2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する

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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163755007

感想・レビュー・書評

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  • ●読んで得たもの
     2050年に向けて身の回りがどう変わっていくか

    ●感想
     各章の最後に「まとめ」があった読みやすい。
     2012年の時点で約40年後を予測した本書。
     予言は当たらないとしつつ、あらゆる分野で予測している。
     読み手はどこかの章に興味が繫がるのではないだろうか。
     そこを別の書で掘り下げて調べるといった使い方もでき、将来を考えるための導入書として有効である。

  • 世界的に出版不況の時代にあって、部数を伸ばし続ける数少ないメディアの英Economist誌による2012年に出版された2050年の世界の未来予測。予言は当たらないと言いながらも、Economist誌が擁する豊富なデータにより概ね納得感のある内容となっている。

    特に注目すべき要旨は下記。
    1. 世界的に出生率は低下。インド、アフリカ、中東は人口増加による恩恵を受けるが、日本、欧州、中国は人口減少による負の配当、つまり社会保障費の増大などを被り、予算を他にあまり回せなくなる。市場経済の導入などによる改革の打ち手はあるが。。。
    2. 中国語は世界言語にはならず、引き続き英語が世界言語であり続ける。一度、世界のデファクトスタンダードとなると、キーボードの配列のように変更するのは難しい。
    3. 世界の半分はアジア経済となる。
    4. 次なる科学のフロンティアは生物学である。

    今は新型コロナの影響でネガティブなニュースが多いが、未来予測は楽観的に捉え、能動的に動いていきたいものだ。

  • 世界の人口動態、女性の社会進出、宗教、高齢化社会、グローバリゼーション等等、全二十章のテーマで構成されており、読み応え抜群です! 2012年に単行本化された様ですが全く古臭さを感じません。ただ、最後の方に船橋洋一さんの解説では2050年時点での日本に対しだいぶ否定的な事が書かれておりますが、当書籍の”二十章 予言はなぜ当たらないのか”の通り、当たらない事を願ってます♪ 今から30年後、ま、大丈夫かな!?

  • 楽観的未来=無難な予想に終始しているのは、大きく外すのが怖いから?
    最近の通信技術革新は社会の在り方まで変革するインパクトがありますが、2050年までならさらにすごいことが起こりそうです。
    本書が文庫本化されて10年近くが経とうとしていますが、すでにインドとパキスタンの軍事的衝突は起こりました。(2019年2月26日インドがパキスタンを空爆し、翌日パキスタンも報復!)
    蛇足ですが、文庫本最後の近藤甘奈「エコノミスト訪問編集記」の学生作文のようなものは必要ですか?
    息抜きで堅苦しい内容の軽減にという狙いなのでしょうが、私には編集者の意図以上に本書の信ぴょう性やありがたみが希薄になったような気がしました。

  • 第1部 人間とその相互関係
    1 人口の配当を受ける成長地域はここだ
    2 人間と病気の将来
    3 経済成長がもたらす女性の機会
    4 ソーシャル・ネットワークの可能性
    5 言語と文化の未来)
    第2部 環境、信仰、政府(
    6 宗教はゆっくりと後退する
    7 地球は本当に温暖化するか
    8 弱者が強者となる戦争の未来
    9 おぼつかない自由の足取り
    10 高齢化社会による国家財政の悪化をどうするか)
    第3部 経済とビジネス(
    11 新興市場の時代
    12 グローバリゼーションとアジアの世紀
    13 貧富の格差は収斂していく
    14 現実となるシュンペーターの理論
    15 バブルと景気循環のサイクル)
    第4部 知識と科学(
    16.次なる科学
    17苦難を越え宇宙に進路を
    18情報技術はどこまで進歩するか
    19距離は死に、位置が重要になる
    20予言はなぜ当たらないのか=============================
    第1章人口の配当 
    人口動態はある程度確実に予測できる。
    出生率の低下は、ある世代のみが突出して多いる世代を生み出す。
    その世代がどこにいるかで、その国の経済が変わってくる。その世代が労働年齢ならば国は急成長する。逆にリタイアすればマイナスとなる。それを「人口の配当」という。
    これからそれらのプラスを受ける地域は、インドアフリカ中東である。正しい若年層のふくらみは、政治的な不安定要因ともなる。

