主人公がランプの魔人というのが面白い。読んだときはわくわくした。

  • 普通の女の子で精霊で、という視点の取り込み方が新しくて、そのおかげで、これまで読んできた他の小説のコンテキストはこう見れば腑に落ちる、と気づいたりして、興味深かった。

    火に親和性を持つ性質が、体から絞り出したあるもののためだったというモチーフが綺麗だった。児童文学らしい繊細な爽やかさだと思う。

    それを取り戻せば、分かち難い悲しみが迫るけれど、受け入れることは、克服することの入り口に立ったということ。いつかしなやかになれる鍵を手にしたということなのかもしれない。

  •  中学生のときか高校生のときか忘れましたが、学校の図書室で出会って以来、思い出深い一冊です。当時読んだときはハードカバーでした。
     当時読んだ本のことや内容は大抵忘れてしまっているのですが、この本についてはかなり覚えています。

     アラビアンナイトのような世界へ突然放り込まれて、王子様たちの波乱万丈な人生の一端に関わることになってしまった中学生の女の子。
     知らない世界でも物怖じしないさばけた性格の主人公が荻原さんらしくて好きです。ハールーンも。

     シェエラザードの存在や言葉が謎めいていて不思議な終わり方なのですが、入れ子人形のように、物語の外側にさらに物語が広がっていて……という考えはとても共感できます。むしろ、そういう価値観をこの本から貰ったのかもしれない。
     わたしたちの知覚する世界は宇宙の遥か彼方まで広がっているけれど、もしかしたら宇宙の向こうにあるのは、女の子の部屋かもしれないし、シェエラザードのいる場所なのかもしれない。わたしたちは、寝物語に語られる世界の中の一人物に過ぎず、ジャニが海の向こうへ行けなかったように、語り手によって世界に閉じ込められているのかもしれない。
     ハールーンたちのいる世界を一番内側、シェエラザードのいる世界がその外側、そしてさらに外側に「上田ひろみ」のいる世界があるとしたら、シェエラザードの言葉も、少し分かるような気がします。
     そう考えると、物語の外へ自由に飛び出していけるハールーンが、ちょっと羨ましいです。

     ところで、文庫版の表紙、とても好きです。
     読み終わったあとに見返すと、いろいろとこみあげてくるものがあります。 

  • 肩透かし

  • 上田ヒロミ。15歳。片思いだった彼と親友がつきあいだし、失恋したて。傷ついて、自分をもやめたい、と思ったヒロミは、いつの間にか、訳がわからないことに、ターバンを巻いた青年・ハールーンに引っ張られて、アラビアンナイトのような世界に来てしまった。しかも、ヒロミは、人間ではなく、魔神族(ジン)だったのだ。

    ハールーンと旅しながらも、魔神族初心者のヒロミは、、姿を消したり、飛んだり、物を出したり、物にのりうつったり・・・ジンっぽことをいろいろ出来るようになっていった。ハールーンは、ジンであるヒロミと旅をしていても恐れず、陽気で、自分の力を試す自由な旅をしていた。

    しかし、ハールーンはある国の王子であった。自分がいれば、後継者争いが起きそうな国を一人で出た王子は、次期国王をして擁立したいお付き合いの者たちや、反対派の暗殺者たちに追われる身でもあったのだ。

    ヒロミはこの世界で、ハールーンを助け、自分ももとの世界に戻れるのか?

    アラビアンナイトも一緒におオススメしたい。

  • ハールーンという名前は良い。

  • アラビアン異世界トリップもの。
    安心安定の優しい文体に癒やされつつ、読むタイミングが今じゃなかったのか、女子学生一人称でケータイ小説を思い出していちいち「スイーツ(笑)」とよぎってしまったせいか、いまいち入り込めず。
    謎が解かれた時の衝撃がすごく好きでした。

  • 学級文庫用に購入。
    荻原規子さんというと、勾玉シリーズが思い浮かびますが、アラビアンナイトの世界でも上手ですね。

    15歳の女の子が異世界に迷い込む。

    これだけならよくある話!もう掃いて捨てるほど。

    しかし、みずみずしい感性で描かれてるので面白いです。

    ただ、歳をとりすぎたかやや入り込めませんでした。
    ハールーンもラシッドも典型的すぎる・・・。

  • 上田ひろみちゃんの「内」のお話。
    読んでくうちに、実は昔読んだことあった、と思い出しました。

    何がどうしてそうなったのかは、よくわかんなかったりするんですが(苦笑)、現実に戻って「樹上のゆりかご」につながってくんだなぁ、としみじみ。

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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