アルモニカ・ディアボリカ (ミステリ・ワールド)

著者 :
  • 早川書房
4.06
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本棚登録 : 746
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094223

感想・レビュー・書評

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  • 「開かせていただき光栄です」の正統なる続編。前書を読んでない場合は、本書を読むのを禁ズル。というほどに前作から物語が引き継がれている。意味深なタイトルと不気味に美しい表紙をそのままに、5年後の世界が描かれている。ジャンルはミステリーだが、楽しむべき方向性は謎解きよりも、格式高く幻想深い文章と、登場人物のシニカルでユニークなやり取り。悲しいけれど、どこか可笑しい独特の世界にハマったら抜け出せない。

  • 2014年最初の一冊でした。
    ナイジェルの素性が明らかになると聞いてからずっと待ってました!

    直前に「開かせて~」の文庫版読んでて良かった。前作ありきの続編。
    登場人物が多い分人間関係も複雑で終盤はちょっと頭がこんがらがるかな?いくつもの事件や関係者の繋がりとか。
    早く続きが読みたいのに、もったいなくて進めない。
    サー・ジョン目線のストーリーが中心。前作では完璧とも言える探偵役だったサー・ジョンにも法に携わる者としての苦悩が描かれてる。でも全体的に群像劇っぽいかな。バートンズがダニエルの元を離れているので、ちょっと寂しい気も。

    とにかく凄かった・・・!
    でもショックも大きかった。
    脅迫なんてしなければ、アボットが死ななければ、天使の姿に別の遺体or作り物を使っていれば・・・考えたらキリがない。
    ラスト2行がもうダメです。表紙見ただけで思い出して泣きそう。
    同性愛的な部分が強いけれど、そんなの全く気にならない。とにかく手記にモノローグが入ってくるあたりから切なくて仕方なかった。

    エドはどれだけ一人で抱えこむのだろう?モノローグが全くないのでどう思っているのかが解らない。続編の構想もあるということなので、エドに救いが欲しい。ナイジェルがいない今、エドを救えるものがあるのか解らないけど。


    ミステリマガジンの編集さんがtwitterでアンの嫁ぎ先の話をしていたけど、アンがとても好きなので幸せになってほしい!

  • 前作をさらに奥深くした結末、法律ってこういうもんなんだなと思う。

  • 切なく、悲しく、美しいストーリー。

  • 続編は肩透かしも多いけど、前作越え!
    ナイジェルは死んだと見せかけて、本当は生きてるんじゃないかとおもったけど、そこは深読みしすぎた。が、出自を知るにつけ、彼には強かに生きてほしかった。ここでまたポーの一族に頭シフトさせると、アランポジションだから?!
    事件のピースの繋がりかたが、現実はそんなにうまくいかないよね、とは思うけど、謎の開陳がスムーズで気持ちよくて、次をどんどん読みたくなる。
    人物が生き生きとしていて、読んでいて物語にうんと惹き込まれる。
    改めて、研究馬鹿のダニエル先生好きだな〜!
    アルの大活躍も、ネイサンの成長もニマニマしながら読める!

  • 物語的には伏線も全部綺麗に回収されて、すっきりさっぱりさすがの構成なんですが、登場人物たちはみんな翻弄されまくっていて辛い。
    判事と一緒にモヤっとしてしまう。
    法が弱者を守ってくれない中で、エドが出した最善の答えだったのだろうけど。

    エドとナイジェルの間にあったこととか、お互いにどう思っていたのかとか、言葉にされない部分がもどかしい。エドはあの絵をどうしたんだろう…

  • 再び18世紀英国へミステリの旅をしてきました。
    『開かせていただき光栄です』の続篇です。

    一つの事件を発端に広がる謎…。

    登場人物のそれぞれの過去や起こった出来事などなどなどの線。
    その線の繋がりや謎が後半になると徐々に解れていく快感が私には堪りませんでした。

    途中途中得意の相関図を描いて頭の中を整理しながら読み進めましたよ^ ^

    もはや皆川ワールド!

  • 前作文庫版の書下ろしの事件が出てくるので文庫版でも読んでおいてよかったです。前作から5年経ち失踪中の彼らがどう関わってくるのか楽しみに読み始めましたが、100ページで息を飲むことになりました。前作と同様に当時の英国の温度や湿度まで伝わってきそうな繊細な描写。いろいろな伏線が一本につながり過去と現在の事件が明らかになった時、切なさとやりきれなさに押しつぶされそうになりました。こんなに残酷で哀しいのに、手が震えそうなラストの一文で残ったのは美しい恋の情景。どうかこの後の彼らが救われることを祈ります。

  • 最後の文章で心が震えました。切ないです。

  • 『開かせていただき光栄です』から5年経過後の続編。
    あの事件後解剖教室は解散、エド、ナイジェルは行方不明のまま。
    みんなの状況も少しずつ変わっている。

    何とも切ない展開だった…
    事件は一応の決着を見たけれど、失ったものは大きいし取り戻すことも出来ない。
    願わくはダニエル先生の下、無事に戻ったエドとクラレンス含め、もう一度和気藹々と解剖にいそしむ姿が見られたらと思うけれど(何とかベイカーさんの幸せになった姿も)、そんな続編を望むのは贅沢なんでしょうねぇ…

    アンを苦手にしていたネイサンが、話が進むにつれて何気に懐いて来てるのがちょっとホッとしたところ。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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