    第2章 人間と病気の将来
    肥満化と高齢化が世界的な趨勢となる。
    前者はグローバル化により、発展途上国の国民もジャンクフードなど接するためである。
    後者はアルツハイマー病の増大をもたらす。老人の介護は国に多大な財政的圧力をかける。製薬会社は抗認知症病薬に力を入れるだろう。
    一方、新たな抗生物質の研究は縮小傾向であり、パンデミックの可能性もある。
    エイズとの戦いは今後も苦戦が予想される。

    第3章 経済成長がもたらす女性の機会
    富裕国では少子化により労働人口が減少した。技能と専門知識を必要とする職業では特に深刻化するため、女性たちはより多くの雇用機会をあたえられた。
    先進国における女性の地位は過去40年で著しく上昇した。それに伴ってキャリアを優先することもあり、出生率が低下した。
    サービス業の増大は、世界的傾向となり、女性と相性が良いが雇用が不安定である。
    1970年以降結婚率がほぼ半減し離婚率がほぼ倍増した。婚外子の割合は約3割から5割もある。未来においてこの傾向は加速するだろう。
    一方、イスラム圏で宗教的な制約が強い国々では、女性の選挙権すらまだない。

    第4章 ソーシャル・ネットワークの可能性
    インターネットは人類に与えた影響は、技術というより交流である。特に SNSではその傾向が強い。
    その興隆により三つのトレンドが予測される。
    1.意思決定に友人が影響力が強まる
    2.集団の英知を利用したウィキペディアの利用が盛んとなる
    3.新聞やテレビなどの大マスコミに頼らずとも大きな運動が起こせる

    トヨタはトヨタ社とドライバーを結ぶ常時接続のネットを利用したソーシャル機能搭載の車を開発している。これは今後車だけにとどまらないだろう。

    SNSの業界において、1社支配は長くは続かない可能性がある。

    第5章 語と文化の未来
    音楽映画文学などの娯楽は非常にローカルなものである。通信の発達は世界の距離を収縮させるが、これらは引き続きローカルな各文化圏で優勢を保つだろう。
    そうした意味で人工の集積地には、映画産業が立地する。

    インターネットの発展により、テレビは映画のようなプロモーションを行う。
    番組の放映まりにさ様々なプロモーション行い、放映時には SNS を使ったざわめきが広がりを期待する形となる。
    紙の書籍は電子書籍にとってかわられるが、一定の役割で生き残る。
    英語の一極集中が崩れない。
    英語に代わる世界言語があるとすればそれはコンピューターである。
    中国をロシア語スペイン語ポルトガル語などは少数言語をほろぼしながら優位性を高めていく

    第6章 宗教はゆっくりと後退する
    宗教はゆっくりと後退する
    かつてはキリスト教が世界第1位であったが、現在はイスラム圏が追随している。1900年には12.3パーセント 1世紀後には21.1パーセント。これはイスラム諸国の人口爆発が原因である。
    貧しければ貧しいほど宗教に帰依する割合が高くなり、宗教性が高い国の出生率は高くなる。逆に豊かになればなるほど宗教に頼る人は少なくなる。したがって現在出生率が高く人工の配当を受け経済成長を続ける新興国も先進国化するに従って、宗教は相対化され、無宗教者の割合が増えていくだろう。
    唯一の例外はアメリカだが、この国は平均寿命世界34位、殺人の発生率、犯罪者の割合が先進国の中でも飛び抜けて高く、貧困層のパターンを有している。

