NかMか (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300486

感想・レビュー・書評

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  • タペンス•トミー夫婦の行動力には今回もあっぱれ!
    どちらも危なかったなぁ。危機一髪。
    タペンスはあえて騙されにドクター•ビニヨンに会いに行ったのね。
    2人だけの嘘の暗号も咄嗟に思い浮かぶのすごい。

    今回に関しては割と序盤で、娘ベティーと、そのベティーが「きちゃない」と言った絵本がキーになってることにうっすら気づけた。
    でもまさかベティーの母親が自称母親で、撃ち殺したのが本物の母親だったとは。驚きの展開。
    これだからクリスティーの作品はおもしろい!

    トミーが頭を殴られた後、ペレナ婦人の髪が乱れていたのはたまたまだったんだね。惑わされた…。

    あとタペンス•トミー夫婦の子どものデボラって娘だったのか。
    勝手に息子かと思っていたのと、唐突のデブ呼ばわり(愛称)に驚いた。(笑)

  • ポアロやミス・マープルものの本格ミステリとは一味違う、トミー&タペンスの冒険ミステリ。だれがNとMなのかという謎の面白さもさることながら、トミーとタペンスのやりとりもある種ユーモアがあって面白かった。

  • 老夫婦の推理小説

  • 時は第二次世界大戦中、ナチのスパイが潜伏しているとされるゲストハウス・無憂荘に、身分を偽って潜り込むトミー。妻であるタペンスにはただの事務仕事と嘘をついてのミッションだったが、嘘を見破って自分自身も身分を偽り一宿泊客として無憂荘に潜入する一枚上手のタペンス。
    裏で協力しながら、あの手この手でスパイを炙り出そうとする二人。中年になり、何となく自分たちが世の中から必要とされていないのではとくさくさしていた二人だったが、再び若い頃を思い出して冒険を繰り広げる。
    誰も彼もが怪しく見え、大きな進展もないなかで誘拐事件が発生すると、今度はトミーも窮地に陥る。前作に比べると冒険感は低めだが、ゲストハウスに潜り込んだスパイを見つけ出すという分かりやすいストーリーは安定している。
    ベティーの言葉の翻訳が可愛らしい。
    そしてトミーの頭蓋骨が心配。

  • みんな大好きトミー&タペンスの第三作
    英国文学史上最強の『おしどり探偵』も46歳、『秘密機関』で運命の再会をした時は「ふたり合わせても45歳になっていなかった」のにね〜

    双子の息子と娘も成人していて、世間も子供たちもふたりを完全に年寄り扱い
    46歳なんてまだまだ現役だろうが!むしろ働き盛りだわ!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
    って思うのは今の日本だからかな
    第二次大戦真っ只中のイギリスではそうなんかな?
    まぁ太平洋戦争時の日本も戦地に行ったのは若者ばかりだったからね
    当時の日本人男性の平均寿命か23歳9ヶ月というんだからたいへんな時代です
    あ、またしてもめっちゃ横道に逸れてしまった
    横道逸造(誰や!)

    はい、『NかMか』ね
    まぁ簡単に言うとトミー&タペンスがナチのスパイを見つけるために〈無憂荘〉というゲストハウス(日本で言う下宿屋?)に潜入するという冒険小説です

    まぁ、もうあからさまにぜんぜん違う筋追ってるじゃん!とイライラしっぱなしでした
    もうアホか!と
    分かりそうなもんだろ!
    最初からこいつが怪しいだろ!
    しかしこれは私がすごいのではなく、再読なのでなんとなく覚えてただけの可能性大ですw

    そんでなんかあれが実はあれでみたいな、本作の肝の部分の設定って他の小説でも読んだ記憶がある

    しょうがないよ
    斬新な設定思いついた!ってなっても「それもう似たようなことクリスティがやってます」てなるもん
    もう「いえいえオマージュです」って言うしかないよね

    オマージュ海老(ひどい締め)

