アルモニカ・ディアボリカ (ミステリ・ワールド)

著者 :
  • 早川書房
4.06
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本棚登録 : 745
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094223

感想・レビュー・書評

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  • 切なかった…

    『開かせていただき光栄です』の続編。
    前作でダニエル・バートンの元を去ったエドとナイジェルの顛末書。

    ナイジェルの悲しい過去は途中読み進めるのが辛かった。
    サー・ジョンが法と心の正義の狭間で苦しむのがおいたわしい。

    登場人物が多くの意味で誰かに献身してるからか、身を切るように切なくも優しい物語という印象。

    前作同様、切なくも希望はある終わり方。
    けれど前作ほど晴ればれできないのは、時の流れによって少年たちはもう青年になってしまい、私もまた年を経たからかもしれない。

  • 前作の内容をすっかり忘れてたけど、濃密かつ幻想的な世界観とミステリの融合を楽しめた。ナイジェルの過去には胸が痛んだけど。しかしさすがは皆川さん。このお年でこの緻密な世界を作り出されるなんて素晴らしいの一言。日本の宝です。いつまでも精力的な活動お待ちしています。

  • 本書は「開かせていただき光栄です」の続編だ。
    18世紀の英国の空気を写し取ったような、退廃的な空気と不思議にお茶目な空気が今回も満載である。

    解剖医ダニエルの弟子、ベンやクラレンス、ネイサンらは盲目の判事ジョン・フィールディングが出資する新聞を作成していた。そこに、身元不明の屍体の情報を求める広告を掲載したいという依頼が舞い込む。屍体にはあるメッセージが書かれており、判事の捜査のためにその謎を追い求めていくうち、前作で行方が分からなくなったダニエルの弟子エドとナイジェルの謎につながって行く…。

    前回に引き続きのぐいぐい持っていかれる内容はさすが。
    時代背景を綿密に調べ上げて書かれているので、世界観にどっぷりつかるのが楽しい作品です。出てくるジョークも、まさに「あ、イギリスっぽい!」と思う。(知り合いいませんが…)
    でも正直最終盤では「いつのまに?」という急展開に正直少し置いていかれた感じがある。描写も凄惨なものが多く、(前作で大丈夫ならおそらく平気でしょうが)苦手な方は想像するのが恐ろしいと思います。
    やはり前作と比べてしまうので、星は3つです。
    おまけの付録は今回も面白いです。

  • 最後ラスト2行に号泣。こんなにも悲しい人生って…。素晴らしい本だけど、心が痛くて、星3つです。

  • まさか読めるとは思わなかった感激の続編を堪能した。後半はロンドンとオクスフォード近辺を往来する馬車の轍につられるように読む手がどんどんと加速して止まらなかった。本当に本書はご高齢の作者が物されたのか?と思うほどスピード感と綿密さを兼ね備えていて、皆川先生への尊敬が止まらない。最後まで読めば流石にもうさらなる続編は望めないかとも思うが、期待して良いですか?先生

    エド、ナイジェル、アル、クラレンス、ダニエル先生、判事閣下…皆切ないです

  • 「開かせていただき光栄です」の続編。最後の二行にすべてが詰まっている。前作以上に儚くて愛おしい。

  • またエドにしてやられました。いいところも悪いところも全部抱え込んじゃうエドの自己犠牲や自己愛には気が遠くなります。もっと、エドは求めていいんです。自己愛の実現を外に求めるのではなく、自分の幸福のために注げばいいんです……
    だけどエドがいたから今のナイジェルがある。ナイジェルがいたから今のエドがある。そう思うと、愛しく、またとてもつらくなります。ナイジェルのアレの最後、言葉につまりました。
    エドの弱さを補っていたナイジェルの優しさ、したたかさをひしひしと感じた続刊でありました。
    なんとかベイカーさん幸せになってほしい。

  •  開かせていただき光栄ですの続編ということだが油断ならない。容赦ない。
     時代背景的にイギリスの全盛期だと思うのだが、何だろうこの闇の濃さは。
     面白い。

  • 登場人物が結構多くて、名前もごっちゃになって読むのが少し大変でした。

    前作の、ナイジェルがまさかの姿になって現れて、彼の悲惨な過去と別の事件が少しづつ明らかになっていきます。ちょっと想像を斜めいってる過去でした。

    今回はアルが結構重要な役割を務め、彼が一番正義をしっかり持っていて彼がでてくると結構安心しました。
    本当昔のイギリスは腐ってるな、と判事のもどかしさがよくわかる。

    もちろんエドもでてきます。
    彼も彼なりの正義を前回同様持っていて潔かったと思う。

    それにしても残酷だなぁ。
    新大陸に渡ったみんなは、そして最後の最後で助け出されたベイカーさんは幸せになれるのかなぁ?






    呼ぶにはなんかつぎはぎな感じがするけど、

  • 『開かせていただき光栄です』続編。前作のネタバレ要素を含むので、順番に読むことをお薦めする。
    前作から5年後、胸に奇妙な暗号が刻まれた屍体が発見され、盲目の判事サー・ジョンがその謎に挑む。サー・ジョンの捜査状況とナイジェルの手記が交互に語られ、徐々に真相が明らかになっていく。
    今回登場人物が多く、しかもナイジェルの手記に出てくる過去の話や、15年前の事件との関わりなど、時系列と人間関係の整理が難しかった。そして二転三転する事態に、またしてもやられてしまった。
    謎の多かったナイジェルの過去が明らかになり、エドも少しだけ登場。面白いんだけど、前作以上に哀しいお話だった。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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