- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163902463
感想・レビュー・書評
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欧米諸国の繁栄には産業と商業の発展があり、それを支えたのは会計技術の進歩であった。権力の横には必ず帳簿があった。欧米では会計士は単調でつまらない仕事の代表格で捉えられているがエキサイティングな仕事の代表格である事業投資も金融工学もEntryから全ては始まる。数字を掌握するものは優位性を得ることができる。
中国やムスリム商人には一切触れられておらず欧米の歴史のみのため題名に難ありだが、歴史上の人物や事柄と帳簿の関係が非常に面白い。例えばパチョーリの「スムマ」より数百年前にフィレンツェ商人は簿記を活用していたことやルイ16世が登用したネッケル氏の会計報告がフランス革命の一因になったこと、ウェッジウッド氏の孫がダーウィンだったり。欧米諸国で相互に影響を及ぼしあう様が興味深い。
会計の世界史を網羅するような本ではないものの、帳簿という切り口で欧米史を概観する本として楽しめる一冊である。 -
レビュー省略
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歴史における会計の役割を多少過大評価している気はする。会計とは冷徹で機械的なものというイメージがあったが、多分に倫理観が要求され人間臭いものでもあるというのは新鮮な発見であった。
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古代から現代まで続く会計の歴史を概説してくれる。馬鹿な経営者が会計を軽んじるのも歴史的に当然のことと思えてくる。正しい会計を実行するのはより良く会社を運営することに他ならない。会計のとっつきにくさ、馬鹿な経営者とのバカの壁、日々活動する人たちへの優しく噛み砕いたコトバ。全てが難しい。
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そうなんだよなー。エゴとプライドが入ると数字って操作できるんだよね。合理的に職業意識高く活用すべしだね。
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確かに帳簿を正しくつけることは資本主義社会の根底にある。ただそれだけを追究した完全に間違いなく記録を残してゆく社会をつくれないのも人間であることも事実。
ブッデンブローク家やメディチ家しかり。人を出し抜きたいというアニマルスピリッツもそうだ。 -
「ああ、やっぱり帳簿って大事なんだね」で終わるのかと思いきや、とんでもない。現代の会計システムへの警鐘本だった。企業のグローバル化と金融工学の発展により、企業会計は複雑化する一方。にも関わらずそれを管理、監督する側の仕組みはまったく追いついていない。当然、不正、汚職がはびこり、エンロン事件のような汚点を作りだす。あれから10年以上がたち、何かが変わったか?答えはノー。むしろ乖離はひどくなっている。でなければカネボウや東芝のような粉飾事件は起きない。またゴールドマンサックスのように規模が大きすぎて監査しても一生終わらないだろうなどと言われるのも、それはそれで問題。じゃあどうするか?理想論うんぬんは抜きにしてやることは一つ。帳簿と正面から向き合うこと。事件を起こす企業は帳簿をつけても都合の悪い数字から目をそらす。その結果どうなるか?破たんする以外の道がないことは、歴史が証明している。
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2015.08.09読了
帳簿の世界史というタイトルではあるが、大半が欧米、特にヨーロッパ史であった。
政治・統治・事業等にとって、会計の重要性を説いており、繁栄と没落の様子を複数の時代や国家を用いて説明した興味深い一冊だった。
ただ、歴史や登場人物に対する基礎知識があれば、もっと楽しめたであろう作品で、自分の知識の乏しさが残念ポイント。 -
帳簿の歴史で、なぜイタリアで複式簿記が発達したのか?(共同出資する事業が多くなり、負債を含め管理する必要が出来たため)
フランス革命やアメリカの独立戦争などの歴史的事件についての背景を、統治者が簿記の管理をどうとらえていたのか?という視点で書いている。
また最近の会計事件についても書かれている。