    • 1Q84O1さん
      もう調べなくていいでしょw
      いないでしょ!
      逸三も逸像も逸増も逸雑も逸臓も!
      もう調べなくていいでしょw
      いないでしょ!
      逸三も逸像も逸増も逸雑も逸臓も!
      2023/09/30
    • ひまわりめろんさん
      ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
      ご、ごめんなさい横路だったかも…
      ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
      ご、ごめんなさい横路だったかも…
      2023/09/30
    • 1Q84O1さん
      もう、ええわ!w
      もう、ええわ!w
      2023/09/30
  •  クリスティの長編小説。トミータペンスシリーズ。冒険ミステリ。前作長編ではスパイスリラーとされていたが、カテゴライズは曖昧。この辺りは難しいなぁ。(ジャンルが最も大事な訳では無いのだが。)
     前作「秘密機関」においては溢れるばかりの若さそこから来る無鉄砲さや溌剌としたエネルギーがこの作品の魅力だった訳だが、彼女達は中年になっても何も変わっていなかった様で(笑)戦時の世の中という物はどこの国でも一緒なのだろうが、現代では中々想像が難しく、当時の世界を取り巻く恐怖感というものは理解できるよりも遥かに恐ろしい環境なのだろうと思う。
     そんな世界だからこそ、自身のアイデンティティの為に生きるだろうし、少なからず自国の為という考えも理解出来る。自分に何が出来るかの葛藤。もっと社会に貢献できると自身では思っているが、年齢など、様々な理由で自分自身を発揮できない、求められていないというのは現代社会でも重々感じるジレンマだ。
     今作ではそんな葛藤の中、過去の上司からトミーに対してとある潜入調査の依頼があり、タペンスはそれを聞き得て勝手に夫の潜入先に紛れ、確して二人ともスリル溢れる潜入活動がスタートする。タペンスは若さに溢れた無鉄砲ではなく、元来そういった性質の様だ(笑)
     物語はイギリスに潜入しているナチズムの協力者NもしくはMを見つけ出す事。田舎の荘に住む人々の中に該当者がいる可能性があり、素人で顔の知られている可能性の低いトミータペンス二人が住人ね紛れ真相を追う。二人のやり取りについては前作同様、ハラハラドキドキしてしまう事が多く、推察により疑う人物はわかるが信頼した人達に対して警戒心が少なすぎる。トミーは相変わらず命の危機に晒され、タペンスも正体が見破られる危機的状況になっている。仲間達が少なく、アルバートが夫婦とともに協力してくれた事は懐かしく(短編を未読の為、登場しているのかも知れないが)、少しづつ形勢逆転、最後はスリリングであるが見事、結末にいたる。
     二人の活躍が中心の冒険ミステリなのだが人物の心象については全体的に乏しい様に思う。クリスティ作品は人物描写、風景描写に優れており、当然、作中登場人物の人物像は見事だが、真相判明後、真犯人とそれに伴う真実に対しての「慟哭」の様な感情があまり感じられなかったのが残念だ。そこまで・・・と言われるかも知れないが、二人が養子の話題を挙げている事からもこれについての怒りがもっと表現されても良い様に思う。
     トミーとタペンス二人が中年になっており、魅力的な二人の双子の娘息子がいる。小説内での時間経過は発表当時であれば読者も同じ様に人生を重ね二人の変化を楽しめるのだろうが、過去の作品としてまとめてシリーズを読めてしまうと作中の世界にどうしても哀愁を感じてしまう。一方、歳を重ねた二人も魅力的で、どこか愛らしく思えてしまう。シリーズは短編集含めて五作品あり、二人の人生を共に歩むという意味ではポアロ、マープルのシリーズより感慨深いシリーズである。

  • クリスティー作品の有名な主人公といえば、ポワロとミス・マープルになるだろうけど、その二つのシリーズとはまた違った楽しみが見いだせるのがトミー&タペンスシリーズのいいところかなと思います。愛嬌ある夫妻のやりとりやキャラクターもそうだし、事件のスケールや展開もひと味違って面白い。

    この本の事件の舞台となるのは第二次大戦中。ナチスのスパイを秘密裏にとらえるため、半ば引退状態となり暇と退屈を持て余していたトミー&タペンス夫妻が活躍するミステリーとなります。

    ポアロとかミス・マープルは年齢とか本人の性格も相まって、ちょっと落ち着いた印象があるのだけど、トミー&タペンスは中年の年齢になってもまだまだ血気盛んなのが良いし、何より愛らしいなあと思います。特にタペンスが自分だけ蚊帳の外に置かれそうになると見るやいなやの行動力とか、笑ってしまう。

    構成としてはクリスティーらしい緻密さや人物描写、日常描写、会話劇が光る。容疑者たちの書き分け、特徴、個性、そういったものを少しずつ読者に見せ、イメージを形作っていき後半の展開につなげる。前半の伏線というか、雰囲気作りがあるからこその後半の展開は特に面白い。容疑者の子どもの誘拐から始まり、トミーとタペンスに迫る影と危機、そして明かされるスパイの正体。こうした展開、見せ方はクリスティーの真骨頂かな、と思います。