    第7章 地球は本当に温暖化するか
    省略

    第8章 弱者が強者となる戦争の未来
    冷戦期米ソの対立によって戦争が逆に管理されており、戦死者の数は劇的に減っていた。だが、9.11以降その構図が変化している。
    技術の拡散によって不良国家やテロ組織がアメリカに非対称的な戦争仕掛けられるだけの力を持ってきている。
    一方、地域間の紛争の危険も高まっている。
    先進国は、高齢化にある財政悪化で、かつてほど防衛費をつぎ込むことができない。

    第9章 おぼつかない自由の足取り
    民主主義は2つのぜい弱性を持ったシステムである。
    一つは利権集団がのさばること、二つ目は衆愚政治なることである。
    そのアキレス腱は一つはお金一つはマスコミによる 民意の操作である。
    政治家は政治資金を集めることに苦慮しているが、そこにつけ込んで自身の利益を図るため企業が近づいてくる。結果、政治に圧力をかけることとなる。
    マスコミは様々な形で選挙の結果を左右する。テレビを味方につけると、選挙に勝ちやすい。
    これらに対抗するには公共心が重要であるが、経済第一主義ではなかなか難し。

    第 10 章 高齢化社会による国家財政の悪化をどうするか
    世界的な高齢化により、年金と健康医療費の増大は国家にとって負担となっている。
    年金については雇用期間の延長、富裕層には支払わないなどの措置が取られつつある。
    健康医療費はオランダのように、貧困層や弱者には政府が援助し、そうでないならば民間の医療保険に市場開放するなどして、費用削減の効果することもできる。

    第11章新興市場の時代
    40年前新興国市場は存在していなかった。その後、開発途上国が資本主義と和解し技術やインフラ資本を取り入れた。結果それらが市場となった。
    ある国の工業化の時期が遅れれば遅れるほどその速度は速くなるが、それには教育の程度がかかわってくる。

    第12章 グローバリゼーションとアジアの世紀
    グローバリゼーションは三つのシナリオが考えられる。
    リーマンショックや欧州危機などによって、市場経済に対する危機感から、一定の規制をグローバル化に対して課してはくるが、市場はそれなりに開かれている。これは「コントロールされたグローバリゼーション」の状態である。

    「後戻りするグローバリゼーション」というシナリオでは、保護主義の気運が高まる。コントロールされたグローバリゼーションよりやや冷え込んでいる。

    ちょう落したグローバリゼーションは、先の二つよりもさらに世界成長が減速し、悲惨な結果をもたらすだろう。
    一番可能性の高い最初のシナリオで考えると最も重要なのはアジアの経済となる。

    第13章 貧富の格差は収斂していく
    格差は二つある。国内間での格差、国同士の格差である。
    前者は今後も大きく広がっていくだろう。理由はグローバリゼーションにより富裕層の所得は爆発的に増大したこと、金融業の異常な次第である。
    後者は徐々に縮まっていくだろう。

    第14章 現実となるシュンペーターの理論
    シューペンターのいう、創造的破壊のスピードは高くなっていくだろう。それはあらゆるものがネットに結びつくことによる製造業が変ぼう、新興国の要求の上昇などによる。
    グローバル市場においては知識階級に富の偏在するようになり、労働者の勤務はグローバル化により過酷となる。


    第15章 バブルと景気循環のサイクル
    バブルの発生期にはそれをけん引する新興産業がある。チューリップバブルやITバブルなど。景気は上昇と交代を繰り返し、その都度メーンとなる産業は交代するが、過去に実績のある株価を買うというモメンタム理論は健在である。が、バブルの崩壊期などには損失をこうむる可能性もある。
    株式の投資家には、企業に成長要因を見つけて投資するグロース(成長株)派と、過小評価されている株を買うバリュー(割安株)派がある。前者は強気市場の最も勢いのある段階にかかわることが多く、後者は景気後退時に実力を発揮する。

