- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150711023
感想・レビュー・書評
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表題作は独創的だがイメージしにくかった。梯子の上の男は完成度が高い。
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久しぶりに読み返したが、楽しい短編集だなあと改めて思った。
『九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の中となるとなおさらだ』
この文章から推論を展開した結果、とある事件を解決してしまうというユニークな表題作。
「梯子の上の男」のストーリー展開も面白い。 -
表題作である最初の一編は、出てくる地名が多すぎて難しく、面白いとは思えなかったんですが、二編目からはどれも理路整然とした謎解きで面白かったです。
探偵と助手のキャラも良かった。 -
10〜12語でひとつの文を教えてくれれば論理的推論をそこから導き出せると豪語するニッキイウェルト教授のパズルのような推理短編集。「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない。まして雨降りならば尚更だ」から、その日時場所から殺人事件の犯人を指摘する。あまりに有名なこの短編だが、正直何度読み返しても、なぜそこに行き着くのか理解できなかった。まあ、それはそれとして。
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短篇本格推理のエッセンス!と裏表紙にある。
ミステリを読んでいるといろんなところで名前を聞く「九マイルは遠すぎる」
これをもとに書いたとされる作品や、名前からオマージュがわかるものや、読んだ読者の感想に「○○版九マイルは遠すぎるだ!(傑作だ!)」と書かれるものなどなど。
有栖川有栖の江神シリーズ短篇の「四分間では短すぎる」を読んで興味を持って、実際に読んでみるとなるほど!!とあちこちで言及されることにとても納得した。
色々な作品が「九マイル」的と評されたりすることがよくあり、その共通項は分かっていたつもりだけれど、読むと、この短さならではの切れ味の鋭さ、推論の面白さ、意外な結末、どれをとっても面白い。
短編集なので他にもたくさんの短篇があり、それぞれやはり切れ味鋭い短篇で、最初はただ謎を解決しただけのちょっと皮肉っぽい人物、でしかなかった「ニッキィ・ウェルト教授」の人となりにも、ちょっとずつ愛着がわいてきたり、毎週チェスを楽しむ「わたし」との仲の良さ、探偵と助手の関係も含めてとても楽しめた。「わたし」がだんだん成長していくのも良かった。
実際のところ、思いつきもしないとんでもないトリックがあるとか、ものすごくグロテスクで不思議だとか、そういうものは一切なく、ただ本当に論理にも物語にも無駄がない。それでいて、単なるパズルにはならないオチがあり、とても楽しかった。小説なのだなあと思う。
こういうミステリ短編集を読むと、子どものころ学校の図書室にあった子どもむけの「火曜クラブ」や「黒後家蜘蛛の会」みたいな海外ミステリ短編集をむさぼるように読んだのを思い出して、何となく懐かしい気持ちになった。短篇ミステリと安楽椅子探偵の組み合わせ、やっぱり最高に面白い。
私も「九マイル」ゲームしてみたいな。でもそんなに緻密な推論を重ねていけないかな~。 -
「その推論は完全に合理的ではないのでは?」「その推論を推し進めるの無理があるのでは?」と思った部分も多々あったが、どの謎解きもよく考えられてて、読んでいくうちに惹きこまれた。ミステリーを読むときも、人物描写や人間関係の描写が秀逸な作品がいいなと思っていたけど、この作品は限られたページを謎解きにフォーカスしていて、これはこれでいいなと思った。
謎を解く以外にも、クスッと笑ってしまうようなオチがつけられてて、謎解きの内容も突飛だけど熟考されているのが伝わってきて、洒落た作家だなと思った。犯人や大まかなトリックが分かってしまっても、トリックの詳細とか全貌とか発言の意味とか色々凝ってるところがあるから、どれも楽しみながら読むことができる作品だった。
どの作品も結構好きだけど、「梯子の上の男」の会話が、そういう意味だったのか〜!って感動した。こんなに高度な会話の応酬と駆け引きができたらな〜と憧れる。犯罪者なんだけど、かっこいいなーって思ってしまった。 -
東西ミステリ海外版の68位。有名な安楽椅子探偵の名作です。
なんですが、自分には余りハマりませんでした。文章が読みにくいのと(地名/似たような人物名とニックネーム)、海外の大学教授の世界、と言う馴染みのない設定で途中途中飛ばし読みになってしまいました。
ブラウン神父の童心もそうだけど、この時代のこの程度の真相だとやっぱり今読んでキツいものが有ります。
冒頭の"9マイルは遠すぎる"と"わらの男"、"時計を2つ持つ男"は割と良く出来てると思いました。 -
めっちゃおしゃれ推理小説だいすき。
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米澤穂信推薦。安楽椅子探偵。『心当たりのある者は』の元ネタ。
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いわゆる安楽椅子探偵(現場検証や証拠調べをせずに、関係者の証言やコメントから推理し、警察の矛盾を突き、真犯人を当てるタイプの探偵)ものの、はしりと言われた作品。出張中の移動時間に読むには最適。これが世界中に読まれているということは、何か共通点というか、共感するものがあるんだろうなと思う。