    トミー&タペンスものだとクリスティーのキャリアといっしょに、二人も同様に年を重ねていくのも味を出しています。前作「秘密機関」では、この「NかMか」以上に冒険ものの印象が強かったけど、それも時代の違い、二人の年齢の違いも大きいのかな、と思います。

    作中で二人も話しているけど、戦争に対する考え方がだいぶ変わっているのが興味深いところでもあります。二人が子どもを抱える親になったということもあるだろうし、クリスティー自身も年齢を重ねて、エンタメとしてのミステリーから、考えるところが増えたのかもしれない。そういうところを思いつつ読んでみるのもまた一興のように思います。

  • 1941年 原題”N or M?”
    『秘密機関』の若かったトミー&タペンスは時を経て今や中年夫婦。あまり顔を知られていないという理由から戦争のスパイを探る極秘の任務に指名され秘密裡に動き出すことに。

    ちょうど第二次世界大戦が始まった頃。文中からもイギリスとドイツとの緊迫した関係がひしひしと感じられますが、クリスティーはどんな心境だったんでしょうね。

    自国にも敵に協力する人々がいる。
    その状況をグラントに語らせる。
    「そいつ(敵国)は人間の内なるなにか、力への欲望ないし願望といったものに働きかけてくる。彼らが唯々諾々と祖国を裏切ることに同意するのは、金銭のためじゃない。一種の誇大妄想的な自負—この自分が、自分たちだけが、祖国の名を挙げ、世界に覇を唱えることができる、という自負からなのだ。どこの国でも、いつの時代でも、これは変わらない」
    クリスティーは、戦争という異常な状況が生み出すその怖さを冷静に見ていたのかもしれません。

    年齢は重ねても、トミーの実直さ、いざという時の判断力、タペンスの機敏な行動力、聡明さは変わらず。やっぱり最後まで悪者見抜けず、存分に楽しませてもらいました!

  • 前回から思った以上に月日が経っててビックリでした。前は再開して、結婚するのか!ってトコロで終わってたのに、今回はもう子供が成人してる…
    内容はドイツにスパイ行為をしてる人間を見つける任務。前回ほどのハラハラドキドキ感はありませんが、私はこれくらいのドキドキ感が好きです。

  • クリスティーが描く冒険小説との相性がバッチリだったようで『秘密機関』があまりにも面白く、シリーズの長篇2作目となるこちらも続けて読んでみた。

    まず驚いたのが時はぐーんと進み1940年第二次世界大戦の戦時中という設定。『秘密機関』は第一次世界大戦終結直後の頃で、トミーとタペンスもふたり合わせて45歳と若かった。ところが長篇2作目でいきなりトミーひとりで46歳だという…、ちょっぴりショック。

    1922年1月、クリスティー31歳の頃に長篇『秘密機関』が出版される。1929年に発表された短篇集『おしどり探偵』を挟み、長篇2作目となる本書『NかMか』は、『秘密機関』から19年という長い年月を経て1941年6月、クリスティー50歳の頃に出版された。
    その長い空白期間に、トミーとタペンスもクリスティーとともに年齢を重ねていったというわけだ。加えてそれは、トミーとタペンスとの再会を長年心待ちにしていた読者とも、小説には書かれなかった歳月をともに過ごしてきたことにもなる。
    クリスティーがトミーとタペンスに自分と同じように年齢を重ねさせたのには、きっとふたりには何かしらの特別な思い入れがあったからなんだと思う。それはわざわざ表立って言葉にするようなことではなくて。自分さえわかっていればいい、そんな秘密に彩られたときめきなのかもしれないな。

    さて、『秘密機関』ではまだ結婚していなかったトミーとタペンスも本作ではすっかり仲良し夫婦となっている。
    とはいえ、時代は重苦しい第二次世界大戦の最中。彼らのような中年世代はすでに社会ではお呼びでない様子。当然情報機関からの仕事ももらえず、トミーは仕事を探しつづけ、タペンスは編み物をして時間を潰すしかない。

