書店主フィクリーのものがたり (ハヤカワepi文庫 セ 1-1)
- 早川書房 (2017年12月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200939
感想・レビュー・書評
-
フィクリーさん同様、電子書籍を敬遠している自分にとっては、本屋というものがとてつもなく重要で、大きな書店もそうだけど、最近増え始めている個人店なんかも、そのお店の色が出るから楽しいんだろうなぁ。。
ランビアーズが言った最後のほうの言葉も、まさにというところ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本屋大賞翻訳小説部門2016年1位。映画の古典の名作のような静かな感動を受ける小説。昔の小説の名作をも彷彿させる。最近、特に翻訳もので、難解な文章を悶絶しながら読み進めるようなものが多かったので、これは対極。とても読みやすい自然な文章だけど、気を衒うことなく、いろいろ仕掛けもあって小説の授業で模範となるような小説。抑えた文体でユーモアに富んでおり、ストーリー展開も意外性もあって面白いし、全体的になんだか暖かくて心が静かにゆさぶられる。読んでるのがすごく心地よい。善人ばかりだけど、厳しい現実と真摯に対峙している様が甘すぎることなく締まった感じがある。すごくバランスが良いのです。最近小説があまり楽しめくなってきたのだけど、久しぶりに一気読みしたほど良かったのです。お勧め。
-
島にひとつしかない書店の主人フィクリーの一生の物語。
各章の名前が短編のタイトルになっている。短編を読んだことのある人には感慨深いものが有るかも知れません。
印象に残った文章
⒈ 現店主たちは売りたいと思う本しか仕入れない
⒉ 本屋のない町は町ではない
⒊ 本屋はまっとうな人間を惹きつける。 -
翻訳文があまり好きになれなかった。。
あたたかい話。 -
少々頑固な書店主フィクリーさんの物語。本を愛する、本を読むことを愛する人たち。
所々にちりばめられた文学作品へのオマージュ、本によって巡り逢っていく人、単純な言い回しだけれど、心温まる物語でした。 -
アリス島の唯一の本屋"アイランドブックス"、その偏屈な店主A・J・フィクリーと彼を取り巻く人たちの生活がつづられる。
フィクリーの偏屈さは尋常じゃないレベルのものだが、彼の身にふりかかる様々な出来事――なかでも特に子供を拾ったこと――によって角がとれていく。
悲喜こもごもなストーリーが展開される。
文学作品についてのレビューも作中にはたくさん載っていて、興味を刺激する。ロアルド・ダールという作家に興味が湧いたので今度読んでみようと思う。
全体的にすごくレイモンド・カーヴァーっぽい雰囲気が出ている。
作中にも『愛について語るときに我々の語ること』が出てくるし、主人公は短編小説が好きだという設定だし、著者はカーヴァーのフォロワーなのかもしれない。
中篇の小説でよくまとまっている。好きな類の本だった。 -
奥さんを亡くして塞ぎ込む気難しい書店主フィクリーが、店に置き去りにされていた孤児を幼女にすることを決意。彼の人生は大きく変化し、のちに出版社の担当者と再婚。娘は作家を目指す。あるとき重い病が見つかるが…
書店の話ということで気になってはいた本だけれど、なぜこの本がそんなにもベストセラーだったのかがわからなかった。フィクションらしいフィクション。
翻訳に違和感があって、ずっとモヤモヤしていたというのもある。言葉のチョイスが独特。原文を読んでみないとわからないけど…
-
2016年本屋大賞翻訳小説第1位。妻に事故で先立たれますます偏狭になる主人公、ある日書店に面倒をよろしくとの手紙がとともにマヤというオンナの子が置かれていた。島の書店主が大きく変化してゆくハートフルな物語。「ぼくたちは読む、そしてぼくたちはひとりぽっちではない」本屋を本を愛する人達にぜひぜひ。
-
書店の物語ではなく,、書店主「フィクリー」のものがたりだったと改めて。
彼はもちろん、彼をとりまくランビアーズもイズメイもダニエルも、そして1回ぽっきり出演の端役まで、とても味があって、誰がほんのちょっと違っても全く別の物語になってしまいそう。
そうした魅力的な人々に、さらりと重たさを感じさせないこのタッチ。
さわやかな空気が残る。島に吹く風はこんな感じかもしれないな。
作家による朗読会、ちょっと興味がわいてきた。