    第16章 次なる科学
    次の科学のフロンティアは生物学である。など科学情報科学の天文学などが結びつくであろう。
    宇宙も生命の起源を知る意味で大切な領域となる。
    経済発展の著しい東アジアの国々でも科学分野は発展するであろうが、儒教的な上下関係中国の専制的な政治体制はマイナスに働く。

    第17章 苦難を越え宇宙に進路を
    宇宙の商業利用の時代がきている。GPSなど。
    軍事的な宇宙の利用は引き続き、情報収集である。
    民間会社の宇宙旅行は、NASAが一部アウトソーシングしており今後は、金持ちの娯楽となるだろう。
    銀河の動きを説明するために暗黒物質の正体を知ることが重要となる。
    太陽系以外にも生命の可能性がある惑星はいくつもある。

    第18章 情報技術はどこまで進歩するか
    今後は技術そのものよりもその使われ方に開発重点が移っていく。
    現代は情報過多である。
    マイクロチップの小型化と高性能化はあらゆるものをネットワークコンピューターにつなぐユビキタスを推し進める。
    以前は集められなかったデータが集められるようになりそれにより保険算定や経費のありようが変わる。
    企業トップダウン型から、インターネット使った知識共有型の組織に変わっていく。

    第19章 距離は死に、位置が重要になる
    距離は死に、位置が重要となる。
    距離が意味をなさなくなったことを利用し、住む場所も自由に選べるようになり、各地域、各文化圏の労働力、技術力の特徴生かした国際分業化やりやすくなった。その分、どこで何をする、という位置が重要になってきた。

    第20章 予言はなぜ当たらないのか
    予測が当たらないのは、人間が対策を講ずるからである。
    資源の枯渇、食糧の枯渇は技術革新による低価格化で補えるだろう。また、先進国の森林面積は増加しており環境は良化している。

  • vol.195 グローバルエリート誌の大胆予測。今後40年やいかに?
    http://www.shirayu.com/letter/2013/000393.html

  • 紛争の原因としての水をめぐる争い、国際平和維持活動の数的および質的な向上、世界中で進む都市化、都市への人口流入、先進国には珍しいアメリカの宗教性、18世紀イギリスのコーヒーハウス文化、公共心と経済第一主義の違い、後者の代表としてのドバイなど、この辺りが最近読んだ他の本や記事ともリンクして面白かったかな。それにしても繰り返される日本の人類史上例のない高齢化社会っぷり。

    おもしろかったけど、訳文は読みにくいところあり。頭に入らない。特に後半。

  • 【要約】


    【ノート】
    ・日経アソシエ

    ・ブックオフオンラインで¥166なセールの中にあったので。実は図書館にないと早合点したのだが、それは出版されたばかりの「2050年の『技術』」だった。でも以前から日経アソシエで推薦されていて登録はしてた本なので、まぁよしとする。

    ・ザッと斜め読み。テーマ毎の分量が細切れで、しかも冒頭の問題提起が太字であるのに加え、最後に「まとめ」ページを作ってくれていることもあり、かなり読みやすい。

    ・5年前の出版なので、卓見なもの、進行中のもの、的外れなものなどもある程度見えるのが面白い。それにしてもAIは、この時点ではまだ今の隆盛の萌芽もなかったんだな。

    ・それにしても、やはり人口ってのは、こういうテーマを語る上で欠かせない要素なんだなと再認識した。

  • 2050年の課題
    世界的な少子高齢化、肥満、中国の一人っ子政策の弊害、これから人口の配当を受けるインド、中東、アフリカ

    戦争は管理され減少、人口は爆発的に増え穀物価格が上がる(食物の争奪は予想される)、抗生物質の乱用で耐性のあるウイルスが発現・大規模な被害の可能性

    宗教は徐々に無宗教に、周りの意見をより気にするようになる

  • 日本という国のプレゼンスが低下する、この本を読んでよく分かった。日本はスゴイ良い国という幻影は捨てて現実を見なくてはならない。

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