    そんなある日、やっとトミーに情報局から秘密任務の依頼が入る。
    情報機関員が「NかM」「ソング・スージー」という2つのダイイング・メッセージを残して殺された。〈NとM〉は英国に侵入したナチのスパイで〈N〉は男、〈M〉は女。〈ソング・スージー〉はリーハンプトンという保養地にあるゲストハウス〈無憂荘〉であることまでは判明したという。
    そこでトミーが〈無憂荘〉に滞在し〈NとM〉の正体を探るのだ。
    ただし、このミッションはタペンスにも内密に、トミーひとりで遂行すること。

    トミーはタペンスにスコットランドにある軍需支部の事務仕事だと偽り、何も知らないタペンスは一緒に行きたいと願うものの、彼にそこはたとえ家族であろうと関係者以外は立ち入り禁止なのだと説明されて諦めることに。
    私はこのときのタペンスのキレ方が彼女らしい洒落気もあって好きなのだ。

    “「まあなににしてもさ」と、トミーは弱々しく、「きみには編み物ってものがあるんだから、な?」
    「編み物? 編み物ですって?」
    編みかけのバラクラバ帽をつかむなり、タペンスはそれを床にたたきつけた。
    「カーキ色の毛糸なんて、大っ嫌い。ついでにネイビーブルーの毛糸も、空軍のブルーの毛糸も、どれもみんな嫌い。わたしはね、マゼンタ色のものが編みたいのよ!」
    「なるほど、マゼンタか。勇ましいね。電撃作戦すら連想させるくらいだ」” (P28)

    やっぱりタペンスはこれくらい元気がなくっちゃね。トミーは優しいのでタペンスに嘘をつくことに心が痛んでるんだけど、でもねぇ、ふたりは協力しあってやってきた名コンビなんだから、どちらかが欠けるなんてあり得ないわぁ。

    それでもトミーは寂しそうなタペンスの姿に後ろ髪を引かれながら、ひとりリーハンプトンの保養地にある〈無憂荘〉に向かう。
    メドウズという偽名を使用し滞在することになったトミーは〈無憂荘〉の主人ベレナ夫人に他の滞在者を紹介され、そこで思わぬ人物と再会を果たした……

    私としてはあの若々しく軽やかに飛び回っていたふたりが、身も心もすっかり落ち着いた夫婦になっていたとしたら、それはそれはとてもがっかりだ。けれでも、そんな杞憂は読みはじめてすぐに吹き飛ばされる。彼らの冒険心は何一つ変わっていなかったのだから!
    とくに読みはじめて早々、タペンスのひらめきと行動力が予想もしなかった場面でいきなり発揮されたときには、思わず飲んでたコーヒーを吹き出してしまうほどだった。あー、驚いた。

    あとアルバートね。『秘密機関』ではまだ少年で、ポケットにミステリ小説を突っ込んでいたホテルのボーイだった。彼もタペンスたちとともに冒険をしたものだった。そんなアルバートが今回も登場したのは嬉しかった。ほんとにまあ、ナイスアシストだったよ。

    でも今回はなんといってもタペンスね、タペンスはやっぱりこうでなくっちゃ。情報機関も舌を巻く、あっと驚くことをやってのけるタペンスが私はお気に入りなんだもの。クライマックスにかけて私も見事にタペンスに騙された、あちゃ。

    やっぱりトミーひとりでは盛り上がりにかけるんじゃない?
    タペンスとふたり揃ってこそハラハラドキドキ感も最高潮。だってトミー&タペンスは〈おしどり探偵〉なんですから。

    • 111108さん
      地球っこさん

      確かにあっという間に消化しちゃいそう笑

      地球っこさんのときめいた人ってあの人?かっこいい人にご用心というのはクリスティーあ...
      地球っこさん

      確かにあっという間に消化しちゃいそう笑

      地球っこさんのときめいた人ってあの人?かっこいい人にご用心というのはクリスティーあるあるかもです(^^;)
      2022/11/21
    • 地球っこさん
      111108さん

      「かっこいい人ご用心」あるあるなんですねーー!
      これで益々クリスティーに興味津々です。
      キュン情報ありがとうございまーす...
      111108さん

      「かっこいい人ご用心」あるあるなんですねーー!
      これで益々クリスティーに興味津々です。
      キュン情報ありがとうございまーす。

      『秘密機関』はブラウンでした。
      このお話はN自身ではなくてムニャムニャムニャ……(’-’*)♪
      2022/11/21
    • 111108さん
      地球っこさん

      キュン情報⁈
      これからもお届けしま〜す(^^)
      地球っこさん

      キュン情報⁈
      これからもお届けしま〜す(^^)
      2022/11/21
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